「覆面次郎さんはどうしてそんなに業界の内部に精通しているんですか?」
 そんなご質問をいただくことがあるんですけど、それは言えません!

 ……ってのは冗談で、まあ不思議とそういった仲間たちが集まってくるからなんですよね。

 たとえば、次郎の仲間うちで月に1回程度開催される「カス会」ってのがあります。
 これはですね、まあ俗世間的に言われる「パチンカス・スロカス」なんて言葉の“カス”からとって、パチンコ・スロット好きのみんなで打ちに行こう、そんな集まりですね。

 そのカス会のメンバーが、こんな感じ。

・某Nメーカー勤務
※パチンコ開発だけどスロットが好き

・スロット企画開発会社勤務
※ミリオンゴッド中毒者

・パチンコ、パチスロ広告代理店勤務
※社畜のため多忙

・一般遊技者代表
※貴重な女子、彼氏がパチンコ業界勤務

・カス代表
※覆面次郎

 ……こんなような豪華なメンバーが集まり、終日打ちに行ったりしているわけです。
 なんとなしに集まったメンバーですが、実は音楽を通じてたまたま集まった人間関係。バンドが趣味の次郎が、唯一バンドやってて良かったなって思った部分ですな。

 そんなこんなで、朝も早くから並んで業界について色々話を聞いたり、実戦が終わってからは飲みにいって裏話を聞いたりと、自然と情報が入ってくるオイシイ立場なのがワタクシ覆面次郎なのであります。

 で、面白いのがみんなそれぞれ繁忙期がかぶっていることですね。

 とくに今なんかは、規則の改正があり、もともとのスケジュールを数ヶ月短縮して来年1~2月に施行されるであろうスペック変更に間に合わせるべく、みんながみんなてんてこまいになってたりします。まあ30も半ばのいい大人たちですから、そうそうスケジュールが合わないのも仕方ないんですが。


 仕事関連で言えば、いつも話に挙がるのが転職について。
 一般的な職よりも、はるかに転職率が高い業界なんじゃないでしょうかね?

 そう書くと、「そんな人間ばかりだから面白い台が出ないんだ!」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。

 好きだからこそ嫌気が差す。
 そんな言葉が相応しいんじゃないでしょうか。

 今の業界の体制では、自分が面白いと思った台を自分で企画し、作り、世にリリースすることは“ほぼ”不可能です。
 何十、何百という多くの人間が携わって作られるのがパチンコ・スロット台ですから、当然十人十色の好みがぶつかり合います。

 ぶつかり合った個性の中間をとられた中途半端な機械に2年3年もの開発期間をかけ、中途半端な気持ちでリリースし、「つまらない」「クソ台」などと揶揄されるのは、当然開発側も辛いわけです。

 その上、世間からの風当たりも強く、警察の意見ひとつで業界を揺るがすような大きな変更を余儀なくされる。仕事が終わるのも終電近いという業界人はかなり多いんですよ。

 まあ、そんな愚痴を聞いていると、転職したいという気持ちになるのも仕方ないのかなって思いますね。


 そんな話を聞いていると、どんな台でも、愛情を持って打つことができるんですね。

 この台は、きっとこうなる運命ではなかったはず。どこかで歯車が狂ってしまったのかな…とか、この台のやりたかったところはこの演出の部分なんだろうな、とか、作り手側の意図を汲んで打つ、という意識が芽生えてきましたね。


 ……とまあ、こんな感じで業界関係者の輪を広げている次郎なのです。
 疑問に思っていた読者のみなさま、納得していただけたでしょうか。

 あ、次郎は単なる本物のカスです。あしからず。


 というわけで今週はこの辺で。
 それではまた来週お会いしましょう。