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創薬ベンチャーの時価総額
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創薬ベンチャーの時価総額

2014-09-24 13:00
    ここでの上昇相場の圏外にある銘柄群が創薬ベンチャーであると言えます。それは2013年5月に活躍した銘柄群であり、その後の調整過程で、理研の STAP細胞の問題で人気離散となった銘柄群です。しかもいつの間にか銘柄数が20を超えて、猫も杓子も創薬ベンチャーとなってしまい投資家の的が絞りに くくなってしまったことも影響しているように思われます。
     結果として創薬ベンチャーの時価総額は低下してきています。

     ただ、一方では開発に向けた取り組みの結果として開発の進捗が見られ、評価の余地が高まっている可能性もあります。

     そこで改めて銘柄をチェックしてみる必要がありそうです。


    【時価総額ランキング】

     大手医薬品メーカーの傘下にはない上場創薬ベンチャー数は現在23社ほどになっています(試薬メーカーまで含めれば25社になるかと思います。もちろん宝酒造系のタカラバイオは除いています)。

     その中のトップの時価総額企業はぺプチドリーム(4587)です。同社の場合は大手医薬品メーカーとの共同研究をビジネスモデルとしており、比較的リス クが小さいために時価総額が大きな状態で推移しているものと思われます。実績R&D費は82百万円にしか過ぎないので他のR&D主体の企業とは明らかに 違っています。

     第2位はスリーディーマトリックスで、時価総額は740億円となっています。同社は米国MITから取得した技術を応用した医療製品の開発に注力してお り、創薬というよりは止血材など外科領域の医療品がメインですので多少範疇から外れるのかも知れません。既に今期から業績が急浮上を見込んでいます。
     中核製品の外科向け止血材の承認が接近し、契約一時金が入るという前提での今期経常利益45億円の計画で、来期以降も業績の拡大が見込まれますので、現状の時価総額が割高であるという印象はありません。このため、ベンチャーを既に卒業しつつあるとのイメージがあります。

     第3位のそーせいグループ(4565)は日本での創薬ベンチャーの中では老舗的存在です。前期までは赤字決算でしたが、今期からは黒字化を見込み、他の創薬ベンチャーと比べて比較的研究開発費を使わずに効率的に成果を出しているという印象があります。
     実績R&D費は5.4億円、今期も4億円のR&D費しか見込んでいないのですが、経常利益は20億円を見込んでいます。

     保有する現預金は72億円で比較的余裕のある経営を続けている点が時価総額の高さにもつながっています。


     時価総額4位以下の企業の株価は大方が低迷状態となっており、これらの銘柄が反転するための材料を探り、タイミングを見て大胆な発想で投資を実行することが成果につながるのではないかと考えられます。
     リスクの高い投資であるからこそ開発の進捗によっては大きなリターンも得られるという視点で臨むべきセクターであろうかと思います。


    【時価総額ランキング 9月19日現在】

    企業名(コード) 時価総額(億円)/経常損益(百万円)

    1.ペプチドリーム(4587)1,384/   570
    2.3Dマトリックス(7777) 740/ 4,500
    3.そーせいG(4565)    652/ 2,000
    4.ナノキャリア(4571)   539/▲1,930
    5.ジーエヌアイG(2160)  465/▲  200
    6.リプロセル(4978)    440/▲  180
    7.デ・ウェスタンS(4576) 389/▲  240
    8.アキュセラ(4589)    322/    85
    9.UMNファーマ(4585)  321/▲3,400
    10.カイオム・バイオS(4583)284/▲1,040*1
    11.オンコセラピーS(4564) 249/▲3,000
    12.テラ(2191)       225/▲  350
    13.メディネット(2370)   220/▲1,450
    14.アンジェスMG(4563)  192/▲2,500*2
    15.メドレックス(4586)    93/    40
    16.シンバイオ製薬(4582)   89/▲1,700
    17.ヒューマンメタボ(6090)  87/    40
    18.メディビックG(2369)   85/    18
    19.ラクオリア(4579)     82/▲1,700
    20.オンコリスバイオ(4588)  79/▲1,030
    (*1:9か月変則決算)
    (*2:新株予約権の全行使株数が前提)


    【株価の位置と推移から見た注目銘柄】

     開発の進捗状況も株価に大きなインパクトをもたらしますがここでは単純に高値からの位置と直近の株価推移から見た注目銘柄をピックアップしてみます。


    1)ナノキャリア(4571)
     がん領域に特化した創薬ベンチャー
     ミセル化ナノ粒子で副作用少ない新薬の開発目指す
     2013年5月高値5630円⇒2014年5月安値885円
     戻り高値2156円⇒時価1339円(直近は1290円と1499円の間で変動)
     R&D費拡大だが、資金的にはまだ余裕。


    2)リプロセル(4978)
     iPS細胞の研究試薬や創薬支援、臨床検査事業を手掛ける、東大、京大と共同研究契約を締結
     2013年6月上場、上場後(7月)の高値3722円。
     2014年5月安値643円、その後の6月高値1077円、直近安値は8月8日の769円、直近高値は9月16日の1080円。
     時価は879円で横ばい推移。
     現預金51億円で豊富だが今後のR&D費に備え新たな資金調達に動く。


    3)アキュセラ(4589)
     米国ワシントン州に本拠を置く眼科領域のバイオ創薬ベンチャー。
     加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、緑内症などの治療薬開発を目指す。
     大塚製薬と業務提携
     2014年2月にマザーズに上場し高値2460円をつけたが、その後5月に520円安値をつける。6月2日に1300円まで戻ったがその後は8月7日に701円をつけ、ジリ高歩調の中にある。


    4)カイオム・バイオサイエンス(4583)
     理研発創薬ベンチャー
     製薬企業に技術供与して収益を確保するビジネスモデル。
     2011年に上場。上場後3回の2分割で発行済み株式数を2027万株に増大。
     創薬アライアンスやライセンス収入は堅調ながらR&D費が拡大中。
     43億円の現預金に対して今期6.4億円(前期は4.4億円)のR&D費を予定。
     2013年1月高値5320円、その後の安値1105円、その後の高値2014年3月4945円。2014年安値1110円で時価は1402円。
     1100円と5000円の間での変動を見せています。


    5)オンコセラピー・サイエンス(4564)
     東大医科研を発祥とするがん治療ワクチンを柱とする創薬ベンチャー、
     発行済み株式数は1億4,673万株で、それを34,000名以上もの株主が支える。
     アンジェスMGの上場から1年3か月後の2003年12月に上場。
     上場時の高値1753円。時価総額は2000億円という時代もあった。
     2013年5月の高値863円、2014年5月安値105円、
     時価は170円。160円~200円が短期売買ゾーン。


    6)アンジェスMG(4563)
     遺伝子治療薬コラテジェンの開発を推進。
     希少薬や難病主体のR&D。上場後300億円近い研究開発費を投入し開発を推進してきた。
     2002年9月の上場で上場後の高値は分割換算で2003年2月の5595円。その後基調としては下落トレンドを継続。
     2013年5月高値は1589円。2014年5月安値280円。
     その後6月に562円をつけたが、再び下落トレンド。
     ライツオファリングで株主割り当ての新株予約権3240万株分を発行。
     行使価格288円で、本日まで売買された。
     既存株主の換金売りに押される状況で行使価格に接近したが、ファイナンス終了後の反転上昇に期待(本銘柄については横丁ホールディングス発行の有料メルマガ【炎の投資情報】本日号に掲載。ぜひご購読頂ければ幸いです)


    7)メディビックグループ(2369)
     ゲノム創薬ベンチャーから再生医療へ転換。
     遺伝子検査、くすり体質検査など予防医学分野での成長目指す
     2003年9月の上場で上場直後の高値3960円(分割換算)。
     2012年5月安値46円。その後2013年5月には高値604円をつけました。
     その後は2014年2月に242円安値、3月10日に460円高値をつけましたが、時価292円で趨勢的な下落トレンドからの脱却ができない状態ですが、昨年3月に交代した現経営陣の下、活発な事業展開が期待されています。

    (炎)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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