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時期尚早の財政健全化
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時期尚早の財政健全化

2016-09-14 00:02
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     1000兆円もの国の借金を削減させて財政健全化を目指すのが良いのかがそれともインフレターゲット目標2%を実現させ、名目GDP600兆円を達成さ せる方を優先させるべきか意見は分かれているようですが、景気の向上をまずは優先させていくべきなのは当然の政策で、日銀と政府一体となったアベノミクス の推進であの消費税8%への上げの失政を取り戻す必要があることは自明の話です。

     建設国債の発表で景気刺激策を打ち出したことに一部のメディアが財政健全化が遠のくなどというネガティブな意見を述べるので国民が委縮してしまいがちですが、ここはまさに日本が手を打つチャンスです。
     大型港湾施設にリニア新幹線の早期完成に向けた公的投資が景気にもたらすプラス効果を株式市場ではかなり先取りしている可能性がありますが、むしろ日経 平均が17000円台に乗せてからのもたつきは為替が1ドル=101円台の円高に振れたことに加え20日、21日の日銀の政策決定会合での過去の政策検証 とその後に打ち出される施策の中身を確認してからでも遅くないとの投資家心理が働いているものと推察されます。


     国の借金だからと言って国民の借金と誤解している向きもまだ大勢お見えになるかも知れませんが、国のバランスシートは1000兆円の借金(主に国債)の 話ばかりでそれに見合った政府資産(対外資産、国債などのほか、約700兆円と評価される徴税権の存在)に対しての存在を無視した話になっています。

     元財務相官僚の高橋洋一氏によればまだ、国には700兆円ほどの国債発行の余裕があり、そのうちの500兆円は国土強靭化など公的な投資を行えると主張されています。

     わが国の4-6月の名目GDPは速報値で年率換算+0.2%でしたが、改定値では+0.7%に上方修正があったようですが、マイナス金利政策で住宅投資 が伸びたほか、公的投資が牽引役となる一方で個人消費は伸び悩み状態。企業の設備投資も手控えられたまま内部留保が積み上がっている中では公的投資に頼ら ざるを得ない訳です。


     こうした中で政府は先月24日の臨時閣議で、新たな経済対策を盛り込んだ3兆2869億円の2016年度第2次補正予算案を決定。安倍政権の看板政策である「1億総活躍社会」実現に向けた関連施策やインフラ整備などに充当する方針のようです。
     財源としては同じ借金ながら建設国債2兆7500億円を追加発行。16年度の歳出総額は100兆87億円と3年ぶりに100兆円を超える見込みですが、まだこれでも財政健全化を意識した歳出になっているように感じられます。

     この際、もっと思い切った公共投資を行い、景気の浮揚にはずみをつけるべきなのかと思います。


     9月26日召集予定の秋の臨時国会に第2次補正案が提出され、早期成立を目指すことになります。9月2日に決定した事業規模28.1兆円の経済対策の第1弾で、残りは17年度当初予算などで計上する予定です。
     一般会計の歳出は、経済対策3兆9871億円と東日本大震災復興特別会計への繰り入れ1272億円の計4兆1143億円。これから、超低金利で国債の利払い費が減る分などが減額されます。
     また、復興特会などを含めると4兆5221億円となります。


     主な資金使途として、訪日観光客受け入れ拡大に向け大型旅客船が着岸できる港湾整備や、農産物の輸出拠点整備などインフラ整備に1兆4056億円を計上。補正予算に占める公共事業関連の比率は4割弱となり、道路整備など旧来型のインフラ整備が目立っているとされます。


     なお、補正予算案とは別に、政府が低利で民間事業に長期融資を行う「財政投融資」を、16年度の当初計画から3兆6022億円追加。リニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに1兆5000億円、整備新幹線の建設に8279億円を充当。
     また、貸付金利の下限を従来の0.1%から0.01%に引き下げる方針。
     金利を下げて有利子奨学金の返済負担を軽くするともしています。


     国が借金するのが問題だと言わんばかりの論調が目立つ有力経済紙や民間エコノミストですが、今回の補正予算でGDPが0.4%押し上げられると試算。た だ、公共事業の効果が消えると反動も大きくなると指摘。その後もまた財政出動に依存する状況となって財政健全化が遠のくという指摘もありますが、ここはま ず、過去1990年代以降、わが国とは違って欧米各国が採ってきた政府投資の拡大によるGDP成長の確保が最優先されるべきであることを肝に銘じるべきで はないでしょうか。


    (炎)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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