閉じる
閉じる
×
上場企業の多くは期間利益を株主に配分しています。これを配当と言います。
「そんなの知ってるよ。」と言われそうですが、投資家の皆さんにとって結構奥の深い大事な話です。
投資家の株式投資の目的はインカム(配当金)ゲインとキャピタルゲイン(値上がり益)ですが、時にはキャピタルロス(値下がり損)も生じます。
未来永劫まで投資した株を売却しないのであればインカムゲインのみがまずは目的となります。
企業は日々営業活動をしながら予め決められた月に決算として集計します。多くの企業が3月期決算を採用していますので、投資家はその決算内容を見て評価します。
過去から直近までの業績推移を前提に評価されるほか、企業が描く未来の業績を評価の対象とします。
3月期決算では第1四半期決算が7月後半から8月上旬に示され、中間期や通期見通しの進捗を知ることになります。第2四半期決算(中間決算)、第3四半期決算、通期決算と忙しく決算データが公表され、その都度株価は変動を示す場合も出てきます。
通常、配当は中間期か通期決算集計後に開かれる株主総会後に株主に支払われることになります。
その原資となるのは売上から原価と販売費一般管理費を差し引いて得られる営業利益、そこから営業外収支を除いた経常利益、さらにそこに特別損益を加え、そこから税金を差し引いた残りの当期利益です。
当期利益は次年度の決算に向け安定した収益を確保するために内部留保に充当された残りが配当と言うことができます(実際には配当に回った利益の残りが内部留保となり、利益剰余金として計上されます)。
売上ないし総収入をトップラインと称し、企業は利益の源泉となるトップラインの伸びを目指すのが一般的です。マクロ経済の向上が味方するほか、新製品や新サービスの投入など、何らかの形で売上が伸びるとともに原価を下げ、販売費一般管理費(人件費、広告宣伝費など)を抑制することができれば営業利益が伸びることになります。
また、これに金融収支の改善や為替差損益など営業外の収入増で経常利益は向上してきます。
企業の中にある資産を売却した場合は特別損益が生まれたり、法人税の低下が当期利益を押し上げ、配当の原資が増加してくると増配期待が生まれます。
企業は配当性向を一定にした配当政策を採るか安定配当を実施するのかの選択に迫られます。中には配当性向100%という企業も登場していますが、中には赤字が続いたり収益水準が低いと無配といったこともあります。
多くの企業は10%~50%程度の配当性向を方針として打ち出しており、単純に配当利回りで銘柄選定をしないで増配余地の高い低配当性向銘柄(低PER銘柄)も選定の対象とすべきかと思います。
低金利、ゼロ金利時代が続く今、株式市場では配当利回りの高い銘柄への関心が高まっています。短期売買の対象とならない流動性の低い銘柄であっても配当利回りが高いのであれば自然体で中長期資金が流入しているようです。
3%以上の配当利回り銘柄が過去3か月程度の期間で見ても上昇率が高くなっているように感じられます。
金融商品としての株式の魅力は配当の原資である期間利益の増加による企業価値の拡大とともに配当性向の引き上げによる増配傾向が続く可能性があることです。もちろん逆のケースもありますので投資家は企業が発する業績情報を確認しながらじっくりとリスクマネーを投じる活動を続ける必要があります。
配当以外にも投資家には株主優待制度(最近はQUOカードなど準配当金も多い)によるメリットもありますが、これは100株単元株主を増やす効果があって企業が株主数を増やす(市場の昇格をねらってのものなど)施策になっている点を理解する必要があります。
多くの発展形で意欲的な投資家にとってはキャピタルゲイン狙いがメインであろうかと思いますが、まずは中長期的な視点でのインカムゲイン狙いも結果としては良い成果を生むものと期待されます。
配当性向が長期に20%以下と低い企業にはなぜ配当性向が低いのかをぜひ企業側に問い合わせしてみて下さい。できれば30%程度へ引き上げてほしいぐらいの要望を株主として出し続ければ企業側にもそうした声が届くことになるかも知れません。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)