もう3月。陽も長くなりました。
ここのところEB債を題材にする執筆が増えましたが、振り返れば2021年8月頃のコラムでは、当時はIFA(独立系金融アドバイザー、いわゆる仲介)業者によるEB債販売が花盛りで、それに違和感を覚えたことから注意喚起のつもりで書いたことを思い出しました。
当時、IFA業者は雨後の筍のように続々と設立され、何故にこんなにも沢山の業者が増えているのかと気になって調べたところ、2018年頃から国内の証券会社やIFA業者による米国株式の売買増加(営業注力)とともに、米国株を利用したEB債が大量に発行されていることを知ったからです。
外国株売買から得られる手数料は日本株の売買手数料より高く、ましてやEB債のスプレッド(単価差益=手数料)は一般的な金融商品の手数料を遥かに上回ることから取扱う業者が増えていたようです。
収益商材を探し求めていた地銀なども多くが参入しました。
加えて、EB債は株式より安全性に優れているように見える工夫がされており、且つ高い手数料を得られる商品でしたから、数千万円単位で買うことが出来る富裕層を多く抱える(腕に自信がある)営業マンの中には、在籍していた銀行や証券会社を退職しIFAへ移り歩合給営業をすることで年収を数倍にも上げることに成功した方もいました。
旧来型の金融機関に有りがちな、精神論が先行するノルマ営業で苦しむより簡単に収入を上げることが出来るのですから誰でも転職を考えたことでしょう。
同じ頃にはカンポ生命の不正販売も横行していたようです。
特に2018年以降は儲からない(手数料が上がらない)日本株に対して、順調に株高が続く米株に営業力を傾ける証券会社が増えていましたから、そんな環境下で(上がり続けてさえいれば元本割れをせず手数料が大きい)EB債の発行が増えたようです。
この種の仕組債は余程慎重にコストを抑えて組成しなければ投資家メリットの無い商品になってしまうため、当時の組成条件や発行状況を調べた次第です。
分かったことは、昔と違って2018年頃から急増したEB債の組成がとても荒っぽいものになっていたことです。リスクとリターンの割合が全く見合わず、且つ幾つかの金融会社幹部にヒアリングしたところ、リスク値に対する十分な理解が無いままに儲かることばかりを強調していましたので、これは危ないと感じた次第でした。
結果、米国株が下落したことで、この商品の問題点が表面化したのが昨年でした。
小手先の(名ばかりの)市場運営や規制をしているうちに内包する問題が見えないところで膨らみ続けます。責任者の誰もが責任を取らず、口先だけの軽い処分で問題をやり過ごそうとします。
不正があったのか否か、金融庁は詳細に調べるべきであり、不正があった際には従来通りの「業務改善命令」や1~2週間程度の「業務停止命令」など、受けた業者(身内)に大した痛みを与えない処分で済ますことの無いよう、監督官庁としての自覚を持ち、責任ある仕事をして欲しいと思います。
もちろん、全ての省庁においても同様です。
異次元、且つ抜本的な市場改革、行政改革が待たれます。
ところで、少子化対策予算について良いアイデアがあります。
厚労省主導で「こども宝くじ」を取り扱うのは如何でしょう。
1,000億円ほども販売できれば400億円を少子化対策に回せますし、100億円ほどで文科省や厚労省の天下り先を潤すことも出来ます。この金が流れて政治献金も増えるでしょうから、(情けない話ですが)政官ともにヤル気を出しそうです。
賭博を活用するという、異次元の少子化対策です(笑)。
各省庁の縦割り利権の中で、宝くじ、競馬、競輪、競艇、パチンコ、スポーツと様々な賭博を手掛けて天下り先を潤していますが、役所の仕事なら何でもアリなのですから大掛かりな「こども宝くじ」を始めるのも面白いです。
小中学校や保育園の窓口で買えるようにすればコストも抑えられ、射幸性を高める宣伝とともに、売上げの数%を販売した学校や園の運営費として使えるインセンティブも加えれば販売額も増えそうです。
「日本では賭博開帳や賭け事は犯罪だけど、役所がやる賭博は公認だよ」との教育にも役立ちます。政治や行政についてのリアルな勉強になりますね(笑)。
一方のIR(統合型リゾート)構想は省庁間の利権調整が難航し、もう10年以上にもなるのに、いつになったら動き出すのかも分かりません(呆)。
和歌山県の〇階先生による不動産買占め疑惑の追及も含めて、最近はニュースを見ることも無くなりました。
これが日本の政官の行動原理(腐敗)です。利権が無ければ何も動きません。
話しは変わりますが、少子化対策予算としては、仮に物価が10%も上がれば消費税収も約10%増えるのですから(2兆数千億円)、わざわざ税率を引き上げるまでも無く、税収を増やすために政府がやるべきことは経済活性化(構造改革)や賃金引上げに資する立法・予算などのはずです。
細かな財源をひねり出す作業は役人に任せ、構造改革や成長戦略を描くのが政治家の役割ですね。政治家は有権者の代理人として行政の無駄を監視するためにも存在するのですから、余計な道路や橋を作るより法律を作ってもらいたいものです。
昨年(2022年)は出生数80万人弱に対し158万人が亡くなられたようです。
政府想定より11年も前倒しとなり、年間で約80万人(地方1県分)もの人口が減る時代に突入しました。
少子化対策も経済対策も効果のある策は色々と思い付きますが、政官財の癒着が障害となり遅々として進まず、経済界トップに君臨する電力会社の不正も後を絶ちません。12年前の東日本大震災以来、寡占を防ぐための送配電分離も遅々として進まず今に至っています。利権維持のためにコソコソと脱炭素投資を遅らせ、今になって電力が足りないと大騒ぎして原発に入れ込むなど、本当に呆れるばかりです。
これらは日本の政治・行政の悲劇であり、その被害者は善良な大多数の国民です。
それ故に抜け目の無い海外の投資家達は、その足元を見て国債や株式の空売りを仕掛けてきます。
「どうせ日本は変われないのだから」・・・と。
金融市場対策も少子化対策も異次元の策を繰り出さない限り、従来の延長線上で既得権を守りながらの施策では限界が見えています。
(街のコンサルタント)
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