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~コロナ・ショックの次に起こること~
WHOから新型コロナウイルス騒ぎについてパンデミックの恐れがあるとの警告が出されました。
各国の政府・金融当局ともに市場不安定の動きを鎮めるために、なりふり構ってられない経済対策、金融政策を打ち出す必要性に迫られています。
米FRBは3月中旬に予定されていたFOMCの前に政策金利を0.5%緊急利下げに踏み切ったことは市場でも大きな話題となりました。
市場は金融緩和でウイルスは止められないと反応自体は限定的なもので、むしろ2008年のリーマンショックを想起させた緊急利下げは、「事態はそれほどまでに深刻なのか…」と投資家心理をより一層冷え込ませることになりました。
元より、この利下げというのは効果が表れてくるのに時間がかかるため、足元の市場混乱を収めるといった点からはあまり意味を為さないでしょう。
しかし、緩和バブルに慣れ切った市場へのメッセージとしては大きな意味があったと言え、ここから肝心の流動性供給策や政府と連携して大型経済対策などが出てくれば即効性をもつようになってきます。
つまり、緩和ケアでなく治療を行うといった意味合いで、『量的緩和』と財政出動』で実体経済への悪影響を防ぐ姿勢が求められます。
冒頭のWHOからパンデミック懸念が示されたところで、マーケット材料としては賞味期限切れとなります。
もちろんウイルスですから、実際に感染拡大が加速するか止まるかは予測しても仕方ない面があり、そもそも変異して感染拡大していく可能性もあるわけですから、私たち人類はインフルエンザと同様に今後も付き合っていかなければならなくなるかもしれません。
むしろ今後は他のリスクに目を向けておかなければならなくなってきました。
それが先日のOPECプラスの協調減産合意が破談となり、サウジアラビアが半ば逆ギレ気味に大型増産に踏み切ることを匂わせたことで起こった原油安ショック、そして高まる中東における地政学リスクに他なりません。
原油価格の下落は実体経済にとってプラスに作用する面もありますが、かえって中東混乱となれば原油市場は乱高下することとなるでしょう。
単に需給やファンダメンタルでは計れない“戦時体制”を想定しておく必要があります。
本日はNN原油ブルETN(2038)が連日のストップ安となっていますが無理も無いでしょう。しかし、原油価格が30ドル割れした局面はある意味買い場と言えるものなのかもしれません。
さらに、地政学リスクが再燃する火種があるのは中東だけではありません。
何やら最近になって再び北朝鮮が飛翔体を発射するニュースが増えてきており、マーケットではウイルス騒ぎで手一杯になり注目されませんが、そのまま横に留め置かれる問題ではありません。
今回のコロナ・ショック同様に、いずれ市場を大いに賑わすことになりかねない忌々しき材料となってくるかもしれません。
そこで今回は数ある軍需関連銘柄の中からその筆頭格である石川製作所(6208)について注目してみたいと思います。
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【No.3】石川製作所(東証1部:6208)
段ボール製函印刷機が主力で繊維機械を縮小する一方で防衛機器を拡大している。海上自衛隊向けの83式機雷や91式機雷などの製造実績があり、低雑音性の潜水艦や磁気探知の対応ソナーを搭載。機雷は水中に設置されて艦船が接近、または接触したとき、自動または遠隔操作により爆発する水中兵器で、インテリジェント機雷やスマート機雷と呼ばれる最新型もある。段ボールでトップシェアを誇るレンゴーが筆頭株主。
業績面においては2/12に第3Q決算発表を行っており、売上高は前期比9.7%増収、利益面は赤字縮小で着地。直近では紙工機械、防衛機器の受注高減少に歯止めがかかり、10-12月期ではそれぞれ大きく増加がみられたほか、大幅増益が実現。従来より1-3月期にまとめて収益が計上される期末偏重の傾向があるため、期末でさらに上乗せがみられるか注目。
株価は2017年の北朝鮮によるミサイル発射行動より防衛関連としてのテーマ性を帯びる筆頭格となっている。足元で再び北朝鮮の軍事挑発行動が目立つようになっているほか、中国が台湾に圧力をかけるといった東アジアの地政学リスクが注目される。市場全体の地合い悪化と相まって、関連銘柄物色が賑わう可能性がありそう。
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そして、隠れ軍需関連というわけではありませんが、筆頭株主のレンゴー(3941)にも注目しておいた方がよいでしょう。なぜならば、生分解性セルロース製品の技術などは軍需転用も考えられ、最先端技術は石川製作所を通
じて防衛省に製品納入されている可能性もあるからです。
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【No.3】レンゴー(東証1部:3941)
板紙・段ボールの最大手で包装用機械・システムなども手がけており、原紙から段ボール箱まで一貫生産を強みとする。フィルム包装やラベル包装、食品・医薬品包装向けの樹脂系包材も扱っている。生分解性セルロース製品や新素材の蛍光体「ガイアフォトン」などの機能材製品も開発。
業績面においては2/5に第3Q決算を発表、累計では売上高3.6%増収、営業利益は同66.4%増益と製品価格改定および原価の低減で利益率改善につながったとみられる。10-12月期にいたっては売上高はほぼ横ばいながらも営業利益以下は2倍超の大幅な伸びとなっている。
株価は上記決算発表の前後で大きく買われ年初来高値918円をつけたが、その後は利益確定売りに押されて発表前の水準にまで往って来いとなっている。足元では全体のショック安に引っ張られて年初来安値717円をつける場面もみられたが、バリュエーションおよび値上げ効果による利益増が期待できることを考えれば現水準は買い場とみて良いだろう。
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1月中旬からのコロナウイルス騒ぎは人間の目には見えない恐ろしさと生死にかかわる直接的な恐怖感から投資家心理を一気に冷え込ませる事態にまで発展しました。
しかし、不透明感からくる需給要因が一連の下落を引き起こしたのだとすれば、投資家センチメントの改善で市場の景色は一変してきます。
今は本当にウイルスがパンデミックに発展するかどうかよりも、次に起こり得るリスクに目を向けて地政学リスクの動向やクレジット・リスクの顕在化など、別のシナリオに備えておく必要がある局面だと思います。
(あすなろ産業調査部 加藤あきら)
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