岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/01
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2019/01/06配信「【風の谷のナウシカ】巨神兵の強さの秘密、風使いとは何かなど、風の谷の歴史や地理をふまえて大考察!」の内容をご紹介します。
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2019/01/06の内容一覧
- 『風の谷のナウシカ』を語る
- 絵だけで世界観をわからせるアバンタイトル
- 「蟲除けの塔」から見て取れる時代背景
- 石器時代にまで退化してしまった文明
- なぜ、あえて過酷な環境に身を置くのか?
- 先人達の血と汗によって作られた「砂退けの棚」
- 風の谷は何世代も掛けて作り上げた宝石のような土地
- 風の谷の風景に、自然に出来たものは何一つない
- 幻の王蟲のセル
- 風の谷の風車に込められた「風使い」のイメージ
- 風の谷周辺の全景図
- 現代から『ナウシカ』に至る本当の歴史とは?
- 戦闘タイプの巨神兵
- 本当は10倍怖い『ナウシカ』の裏テーマ
風の谷は何世代も掛けて作り上げた宝石のような土地
砂退けの棚を抜けると、ユパは「揚水風車」、水を上げる風車の前に着きます。これでようやっと風の谷に入るわけですね。
(パネルを見せる)
この揚水風車の門をユパが通っているんですけど、風車の奥に砂退け棚が何重もあるのが見えます。
つまり、さっき話したように、この砂退け棚というのは、何重にも何重にもあることによって村を守っているということがわかりますね。遥か向こうまで、谷が右向きに曲がっていて、砂退け棚が何重にもあるのが見えます。
ここで回っている風車は、水道のためのものですね。
ここまで運ばれてきた水を、この上まで汲み上げるためのものです。
壁も風車もすべて石積みです。だいたい、イギリスの田舎に行けば、レンガよりもこういう石造りの建物が多いんですけど、こういうのがあるのは決まって貧しい土地です。
この石も岩石ではもちろんなくて、さっきも言ったように、おそらく巨大なセラミックの建築物が倒れて砕けた後の破片を、丁寧に丁寧に選り分けて積み上げたわけですね。
レンガのように同じサイズじゃないから、1つずつあれこれ試して積み上げる。いい加減に積んだら後で崩れますし、なによりも、これは水道を扱うものだから、貴重な水が溢れて地面に染み出してしまう。だから、たぶん、この石と石の間は、セラミックの埃のような細かい砂をかき集めて、セメントのような物を作って固定しているはずです。
ここの壁のように見えるのは、水が出ていることからもわかるんですけど、壁ではなくて、巨大な「ローマ水道」です。
つまり、水を汲み上げて、この壁の中全体で水を貯める仕掛けになってるんですね。
この風車は下にある水を汲みあげるんですけど、この「下にある水」というのは地下水ではありません。後で説明しますけど、風の谷には、城の地下500mにしか水源がないんですよ。
その城の地下500mから汲み上げた水を、わりと低い位置にある城から、棚田の上にまでですね、いろんな風車を使って、揚水、つまり汲み上げを繰り返して持ってきて、最後にここに貯めているわけですね。
だから、壁から水が溢れ出ているんです。
壁には溜まった水の吹き出し口があります。この位置まで、風車の力で水を持ち上げているわけですね。
この吹き出し口の1つ1つに高低差があるのは「今、どれくらいの水位まで、この中に水が貯まっているのか?」を遠くからもひと目で判別できるようにするためです。
すべての口が同じ高さだったら、その高さまで水位があるかどうかしかわからないじゃないですか。でも、高低差がいろいろある穴から水が出ているおかげで、「ああ、今この村の貯水量はこれくらいなんだな」というのが、離れている人間にも一発でわかるんです。
低いところからしか水が出ていない時は、みんなが水を節約しなければいけない。高いところから水が出ている時は、安心だから笑って暮らせる。
そういうものが、絵として、ひと目で分かる構造になっているんですよ。
でも、僕らはこれを「チャッチャララー♪」という音楽とともに流し見て、「おい、ユパ、早いことジルに会えよ!」とか、「ナウシカ、出てこねえのかよ」とか思っちゃうんです。
だけど、ブラナウシカとして、丁寧に丁寧に見ていくと、ちゃんとそこまで考えて描いているのがわかるわけですね。
今、コメントで、「わからねえ」とか「そういうのを説明してくれよ」というのが流れたんですけど。
こういうことを説明するためにワタクシはこの世の中に存在するわけですから。補完システムとして使っていただけばOKです(笑)。
この揚水用の風車を抜けると、巨大な貯水湖が現れます。
(パネルを見せる)
まあ、「巨大な」と言っても、現代の感覚で見ると、ささやかなものなんですけど。ここでユパは馬に水を飲ませています。
ささやかな貯水湖なんですけど、人口500の村では、この貯水量というのはかなり恵まれています。
さっきの位置関係から見てわかるように、ここにローマ水道があって水がザーッと落ちているんですけど。この貯水湖があるのは、風の谷の最も高い土地です。
つまり、ここまで水を汲み上げて持って来る執念が、この貯水池を作り上げたんです。
風の谷周辺の全体構造の地図を描いたので、後で見せますね。
この貯水池は、水を逃さないために、底の部分には、ギッシリと石がタイルのように敷き詰められています。水を飲むシーンで、少しだけ映るんですけど。
こういうのって、作るのも大変ですけど、しょっちゅう中がひび割れたり、水が染み出したりするので、途方もない手間と時間を掛けてメンテをしなきゃいけないんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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