日本の株式市場は不穏なニュースが出る度に、指数がひたすら乱高下するだけの味気ない市場になりました。個別銘柄でも材料が出る度に機械的に買われたり売られたり・・・、感情の無い無機質な市場です。

 その他では、信用買い残が増えた銘柄に海外ファンドが大量の空売りで株価を叩き落したり、小型株が連続してストップ高を演じたりと、相場操縦のような売買が目立つくらいで、生身の市場参加者が居なくなってしまったかのようです。
 ここ数日は日経平均で500円も乱高下していますが、売買代金は2兆円前後と少ないですから、市場参加者が少ない中でファンドが指数売買で市場を大きく動かしているだけの状態です。


 昨日は変なニュースもあると聞きました。
 以前にこのメルマガにも書いたカーボン銘柄のニュースです。
 昨日、今日と大きく売られています。

 ニュースによると「中国地場企業による黒鉛電極の生産が回復しつつあり、需要も徐々に衰えるとの見方が出ている。これにより機関投資家から利益確定の売りが出ており、押し目買いは個人が主体である」と言う、違和感のあるマーケットコメントだそうです。

 IRへのヒアリングによると、実態は「中国製の黒鉛電極は品質が劣るため競争相手にならない。多い会社では来年一杯まで電極の受注を抱えている」と言う事ですから、上記のマーケットコメントは、ひょっとしたら大量に空売りしているファンドからの風説の流布かもしれない?・・・と言う事だそうです。

 海外ファンドは儲けるためには何でもやりますから、売買される際には風説の流布などに十分にご注意ください。


 さて、ナルシシスト大統領と独裁総書記のチキンレースもどうなることやら。

 そんな中で、資金逃避(及び投機資金による空売り)により売られていた新興国市場にも徐々に変化が出てきています。代表的なところでは、メキシコ、ブラジル辺りは最悪期を脱しつつあるように感じます。

 トルコリラも無茶に売られました。4月~5月頃には「とうとう1ドル4リラまできたなぁ~」などと言っていたら、その後8月に入ってからは僅か2週間で1ドル/7リラまであっという間に暴落しました。とても人間業とは思えません。
 トルコは外貨準備や貿易収支などに脆弱性はみられますが、とは言えNATO加盟国であり、経済や人口面でも中東の大国です。このままでは欧州も困りますし、中国やロシアだって虎視眈々と取り込みを狙っています。そうそう簡単にこの国が可笑しくなるなどと言うことは無いと思いますが、こちらも巨大な投機資金が跋扈しているのでしょう。


 大半の新興国通貨は、中国景気の悪化懸念が広がった2015年から2016年初旬に最も売り込まれましたが、その後は上下しながらも徐々に落ち着きを取り戻し、今年に入ってからの対ドルの動きでは、メキシコペソで1米ドル/約21ペソ、南ア・ランドは1米ドル/約14ランド、ブラジル・レアルは1米ドル/約4レアルと・・・、6月頃にこれらボトム圏を過ぎたように見えましたが、またまたトランプ大統領の無茶発言で揺り戻しがありました。

 まだ不透明感はあるものの、メキシコはNAFTA問題の進展、ブラジルでは政治への不信感がボトムアウト・・・と言った具合に、今年は順繰りに底値を付けてくる年になるのでは?と考えています。


 政権維持とプライドを賭けてナルシシストと喧嘩している軍事独裁国の通貨(元)も依然として不安定ですが、余り悲観的にならず、今年は少しずつでも新興国への投資をスタートするタイミングではないかと考えています。


 米国の実務レベルは優秀です。数年単位で見ればアホなナルシシストに何時までも振り回されていることも無く、いずれは落ち着くでしょうし、今回の減税や景気対策で格差が広がるようなら有権者の中にも考えが変わってくる人も出てくるでしょう。

 何より「アメリカ=世界」と言う歪な視野しかない、トランプ支持の白人至上主義思想のアメリカ人が、色々な環境変化によって少しは世界を勉強する機会になればと期待しています(笑)。

 同大統領の強引な(思慮の無い)政治手法も(場面によっては効果を発揮し)興味深いのですが、もう少し思慮深い言動を執れる大統領だったらなぁ~と、ちょっと残念な気持ちです(苦笑)。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)