産業新潮
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10月号連載記事


■その16 現代の経済社会は、会社や国家というチームでプレーする

●スーパーヒーローはかっこいい

 仮面ライダー、ウルトラマン、スーパーマン、バットマンなど、私世代でもなじみがあるスーパーヒーロー達は、基本的に「ピン」である。相棒がいる場合もあるが、率直に言えば「アシスタント」程度の役割しか果たさない。
 ミステリー(探偵小説)の金字塔であり、最も映画化・ドラマ化されたといわれる小説である「シャーロックホームズ・シリーズ」のホームズとワトソンの関係も、探偵とアシスタント兼記録係であると言ってよいであろう。

 しかし、最近のヒーローものは、ゴレンジャーなどのように「対等な立場の仲間が力を合わせる」スタイルが増えてきているように思える。ワンピースは、ヒーローものや戦隊ものとは違うが、「個性的な仲間たちが力を合わせる」という点では同じである。

 さらに「モ―ニング娘」から始まって「AKBシリーズ」や「EXILEシリーズ」などの絶えない人気を見ていると、まるでガレージで立ち上げたベンチャーが、次々と関連企業を立ち上げ、破竹の勢いで成長する姿を思わず重ね合わせてしまう。

 AKBシリーズの場合は、それぞれのタレントは別々の事務所に所属しており、プロジェクトはブランドや活動機会を提供しているだけであるからまさにフランチャイズシステムである。さらには、アジアを中心とする海外にまでフランチヤイズシステムを広げているのであるから、恐れ入る(メンバーは現地の少女たち)。

 一時期、篠原涼子、安室奈美恵などに楽曲を提供し、ヒットを連発し時代の寵児となった小室哲哉氏は、「ヒット戦略のカリスマ」としてしばしばビジネス講演会の講師を引き受けていた。同氏は現在芸能界を引退し(最近復帰したとの報道がある)、不遇な状況にあるとも言えるが、一つの時代を創り上げた才覚ある人物とも言える。
 芸能界というのは、世の中の流れをもっとも敏感に反映する場所であり、経営者やビジネスマンが多くを学ぶことができる。


●知識社会では労働者が生産財を保有する

 ピーター・F・ドラッカーは、これからの「知識社会」の到来を予想している。古典的な経済学では、「利益を得るための生産財」は資本家が独占し、貧しい労働者は生産手段を持つ資本家に搾取されるしかないという説が広く流布していた。
 ある面ではそれは正しかったかもしれないが、ドラッカーが指摘するように、工業化の到来や技術革新さらにはテイラーの「科学的管理法」などによって、生産性が50倍にもなったのは事実である。その増加した利益の大部分が資本家では無く労働者に分配されたからこそ、小学校もろくに卒業できなかった祖父や親の世代の孫や子供たちが、大学や大学院で普通に学ぶことができるようになったのである。

 しかし、知識社会では「生産財は労働者が保有する」。なぜなら「知識社会」での生産財は、労働者個々人の頭の中にしか存在せず、企業は労働者を雇用するという間接的手段によってしか、その「生産財」を手に入れることができないからである。


<続く>

続きは「産業新潮」
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10月号をご参照ください。


(大原 浩)


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