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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「原作版『攻殻機動隊』解説:さりげなく描かれた「メガストラクチャー」が表す数十年後の日本」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「原作版『攻殻機動隊』解説:さりげなく描かれた「メガストラクチャー」が表す数十年後の日本」

2019-02-06 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/06

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2019/01/20配信「『攻殻機動隊』講義~マンガ版第0-1話を徹底的に語る」の内容をご紹介します。
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    2019/01/20の内容一覧


    『攻殻機動隊』講義 第1回 第0話「THE GOST IN THE SHELL」

     では、マンガの話に入ります。
     「GHOST IN THE SHELL」というタイトルと共に、「メガストラクチャー」と呼ばれる巨大なビルが建っている絵が描かれています。
    (パネルを見せる)
     これね、いわゆる「高層ビル」じゃないんですよ。

     実は、僕らが思ってる、新宿とかの巨大ビルと言ってもいいですし、あとはニューヨークとかにニョキニョキ建っているようなビルでもいいですし、ドバイとかに建っているような高層ビルでもないんです。
     高層ビルというのは、実はこれくらいのサイズなんですよ。
    (ページ内に描かれている比較的小さなビルを指して)
     わかりますか? これが僕らが想像する高層ビルのサイズです。つまり、このメガストラクチャーというのは、全然桁違いですね。
     だいたい、この辺のビルで80階とか100階建てくらいだと思うんですけど。

     このページのメインとして描かれているもっと大きなビルというのはメガストラクチャーと呼ばれるものです。
     メガストラクチャーというのは、バブル経済の時に、いろんな建築会社が企画を発表していたものなんですね。
     「とにかく日本は国土が狭く有効利用しなくちゃいけない」ということで、すごく景気が良かったバブル時代に、いろんな建築会社が発表しました。

     例えば、大成建設は「X-Seed4000」という計画を発表しまして「これは4000m800階建てのビルを建ててしまおう」という計画だったんですね。
     こういう計画は1990年代にはいっぱいあって、今言った大成建設のX-Seed4000や、大林建設が計画した「エアロポリス2001」という2001mのビル。竹中工務店は「スカイシティ1000」という、高さ1000mのビルを建てようとしていました。
     その中で最大のものは「東京バベルタワー」という、冗談みたいな名前の目がストラクチャーです。

     これが東京バベルタワーです。
    (パネルを見せる)
     高さが1万mあります(笑)。
     1992年、バブルが崩壊してからなんですけど、リオ・デ・ジャネイロというブラジルの都市で開催された地球環境サミットで、早稲田大学の尾島研究所が発表した都市デザインですね。
     高さ1万mの巨大さというのは……だって、エベレストが8800mくらいですから。人類が作った中でも最大の建造物になるんですよね。
     もし実現していたら、本当に人類史に残る建物になったと思います。

     この東京バベルタワーは、だいたい1000mまでが「人界」。その上の3500mまでを「雲海」、6000mまでを「空海」、9000mまでを「臨海」、その先を「宇宙」と区切っています。
     そうなんですよ。実は高さ8000mから上というのは、地球観測の定義から言うと宇宙空間ということになるんです。なので、ここらへんを「宇宙」と定義するのは正しいんですけど。下の方を「人界」というところがすごいですよね。
     この地下の部分である「他界」は、地下インフラ、エネルギープラント、駐車場、発電施設などを作り、人界は住居や複合施設、お店などのテナントを入れる。その上の雲海はオフィスタワーやホテル群とかを入れて、空海は行政とかレジャー施設を入れる、と。

     まあ注目して頂きたいのは建設地ですね。「東京山手線の内側すべて」という。山手線すべての内側が、ビルの1階分なんですよ?(笑)。
     高さ1万m、居住人数3千万人、つまり、東京都の人口ほぼすべてですか。
     だから、おそらく、この東京バベルタワーに住んでる人達だけが「上層階級」で、残りの東京圏に住んでいる2千万人とか3千万人は、すべて「下層階級」になるというのが、この当時の東京バベルタワーの構想だったんでしょう。

     こういった「建設費300兆円、建設期間100年から150年」という、とんでもないものが、日本各地の建築会社から当たり前のようにプレゼンされていた時代。
     それがメガストラクチャー、バブル経済の時代なんですね。

     だけど、このマンガをフッと見ていると、なかなかそれがわからないんです。
     これが描かれた時代ならば、こういったビルを見て「ああ、メガストラクチャーなんだ」というふうに一部の人は気が付くんですけど。普通の人、いわゆるSFをあんまり読まない人とか、建築雑誌に目を通さない人とか、科学とか技術にあんまり興味がない人は「ビルだな」と思っちゃうわけですね。
     「ああ、なんか『AKIRA』と同じように、ビルが映ってる。ビル街だ」って思うんですけど、そうじゃないんです。「ただのビル」というのは、この下の方にちっぽけに映っているやつのことであって、それよりも遥かに高いメガストラクチャーが建っている。

     その証拠が、下の方のコマです。
    (パネルを見せる)
     下の方のコマに行くと、ここら辺に小さいビルが建ってますね。これがいわゆる東京都内にあるような高層ビルなんですけど。
     その地殻に「地盤」があるのわかりますか? これ人工の地盤なんですよね。
     人工の地盤によって持ち上げられた、高さ数百mのところに地面があって、そこにビルが建っているんです。

     丹下健三事務所が1960年代に、「メタボリズム」という東京の開発計画を発表しました。磯崎新が発表した「空中都市新宿計画」というのも1960年代ですね。あとは、黒川紀章がですね「東京計画1961」というのを発表しました。
     実は、1960年から61年に掛けて、いまだに日本を代表している建築家たち、この黒川、磯崎、丹下以外にも、いろんな人が、こういった空中都市計画というのを発表しているんですね。
     そのすべてが「空中にこういった地盤を作り、今、僕らが住んでいる地面の階層は工業に使い、1段持ち上げた高さ数百mのところにある地面で農業をやろう」という計画なんです。

     大阪万博の「お祭り広場」の上に屋根があったのを知っている人もいるかと思います。
     あれは何をやろうとしたのかっていうと、当時の建築家たちが考えていた未来の都市そのものなんですね。「人間は空中に住んで、地面は、例えば流通に譲るとか、もう1つ上のフロアは農業に譲る」という。
     まるで、「地球は自然に戻して、工業や産業はスペースコロニーを動かそう」というようなことを、地面の上に何層もの地層を人工的に作ることで実現しようということを建築家は考えていた。
     なぜそれが1960年代に重なったのかと言うと、もう1つのバブル経済である「朝鮮戦争特需」によって、当時、日本はものすごく景気が良かったからです。そんな、東京オリンピックの時代に、こういう計画が出ていたんですね。

     つまり、東京オリンピックの頃、1960年61年に東京計画、新宿計画というのが建築家たちによって発表されるたのと同じ様に、バブル経済で日本中が浮かれていた1980年代の後半に、いろんな建築会社が同じようなメガストラクチャーというのを発表しだしたわけです。
     1960年代は「いかに土地を有効活用するのか?」ということで、地層を広げることを考えたんですけど、バブル経済の時には、もうバブルですから「とりあえず上へ上へ!」ということで、高さ2000m、4000m、1万mというビルが企画されていた。そんな時代でした。

     またスーッと読んでいると読み飛ばしちゃうんですけども、ここに「アジアの一角に横たわる奇妙な企業連合大国日本」と書いてありますね。
     そうなんですよ。このマンガの中に出てくる日本というのは、民主主義国家ではなくて「企業集合体国家」になってるんですね。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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