上場した会社がアナリストに対して自社の決算内容を説明するのはごく当たり前のことですが、企業は決算発表を四半期ごとに行っているため、その発表前には沈黙期間を設けてアナリストをシャットアウトします。

 株価の状況がどうであってもこの沈黙期間は堂々と適用されます。上場してかなりの時間がたっている企業ならともかく、上場後間もない知名度のない企業までもが、そうした対応でアナリストに会おうとしないのは問題です。

 オウチーノ(6084)という会社は2013年12月にマザーズに上場した企業です。株価は上場(公募価格3500円で13万株発行)後に9550円ま で上昇しましたが、そこからあれよあれよという間に2000円割れまで下落してしまいました。今期決算の赤字転落が背景になっています。
 私は株価が下落している同社に一度取材を試みましたが、沈黙期間に入ったということで担当者から取材拒否を受けたことがあります。上場時の公募価格 3500円も下回る株価を放置した上、取材を拒否する態度を続けたことでもたらされた現在の1800円台という株価水準が形成されている背景は、何も業績 の修正によるものだけではないことを発行体企業は知るべきだと思います。

 こうした極端な事例は滅多にないことですが、それにしてもひどい事例となってしまいました。それと何よりも問題なのは赤字転落を予め知っていたのではな いかと思えるような株価の下落が見られたこと。予め赤字転落を知っていた投資家がいるのではないかと思えるような株価推移で、もしそうであるとすれば大い に問題です。
 また、上場後1年も経過しない間に合計2回、10万株の自己株買いを発表したこともやや問題となりそうな行動です。一体何のために上場したのか、何のために資金調達をしたのか、よくわかりません。
 上場前に今期の赤字転落は知りようもなかったのかと思いますが、本当に3500円の価値があったのかどうか、主幹事証券であるSBI証券にも同義上の責任の一端があるように思えます。

 沈黙期間の遵守は企業にとっては必要なことなのかも知れませんが、少なくともアナリストの取材を忌避する態度だけは避けるべきだと思います。

 さて、そんな同社も先日決算説明会を開催しました。赤字に転落することになった反省を込めて経営陣は深々と頭を下げ、大いに反省の弁を述べていました。

 WEBを主体にしたお金をさほど使わないビジネスです。折しも来年から不動産取引をネットで行えるとの規制緩和策が打ち出され、同社のような不動産サイ ト運営会社にメリットがもたらされるとの期待が高まりそうですので同社の復活劇があるのか、問題は残っていますが引き続きウォッチしてみようと思います。

(炎)

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