このところ長期的に株価下落が続く銘柄をチェックしています。
上がったり下がったりの株価変動を捉えながらリスクテイクして資産形成を図る株式投資は時に忍耐も必要ですが、駄目な銘柄はさっさと切り捨て、トレンドが上向いている銘柄に投資するのが良いと言いのける皆さんも多いかも知れません。
結果としてトレンドが悪い銘柄はますます売られ、止めどない下げが時に見られることになります。こうした銘柄に長期スタンスで投資された方は下げの悪循環に悩まされることもあります。
投資家と発行体企業のコミュニケーション不足が原因での下げであれば問題はないのですが、本質的な業績の先行きが見えないのは最も売られやすいパターンとなります。
それでも一定水準まで売られるとどこかで反転してくるタイミングもやってきます。
投資の考え方は千差万別。
過去長期に上がってきた銘柄を追い求めるのか長期下落銘柄に注目するのか皆さんの選択は自由です。
私としては後者に力点を置いてボトム探しをしていこうと考えています。
これが必ずしも皆さんの資産形成につながるという保証はありませんが、研究の余地は大いにあると考えています。
いくつかの事例を最初に取り上げてから現在の下落銘柄を取り上げてみたいと思いますので宜しくお願いします。
1.建機向けのオイルフィルターで業績拡大のヤマシンフィルタ(6240)
2014年10月IPO 公開価格2800円 上場時時価総額174億円
その後株式分割で30倍に株数が増加
時価1308円 時価総額813億円
上場後の調整期間1年3か月
上場直後の高値4200円から6分割後の2016年1月の安値359円まで49%の下落を見せた同社株はその後22倍にまで大化けしました。
中国向け建機の需要停滞が上場直後にあって、その結果業績が停滞しましたがそれによって株価が大幅に売られましたが、その後は中国向けの需要増で業績が急向上。それにつれて株価が大きく上昇した事例です。
同社は上場来、IR活動をフィナンテックと一緒に積極的にやってきました。その結果、外国人投資家、国内機関投資家の評価も高まった事例です。
現状のPERは50倍以上にも高まっており、かなり将来の業績を折り込んできた格好です。
2.水処理装置のナガオカ(6239)
上場後の調整期間1年間
2015年6月IPO 公開価格1600円 上場時時価総額33.6億円
2017年6月に筆頭株主に143万株(648円)の第三者割当増資実施
時価1418円 時価総額50.1億円
上場直後の高値2268円から2016年6月まで1年かけて441円まで8割の株価下落を見たが、その後は直近の高値1645円まで3.7倍に上昇。
上場直後の赤字転落で経営陣が入れ替わり筆頭株主だった株式会社ハマダの連結子会社となったことで評価が変わってきた結果です。
2期連続の赤字から今期は黒字化見通しで上昇トレンドが続いています。
3.製造請負事業の平山HD(7781)
上場後の調整期間7カ月
2015年7月IPO 公開価格2130円 上場時時価総額36.8億円
時価3255円 時価総額56.3億円
上場初年度に業績を大幅下方修正。その結果株価は上場直後の高値2783円から2016年2月の安値807円まで71%の下落を見せた。その後は業績の回復見通しから直近の高値4105円まで安値から5倍まで株価は上昇。
今後の業績拡大を先取りし始めた格好。
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IPO後の業績変動に伴い株価が大きく調整する銘柄が続出してきそうな状況です。
上記3社もそうした上場時のバラ色の業績見通しが一旦、裏切られて短期投資家が見切りをつけて投げた結果、IPOから7か月から1年ほどの期間に安値をつけてその後、大きく株価が戻ってきた事例となっています。
これは時価総額の大小に関わらず起きています。
IPO銘柄にしろ上場して時間が経過している銘柄にしろ長期的な株価下落がどこで止まるかも関心の的になるかと思われます。
現在においても現在安値形成トレンド銘柄がいくつかありますがその中の典型的な銘柄が宝飾品メーカーのクロスフォー(7810)です。
同社は2017年7月にJASDAQにIPO。公開価格730円で初値は1051円で公開価格に対して44%上の水準でスタート。その後7月に高値1810円(2分割前)までありました。その後、一旦9月に1003円まで売られますが、11月に1683円まで戻りを入れました。
しかしながらその後は株価は下降トレンドを描いており、直近の安値は1月末の2分割後の336円(4月13日現在)となっています。上場直後の高値からは63%、戻り高値からは60%の値下がりとなっています。
これは今7月期の業績計画を期初計画の経常利益8億円余りを2.6億円に大幅下方修正した結果です。経常利益のベースが3億円以下の水準だと時価総額は30億円程度にまで落ちてしまいますので、現在の株価はこうした見通しを反映して何も手を打たないでいると究極はその水準まで売られる可能性を秘めています。
但し、来期の業績見通しが大きく回復するとなれば評価は一変します。
今期の経常利益見通しにはTVCM費用2.5億円のブランドアップを図るための先行費用があるためです。これがないと5億円程度の経常利益となりますので現状の時価総額60億円がほぼ収益に見合ったものとなります。
問題は来期ですが、黙って手をこまねいている訳ではなく、下期から様々な新製品を投入していく予定です。
IR活動は上場直後は幹事証券でサポートしてきましたが、直近になって大手IR会社がアドバイスし始めたようです。今後、様々な株価対策が業績向上に向けた施策とともに打ち出されようとしています。
そうした水面下での努力はあっても現実はなかなか厳しい状況で本日も相変わらず売りモノがちの展開が見られました。
どこまで売られるのか読めない株価ですが、いつまでも売られることはないという感触です。4月26日には決算説明会が開催されます。メディアには先般、マネーボイスにも登場しましたが今後、ラジオ出演等も予定されているとされます。
前期経常利益7.9億円→今期予想経常利益2.6億円+TVCM料2.5億円=5.1億円(▲35.4%)
2分割後の初値525円に対して35.4%下落した株価水準となる339円前後、つまり直近の安値(336円)水準を一応の下値目途と考えることができます。
同社株をここから新規に投資される方には上記3銘柄のように大きなリターンが待っているかどうかは正直わかりませんが、既存株主の皆さんも敢えてここから売り叩くのではなく配当金+株主優待などを楽しむ銘柄になってきたように思われます。
(炎)
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