昨日はバレンタインでしたが、今年は土曜日だったんですね。
露木行政書士事務所・露木幸彦と申します。

ほとんどの会社は休日なので、チョコを渡す側も、もらう側も
微妙すぎる「義理」という関係から解放されそうですね。
これならマライヤ・キャリーの歌を心地よく聞くことができそう。

ただ、我が家は例外中の例外。実は祖父の誕生日がバレンタインなのです。
さすがに何もあげないわけにはいきません。義理中の義理であっても、です。

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さて前回は「母親の熟年離婚」の相談を、母と子(娘や息子)が一緒に
相談に来るというケースが増えているというお話をしました。
今回はその続きからです。



72歳の妻と、46歳の娘が一緒に相談しに
来たケースをご紹介しましょう。


相談当時、夫と妻(娘の両親)はすでに4年間、別居生活を続けており
別居期間中も、夫は妻に対し、
絶え間なく「離婚して欲しい」と言い続けてきたのですが
妻はいっこうに首を縦に振ろうとしなかったようです。



しかし、離婚協議の途中で夫が大病を患い、
いったん話が止まってしまったのですが
むしろ、これがきっかけで離婚の問題は一気に解決へと向かったのです。




これはどういうことでしょうか?



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年配の夫婦が離婚する場合、必ずといって良いほど、
問題になるのは「年金」です。



夫が婚姻期間中に納めた厚生年金(共済年金)の最大2分の1を
妻に付け替える制度を年金分割といいます。



このケースでは夫が現役時代、会社勤めだったので
年金事務所で「夫の厚生年金の2分の1を妻に付け替えたら、
具体的に夫の年金がいくら減り、妻の年金がいくら増えるのか」を
試算してもらうことが可能です。


そのため、私は妻に対し、試算を出してもらうよう、
アドバイスをしました。



そうすると今、離婚して分割の手続をすれば、
妻の年金が毎月4万円、増えるという結果でした。


このケースでは、夫がすでに年金を受給しているので、
年金を分割する時期が遅れれば遅れるほど、
分割対象の年金が減り、妻のメリットは少なくなります。



ところで、妻は別居期間中、夫から毎月7万円の生活費を
もらっていたようです。


もちろん、理想を言えば、離婚した後も、
夫から同額の生活費をもらった上で
年金を分割すれば良いのですが、相談当時、
夫は年金分割の制度を知りませんでした。



だから、妻は「『離婚後も生活費を送って欲しい』と頼んだら、
夫の機嫌を損ね、年金分割を断わられたり
『2分の1ではなく、3分の1、4分の1しか分割しない』と
言われたりしたら、どうしよう」と心配していました。




もし、離婚した後、夫から生活費をもらわず、
年金分割の手続だけを行った場合
妻の毎月のお金は3万円も減ってしまいますが、
必ずしも年金分割より生活費を優先すべきとは言い切れません。


なぜでしょうか?



万が一、妻が離婚せず、夫から生活費をもらい続けた場合、
夫がずっと元気なら良いですが年も年ですから、
何があるか分かりません。



一方、年金分割の手続をしておけば
夫の生き死にに関係なく、
分割された年金は妻に支給され続けます。



例えば、夫が3年後に亡くなった場合、
妻が受け取る生活費の合計は252万円ですが
妻が78歳まで生きていた場合、妻が受け取る(夫から分割された)
年金は288万円ですので、


この年に年金は生活費を逆転し、
そして妻が長生きすればするほど、
生活費より年金の方が有利になるのです。



だから、妻は「年金分割さえ、夫が協力してくれれば、
離婚に応じよう」という結論を出しました。



しかし、娘の考えは母親(妻)とは違っており、
せっかく離婚に応じるのなら父親(夫)から、
もっとお金をもらうべきだと話していました。




なぜでしょうか?



娘は一人っ子なので、母親が年老いて体の自由が
利かなくなった場合、娘が母親を引き取り、
一緒に暮らすことも検討しなければなりません。



とはいえ、娘もお金に余裕があるわけではありません。
娘は結婚していて、夫との間に2人の子供がいたのですが
当時、子供は高校生でお金がかかる時期にさしかかっていました。



だから、母親と同居することになった場合、
母親の財産は多ければ多いほど助かるので
多少、時間をかけても、父親(夫)から多くのお金を
受け取って欲しいと思っていました。


娘はもちろん、娘の夫の意見も反映されていたようです。



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もちろん、夫にまとまった財産があり、
離婚せずに、年金分割もせずに夫が亡くなっても、
年金分割に見合うほどの財産を妻が相続することができれば良いですが
妻いわく、夫には借金はあっても、貯金はないだろうと。



このケースでは夫婦間で会話が成り立たないので、
娘が夫婦間の窓口になっていたのですが
電話口の父親の声が次第に小さくなり、

病院に通う回数が増えていき、娘は父親(夫)を
早くこの件から解放し、楽にしてあげたいという
気持ちが芽生えていったようです。



もちろん、先延ばしにするデメリットを
知ったことも理由の1つでしょうが
最終的には娘も「夫が年金分割の手続に協力すれば、離婚に応じる」と
いう条件を了承し、そして夫は年金分割の按分割合を
渋ることなく、無事、離婚が成立したのです。



(次回に続く)


現在私が執筆している日経新聞の連載「男と女のマネー学」ですが
おかげ様で本日、16回目が公開されました。
今回は「前妻×本妻の保険相続バトル」
ちょっとした気分展開にぜひぜひご覧ください。

http://www.nikkei.com/money/features/75.aspx?g=DGXMZO8309274012022015000000&n_cid=DSTPCS008