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皆様の多くは株式を売買しながら資産形成に日々努めておられるものと推察しますが実際にはいかがでしょうか。
株式以外にも債券や金、為替など変動商品を研究しながら資産運用をされているものと思いますが、株式においても日本株だけではなくNY証券取引所やNASDAQ市場に上場している銘柄を対象に組み入れておられるのかも知れません。
そうした銘柄には皆様の取引の結果、株価が日々ついていて上がったり下がったりと変動を続けています。そうした銘柄の取引の限度は最大で発行済み株式数の範囲に留まると考えられます。
発行済み株式数に株価を掛けると時価総額になり、東証1部市場全体の発行済み株式の合計が現在605兆円に上っていることを皆様はよくご存じかと思います。バブル経済のピークが600兆円程度だったことを記憶に残しておられるなら、この水準はとても記念すべき水準かと思います。
これはもしかしたらバブルか・・。と考えられる方もお見えになるかと思いますが、これに見合った利益が存在すれば問題はありません。企業活動の結果得られた利益をベースに株価は形成され、その株価に発行済み株式数との掛け算である時価総額が未だに1989年のピークを抜けていなかったことが逆に問題ではなかったかと思います。
投資尺度であるPERは東証1部市場の平均が15.78倍でバブル経済時代の20倍以上に比べてまだ穏健だし、PBRも1.3倍程度、配当利回りも1.67%でありバブルだという声は聞こえてきません。時価総額600兆円は単に通過点に過ぎないとの認識を持つべきかと思います。
株式市場での価格形成は業績動向だけでなく需給でも決まります。発行済み株式のすべてが取引されるわけではなく、その中の日々売買される対象となる浮動株の存在は皆様にとって興味深いところかと思います。
例えばソニー(6758)の発行済み株式数は12.6億株。会社四季報によると50単元未満の株主が保有している割合を示す浮動株比率は14.1%。つまり、1.77億株が比較的小口の株主に保有されていることになります。
株価が4300円だと7611億円分になります。これに信託名義など大口投資家の保有分も加わり日々売買の対象となります。
現在、ソニーの時価総額は5.4兆円。今期から来期にかけて5000億円の経常利益が見込まれるソニー株はほぼフェアバリューになっていると考えられます。
一方で今や市場のコア銘柄となっている任天堂(7974)の発行済み株式数は約1.4億株。株価は39000円台にまで上昇していますので時価総額はこれもソニーとほぼ同じ5.4兆円。実際には自己株が2154万株ありますので時価総額は4.7兆円。
スイッチ好調で今期から来期にかけ業績は向上すると機関投資家のアナリストの皆さんは評価を高めているようですが、会社側は今期の経常利益を今のところ600億円と見込んでいますのでかなり上方修正を期待した買いが入っての株価形成であろうかと思います。
その任天堂の浮動株比率は8.6%ですので浮動株数は1200万株にしか過ぎず、金額ベースでは4692億円にしか過ぎません。自己株を除いた時価総額4.7兆円に見合う経常利益がソニー並みの4000億円にはまだほど遠い業績水準ながら任天堂には潜在的に利益を生み出す力があるとの評価がなされているのかも知れませんが、先高観を持った投資家が浮動株を吸い上げた結果の株価という印象が強いというのが率直なところです。
GPIFをはじめとした官民挙げての浮動株吸い上げ作業がここに来ての株高の背景だとすれば行きつく先は金融政策の転換による株価下落を覚悟しないとならなくなります。そうしたことが今すぐに起きることはないと楽観視されている投資家の方が多いのかも知れませんが、株価水準が現状の収益を逸脱して形成されているのであれば気をつけておかないとなりません。
浮動株の少ない銘柄の株価つり上げが水面下で進んでいる現状を見て日本株の先行きに懸念を抱く投資家も存在することだけ確かのようです。
放出株数の少ない浮動株比率が限定されているIPO銘柄の乱舞などこうした需給関係を利用しての株式売買です。
冷静な皆さんはこうしたホットな動きが長続きしないことを十分にご理解されていると思います。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)