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 今回は、3月24日(水)に開催をした、小屋の運用に対する考え方をお伝えするセミナーの内容をこちらでご紹介します。


 今回のセミナーでは、投資家のみなさんからよくいただく質問を5点に整理し、株で失敗しないためにはどのような行動を取ればいいのか説明しました。
 大原則は、「株を長く持つこと」「マーケットのことは予測できない」というスタンスで運用することです。


■「どうしたら初心者でも失敗しないで運用できますか」―失敗しない秘訣は「長期」「分散」


 基本的なポイントは、「長期運用」「投資対象の分散」です。

 長期的に見れば、株価は必ず上昇します。
 例えばバブルのピーク時に投資した場合、5年くらいではピーク時の相場以上には回復していないケースや、むしろマイナスとなるケースがあります。
 一方で、20年間運用し続けていると、どのようなタイミングで始めても20年後の株価は大抵上がっています。

 そして、長い運用期間中に社会がどう変化しても、投資対象を分散させていればある程度の資産を築き、守ることができます。
 円の預金や日本国債券はデフレで円高のときに、外国の債券はデフレで円安のときに強く、インフレ時は基本的には株や不動産が対応できます。
 分散比率は四等分にするのが分かりやすいでしょう。あとは、投資家自身がどの部分に対してよりリスクを感じるのかというメンタル要素も考慮に入れてください。


■「なぜ株式を購入するのですか」―株価は絶対に上昇する


 繰り返しますが、理屈上、株価とは上昇するものです。

 バランスシートを思い浮かべてください。
 右側に純資産が表示されていますが、純資産とは株主の権利であり、つまり株主の取り分ということです。企業が1年間会社をきちんと経営していれば、損益計算書に示される利益分だけ純資産は増加します。こうして株主の権利も増加します。

 これが株価の上がる仕組みです。
 専門用語では、前年度の純資産に対する翌年度の純資産の増加分をROEという指標で表します。前年度の純資産に対しROEが10%だったら、純資産が10%増えたということで、短絡的に言えば株価が10%上がってもおかしくないことを意味します。
 長年にわたって利益を積み上げている会社の株が上がっていくのは、こういう理由があるからです。


■「なぜ、アクティブファンドよりインデックスファンドの方がいいのですか」―長期運用にはインデックスファンド


 結論から言えば、世に出回っているアクティブファンドは、そのほとんどがインデックスファンドより良い成績をあげていません。
 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのレポートでは、次のような結果が報告されています。

 日本の運用会社が日本株のファンドを1年間運用したケースでは、インデックスファンドの成績を上回ったアクティブファンドは18%、残りの約8割はインデックスファンドに負けています。
 10年運用のケースや、海外株に投資するファンド、アメリカの運用会社によって運用されているアメリカ国内ファンドなどを見ても、総じてアクティブファンドはインデックスファンドに勝てていません。

 これと関連して質問されるのが、
「評価されているファンドなら勝ち続けられるのではないか」
ということです。
 しかし、過去の実績と将来の成績はなんの関係もありません。

 バンガード社による次のような報告もあります。
 ファンド評価サイト『モーニングスター』に五ツ星と評価されたファンドと一ツ星と評価されたファンドそれぞれを36ヶ月運用したところ、インデックスファンドに勝てた五ツ星ファンドは39%でしたが、逆に一ツ星では46%のアクティブファンドがインデックスファンドより良い成績をあげました。
 過去の数年間の実績は最悪に近くても、その後の数年間は優れた成果を残したのです。


■「売買のタイミングはいつがいいのですか」―”Stay Market”の原則


 そもそも、基本的には「市場に居続ける」ことが大事です。
 実は、売買のタイミングを計ることにあまり意味はありません。

 アメリカの代表的な株価指数であるS&P500は、1980年代から2020年代の数十年で大きく値上がりしています。しかし、短期的に見れば上昇相場と下落相場を繰り返しています。
 2000年から2019年まで市場に居続ければ、年率で約6.1%増えていることになりますが、この期間に売買を繰り返し、最高のパフォーマンスを見せた10日間を逃してしまった場合、年率は2.4%に下がります。
 さらに25日間を逃したとすると、マイナス1%損をすることになります。

 逆に、最悪の25日だけを除けば年率は18%に達することもあり得ますが、あらかじめ予測して最悪の日はマーケットから出ていくということはできません。たとえ今の相場が上昇傾向でも、バブルが弾けるのか、上昇相場がまだ続くのかは分からないのです。


■「なぜアドバイザーは必要なのでしょうか」―誤った行動から投資家を守る存在


 バンガード社のあるレポートでは、アドバイザーを付けた投資家と付けていない投資家のパフォーマンスを比較したところ、年間3%ぐらいの差が出たことを明らかにしています。
 もっとも大きな要因は、投資家の誤った行動を事前に回避させるコーチングで、ここで1.5%の差がついています。アセットロケーションと、税制もふまえた運用アドバイスがそれぞれ0から0.75ポイント、その他、お金の引き出し方へのアドバイス、リバランスへのアドバイスが、投資家のパフォーマンス上昇に大きく貢献していることが示されています。
 アドバイザーに対する手数料はかかりますが、それを差し引いても、アドバイザーを付けることには高い付加価値があることが分かります。


 最後に、セミナーで寄せられた質問をご紹介しましょう。


Q.現行のNISAが2023年で終了し、2024年から新制度がスタートしますが、つみたてNISAなどに振り替えた方がいいのですか?

A.ここでも投資の大原則と同じことが言えます。つまり、先のことは分かりません。つみたてNISAは「長期」「分散」の枠組みでの運用を基本とした、一般NISAよりも失敗しにくくなるように設計された制度ですが、年間の投資可能枠は一般NISAの120万に対し40万円と少額です。現時点でNISAを運用されている方も、「長期」「分散」のスタンスで運用していけばよいのです。


Q.税金の考え方は?

A.今の日本の税制では、キャピタルゲインに対して20%が課税されます。含み損益は課税の対象にはなりませんから、利益確定のタイミングも取り崩しの方法も、投資家としては気を遣うところです。キャッシュ化の必要があるときは、なるべく儲かってないものをキャッシュ化したほうがいいでしょう。もし損失を出してしまった場合は、確定申告の際に損益通算、つまり損とプラスを相殺することができます。また、法人名義で資産運用をする場合は、売却益が出たときに法人の経費で落とせるケースもありますから、運用額が大きくなってきたら法人スキームを使っていくことを提案します。


Q.株資産を売却するタイミングはいつがいいのでしょうか?

A.使いたいときに売ればいいのです。そして、使い道がなければぜひ使い道を考えてください。バフェットやゲイツは財団を作って、世界中の子どもを救う活動を支援しています。使い方を考えておかなければ、そもそも売るタイミングもありません。


株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


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