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こんにちは。DSM-5の刊行に伴い、心理学Ⅱの精神医学のテキストを改訂しました。
http://www.graduate-juken.com/kouza/_16.html
すでに受験勉強を始められている方はご存じかと思いますが、
DSMはアメリカ精神医学会刊行の精神疾患の診断・統計マニュアル
(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)です。
今回は5回目の全改訂版のためDSM-5、原本の刊行は2013年、日本語翻訳版が2014年
に出版されています。
2016年度入試からは出題されるかもしれませんので、概ねDSM-Ⅲからこれまでの
変遷を押さえておかれるとよいでしょう。特に、院修了後に医療領域へのご就職を
お考えの方は、今のうちから情報収集されておくことをお勧めします。
DSM-Ⅳ-TRから、今回のDSM-5への改訂点は多岐に上ります。今度の春入試で出題
される可能性はおそらく少ないと思いますが、臨床心理士指定大学院受験に、特に
関連しそうなトピックを少し挙げますと
・多軸診断の廃止
・児童青年期精神障害の章の解体
・広汎性発達障害の自閉スペクトラム症への置き換え
・気分障害の章の解体
・ADHDの神経発達症群への移動
といったところでしょうか。
生涯発達モデルと2因子構造モデルによって、各精神障害群の章の配列が大きく
変更されました。そのため、上記のような章の解体および他症群への頻繁な移動
が行われています。
(※日本では2005年の発達障害者支援法により、ADHDを発達障害と位置付け)
それからDSM-Ⅲ以後の大きな特徴であった多軸診断が廃され、これまでのⅠ~Ⅲ軸
をまとめて1軸として記載するよう変更になっています。
また日本語翻訳版では、これまで“disorder”は「障害」と訳されていましたが、
特に発達障害を含む児童青年期の疾患では、「障害」という言葉がお子さんや
保護者の方に与える影響などを考慮して、原則として「症」に変更されています。
なおDSM-Ⅳの広汎性発達障害(PDD)は、DSM-5では下位カテゴリーを持たない
自閉スペクトラム症(ASD)へと置き換えられました。そのため、アスペルガー障害
や特定不能の広汎性発達障害という診断名はDSM上から消えたことになりますが、
これまでサービスを受けていた人がDSM-5の改訂後に受けられなくことを避けるため、
DSM-5の診断基準には「DSM-Ⅳで自閉性障害、アスペルガー障害、PDD-NOSの診断が
十分確定しているものにはASDの診断が下される」と明記されています。
ちなみに今まではDSM-Ⅳなどローマ数字が用いられてきましたが、今回はDSM-5と
アラビア数字が用いられていますので、ご注意ください。
と、一応書きましたが、余裕のある方には書店等でぜひ一度手に取っていただきたい
と思いますが、一般的にはこの時期はこれまで勉強されてきたことの復習に専念する
時期かと思います。
受験というだけでストレスフルな状況のうえに、春入試は寒さやウイルスといった
要因も加わりますものね。大変ですが、がんばりましょう!
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