2014年最初にお届けする「市場潮流」です。本年も何卒宜しくお願い致します。

 6日(月)に始まった東京株式市場は、週間で379円(2.3%)下落しました。6連休となった年末年始の休暇中に米国株の上昇が一服したことなどが意 識され、大発会の6日から利益確定売りが優勢となりましたが、昨年の年末に大納会(30日)まで9連騰したことを勘案すれば、当然の調整といえましょう。 むしろ、日経平均で382円の下落となった6日も、東証一部の昨年来新高値銘柄数が170に達するなど、相場の地合いは相当に強いと評価出来ましょう。株 式相場は当面上昇基調を維持するとの見方に変更はありません。

 1月6日の日本経済新聞電子版で証券部高井宏章記者は、「株高持続へ気になる世界の『適温』リスク」と題して、「脱デフレ」に伴う株高期待の裏のリスク 要因について見事な解説を加えています。高井記者は「世界的なディスインフレのもと、日米欧の中央銀行はインフレリスクを気にせず緩和姿勢を継続できると いうのが市場のコンセンサス」としつつ、「世界の生産年齢人口の比率低下という半世紀ぶりの大転換」との東京海上アセットマネジメント投信・平山賢一チー フファンドマネジャーの見方を以下のように紹介しています。
 国連の推計では、世界の生産年齢人口(15歳~64歳)の比率は、2013年の65.81%をピークに48年ぶりに低下に向います。一方、消費に積極的 な35~54歳までの比率は2030年まで上昇が続く見通しで、2014年を境に供給と需要のバランスが変わり、新興国の中間層の成長などを背景に消費主 導で最終製品やサービスの価格が上昇しやすくなる、というのです。

 現在、米国では猛烈な寒波に見舞われていますが、米国の原油相場は8カ月ぶりの安値水準となるなど、先進国中心に物価の低迷基調が続いています。 2000年代初頭以降、高度成長により資源価格の高騰をもたした中国経済がスローダウンしていることも、商品市況の低下をもたらしているといえます。主要 先進国の中央銀行が軒並み緩和的な金融スタンスを維持するなか、主要新興国の景気が減速していることは、世界的な規模でのインフレを抑制する効果があると もいえましょう。
 ただ、中期的にみれば、平山氏の指摘が実現する可能性は高いといえ、金利の急騰を想定した投資スタンスを少しずつ意識するべきでしょう。

(水島寒月)

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