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今回から4回にわたって、老後の「お金」について考えていきます。
まず初回は「老後のマネープランを考える」と題して、30代~50代の現役世代の方々がリタイア後の生活を迎えるにあたって、「お金」の面でどのような準備をしなければならないかを一緒に考えます。
まず最初に、今回は想定するケースとして、
65歳まで現役として企業などで勤務し、65歳以降は退職し、年金支給を受けながら貯蓄を取り崩しながら生活をする
こととします。
実際には、将来の日本では年金財政の悪化や高齢化の影響を和らげるために、勤労期間の延長(元気で働ける人はできるだけ長く働く)や、年金支給開始年齢 の延長(諸外国では67歳~70歳支給の決定が行われつつある)といった対策が行われると考えられますが、その影響はまた次回以降に検討するとして、今回 は現在の制度が維持されると想定したケースで考えてみましょう。
まずは、老後の主たる収入になる年金です。2010年の「国民生活基礎調査」では1世帯当たり平均で216万円の年金収入があることが分かります。年金収入は各家庭で大きく異なりますが、これを平均家庭と考えましょう。
一方で支出面では2011年の「家計調査」で世帯主が70歳以上の家計では食料品83万円、住居(持ち家)20万円、保険医療20万円、教育娯楽30万 円、その他133万円、合計286万円(月額約23.8万円)という調査結果があります。この支出を老後の生活支出の平均として考えると、
収入(年金)216万円-支出286万円=▲70万円(貯蓄取り崩し)
という結果になります。
平均的には1世帯当たり年間70万円取り崩しながら生活を送るということがわかりました。では後は日本人の平均余命を見てみましょう。
2012年厚生労働省発表の「平均余命表」では65歳の男性は18.89年、女性は23.82年となっています。つまり65歳で退職した後、平均的な男性は84歳、女性は89歳まで寿命があるということになります。
今回はやや保守的に65歳から25年間(90歳まで)の生活期間があるとすれば、
70万円×25年=1,750万円
を65歳時点では準備しておく必要があると言えそうです。
では30代~50代の皆さんはどのようにしてこの金額を準備するのでしょうか?
一つはご自身の退職金予定額をしっかりと把握しておくことです。退職金は「給与の後払い」的な性質の強いお金ですが、あなたの代わりに企業がしっかりと資産形成してくれていたと考えて良いでしょう。
平成25年の経団連の調査では60歳定年の退職金額が2,125万円~2,491万円、ただし経団連は大企業の調査になりますので、その他企業の調査と しては平成24年東京都産業労働局労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情 平成24年版」によると60歳定年時は1,113万円~1,224 万円であることがわかります。
つまり経団連に所属するような大企業勤務の方は定年時の退職金をそのまま65歳まで維持しておけば、老後の生活資金として十分であり、その他企業の場合には老後資金の半分程度は退職金があり、もう半分は自力で資産形成をしていく必要があるという事になります。
今計算したのはあくまでも平均的な家計イメージなので、皆さんはこの数字をベースに
「うちの会社の退職金や老後の年金はこんな平均ほど出ないのではないか?」
「退職金は老後資金ではなく、住宅ローンの返済にする予定でした」
「自分は持ち家ではなく賃貸なので家賃の25年分も上乗せで準備しておこう」
「毎月の支出は20万円もあれば十分なので、1,000万円は少なく見積もれる」
「インフレ率を考慮していないので、インフレ率を2%で想定しておこう」
といった個々の家庭の事情を踏まえて想定される準備資金を調節してください。
今回のポイントとしては
・自分の家庭の老後の生活費イメージを家庭で共有する
・自分の老後の年金がいくらもらえるのか、退職金がいくらになるのかを事前に把握しておく
・家が賃貸の場合には、老後の生活費に賃貸料を考慮する
となります。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
まず初回は「老後のマネープランを考える」と題して、30代~50代の現役世代の方々がリタイア後の生活を迎えるにあたって、「お金」の面でどのような準備をしなければならないかを一緒に考えます。
まず最初に、今回は想定するケースとして、
65歳まで現役として企業などで勤務し、65歳以降は退職し、年金支給を受けながら貯蓄を取り崩しながら生活をする
こととします。
実際には、将来の日本では年金財政の悪化や高齢化の影響を和らげるために、勤労期間の延長(元気で働ける人はできるだけ長く働く)や、年金支給開始年齢 の延長(諸外国では67歳~70歳支給の決定が行われつつある)といった対策が行われると考えられますが、その影響はまた次回以降に検討するとして、今回 は現在の制度が維持されると想定したケースで考えてみましょう。
まずは、老後の主たる収入になる年金です。2010年の「国民生活基礎調査」では1世帯当たり平均で216万円の年金収入があることが分かります。年金収入は各家庭で大きく異なりますが、これを平均家庭と考えましょう。
一方で支出面では2011年の「家計調査」で世帯主が70歳以上の家計では食料品83万円、住居(持ち家)20万円、保険医療20万円、教育娯楽30万 円、その他133万円、合計286万円(月額約23.8万円)という調査結果があります。この支出を老後の生活支出の平均として考えると、
収入(年金)216万円-支出286万円=▲70万円(貯蓄取り崩し)
という結果になります。
平均的には1世帯当たり年間70万円取り崩しながら生活を送るということがわかりました。では後は日本人の平均余命を見てみましょう。
2012年厚生労働省発表の「平均余命表」では65歳の男性は18.89年、女性は23.82年となっています。つまり65歳で退職した後、平均的な男性は84歳、女性は89歳まで寿命があるということになります。
今回はやや保守的に65歳から25年間(90歳まで)の生活期間があるとすれば、
70万円×25年=1,750万円
を65歳時点では準備しておく必要があると言えそうです。
では30代~50代の皆さんはどのようにしてこの金額を準備するのでしょうか?
一つはご自身の退職金予定額をしっかりと把握しておくことです。退職金は「給与の後払い」的な性質の強いお金ですが、あなたの代わりに企業がしっかりと資産形成してくれていたと考えて良いでしょう。
平成25年の経団連の調査では60歳定年の退職金額が2,125万円~2,491万円、ただし経団連は大企業の調査になりますので、その他企業の調査と しては平成24年東京都産業労働局労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情 平成24年版」によると60歳定年時は1,113万円~1,224 万円であることがわかります。
つまり経団連に所属するような大企業勤務の方は定年時の退職金をそのまま65歳まで維持しておけば、老後の生活資金として十分であり、その他企業の場合には老後資金の半分程度は退職金があり、もう半分は自力で資産形成をしていく必要があるという事になります。
今計算したのはあくまでも平均的な家計イメージなので、皆さんはこの数字をベースに
「うちの会社の退職金や老後の年金はこんな平均ほど出ないのではないか?」
「退職金は老後資金ではなく、住宅ローンの返済にする予定でした」
「自分は持ち家ではなく賃貸なので家賃の25年分も上乗せで準備しておこう」
「毎月の支出は20万円もあれば十分なので、1,000万円は少なく見積もれる」
「インフレ率を考慮していないので、インフレ率を2%で想定しておこう」
といった個々の家庭の事情を踏まえて想定される準備資金を調節してください。
今回のポイントとしては
・自分の家庭の老後の生活費イメージを家庭で共有する
・自分の老後の年金がいくらもらえるのか、退職金がいくらになるのかを事前に把握しておく
・家が賃貸の場合には、老後の生活費に賃貸料を考慮する
となります。
株式会社マネーライフプランニング
代表取締役 小屋 洋一
http://www.mlplanning.co.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)