今週は連休の狭間となり、5月2日および6日の二日間の立会いとなりました。連休前の28日に日銀が追加緩和を見送ったことに伴う株式市場での失望売り、 円高進行などを受け、日経平均株価は2日間で559円安となり、1万6106円で取引を終えました。連休前から通算しますと6日続落となります。


 日銀の追加緩和見送りには、それなりの考え方があったものと思われますが、欧米の中央銀行との金融政策を変更する際のスタンスの違いは、今後政策効果の縮減につながりかねないものと危惧します。
 米国の連邦準備理事会(FRB)にしても、欧州中央銀行(ECB)にしても、金融政策の方向性を市場に浸透させるべく努力します。いわゆる「市場との対話」の重視です。

 例を挙げれば、ECBはマイナス金利を導入する1年以上も前から、その可能性を示唆しています。追加緩和の実施に際しても、少なくとも1カ月前の政策理 事会の会見などでその実施を示唆します。サプライズを生じることなく、「落ち着くべきところに落ち着く」形での政策変更を実施するわけです。


 一方、日銀はサプライズを重視します。
 「量的・質的金融緩和」の初期段階では、大きな「戦果」を挙げることが出来ましたが、「マイナス金利の導入」時などにはその意外感はむしろ市場の反発を招いています。

 筆者は、マイナス金利は理論的には間違っていないものと考えますが、感情的な反発がその効果を相殺しています。今回の見送りも、投機筋の動きを助長したに等しい結果となりました。
 今後は是非、市場との丁寧な「対話」に努力いただきたいものと考えます。


 ところで、米国の16年1~3月期の実質GDPの速報値は、前期比年率換算で0.5%増にとどまりました。主な要因は設備投資と輸出の落ち込みです。

 世界的な株安が高額消費に逆風となり、これまで成長を牽引してきた個人消費の伸び率も鈍化しています。今夜発表予定の4月の雇用統計が弱いものとなれば、さらなる円高も覚悟しなければならないと思います。


(水島寒月)


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