渋谷駅から徒歩約10分。各国の大使館や高級住宅がそこかしこに構えるラグジュアリーな雰囲気のエリアから少し進み、一本路地に入ると見えてくる古風な外観のマンション。ここに住むのは、「1日1食カレーを食べる」という高橋さん。フラワーコーディネーター・高堂さんと二人で暮らす、一見レトロな雰囲気を放つこのマンションは2015年に改装され、古き良きデザインは残しつつも現代の生活に合わせた仕様に。3方位に窓がある珍しい間取りの部屋には、二人のこだわりが隅々に点在していた。
名前:高橋祐司さん 高堂絵莉さん職業:面白法人カヤック ディレクター・プランナー(高橋さん) Hender Scheme、一花屋 フラワーコーディネーター・展示プロデュース(高堂さん)
場所:東京都渋谷区神山町
面積:1LDK 36㎡
家賃:非公開(賃貸)
築年数:34年(2015年に改築)
お気に入りの場所
キッチンカウンター「ここでコーヒーを飲んだり、話したりしてます。程よいスペースがあるので、作った料理が置けるし便利なんですよ」
カウンターの壁面には、作家さんの食器を多く扱う「黄魚」で購入したというコーヒーフィルター置きが。シンプルなつくりだが、すごく便利なんだとか。
ちなみにカウンターの内側には、調味料などが置ける備えつけのスペース。この最上段に並ぶのは、1日1食カレーを食べ、そのカレー好きが高じて自身でも作るようになったという高橋さんが厳選したカレースパイスたちだ。だいぶ数が多い。
唯一買い足したソファ「昨年4月から住み始めて、家具はほとんどお互いの家から持ってきたのですが、ソファだけなくて。この部屋の家具の中で唯一買い足しました。
仕事から帰ったらとりあえずこのソファに座って、雑誌を読んだりしてます」
ソファの近くに置かれた雑誌ラックはsnow peakで購入したもの。雑誌の下にも同じラックがあり、そこには『HUNTER×HUNTER』全巻が隠されていた。
この部屋に決めた理由
「物件の中身というよりも、なにより一度でもいいから『奥渋』に住みたかったんです。引っ越しの準備も整っていなかったのですが、こまめにチェックしていたら珍しく神山町のこの物件に空きが出たので、急いで駆け込みました。
2015年にリノベされたから部分的には新しいんですけど、全体的にアーチ型の壁があったりして、造り自体は古いものが残ってる。そこがいいなぁと思いました。
特徴的なデザインの古い建物だからか、友人からはよく『実家感があって、落ち着く』と言われます」
残念なところ
窓は多いのに、日当たりが悪い
3方位に窓がある高橋さん宅。意外にも、日当たりはよくないと言う。
「方角の問題と、窓を空けるとすぐ隣の家というのが理由だと思いますが、日があまり当たらなくて、弱い植物はすぐ枯れてしまうんですよ。大きいものは生き残ってくれますが……。
あと、部屋にプロジェクターを設置したいんですけど、ほぼ窓なので、映し出せるような広い壁が少ないのが嫌ですね」
ベッドまでも襲う冬の寒さ窓の多さは開放感が出て過ごしやすい反面、寒さもつきまとう。この寒さに対し、高堂さんが切に訴える。
「この部屋、寒いんです。この時期は大体エアコンが直接当たるソファの上にいます(笑)。トイレにも風呂にも窓があるし、窓だらけ。窓近くに置いてあるベッドも寒いんですよ。カーテンでなくブラインドを使っていることも関係していると思いますけど……。
でも、東京西川の羽毛布団を購入したらめっちゃ活躍してくれるんです! 部屋が寒いから余計強く感じるのかもしれませんが、軽くて、あったかいんです。もう最高」
お気に入りのアイテム
札幌駅で使用されているデザインの時計「時計がずっとなかったんですけど、2月頭くらいに購入しました。なんだろう、時計があるだけで部屋がしまりますね。
ちなみに札幌駅で使用されている時計なんです。大きさは違うかもしれませんけど」
建築家が作った、世界にひとつだけの机建築家の谷尻誠さんが作ったという机。貴重な一品、なぜ高橋さんが持っているのだろうか……?
「谷尻さんが自身のインスタグラムで『どなたかテーブルいりませんか?』と仰っていて、すぐさま連絡しました。それで車で取りに行き、譲っていただいたんです。売っていないシロモノですからね、これ。重さがしっかりあって、頑丈な作りが気に入ってます」
アプリと連動した電球こちらはPHILIPSの「Hue」という電球。アプリと連動させると光の調節が可能で、スマホから操作することができる。
「お客さんが来るときは、色を変えて楽しんでいますね。青色にもなったりするのでなかなかおもしろいですよ」
Hender Schemeの革製品部屋のところどころで見かける、高堂さんが働く革のブランド・Hender Schemeの製品。インスタントカメラが趣味だという高橋さんのカメラケースやティッシュケースなど、質感のよい革アイテムがレトロな雰囲気のこの部屋に馴染んでいる。
暮らしのアイディア
花器がないときは、ドライフラワーに高堂さんは仕事柄、草花を持って帰ってくることが多い。ただ花器にも限りがあるため、工夫しているようだ。
「植物が置けるところを増やしたくて。まだまだ花器が足りないんですけど、梅酒などを作るときのビンも使ったりして、たくさん置けるようにしてます。
あとはもらってきた植物を、ドライフラワーにしてます。ドライフラワーって、もらって来たらすぐ干さないと、パリパリにならずに葉っぱが落ちやすくなってしまうんですよ。花器が少ない分、もらったらすぐドライフラワー用として干すことが多いです。なるべく日当たりのよいところに干しておけばすぐできるので、簡単ですよ」
これからの暮らし
近所に人気のパン屋が多いからかわかりませんが、バルミューダのトースターが気になっています。今のところ、買う予定はないんですけど(笑)。あと、どこに使うかはまだ考え中ですが、早くプロジェクターを導入したいですね。
次引っ越すとしたら、知らない街に住んでみたい。今の部屋にずっと住むことは考えていないので。駅から遠いのは特に気にならないので、気になったとこがあればどこでも。広い屋上のある部屋で、日向ぼっこできるようなところが理想です(笑)。
おまけ:屈指のカレー好きがおすすめする、絶品スパイス
自分で「病気です」と表現するほど、ここ2、3年で急激にカレーが好きになっという高橋さん。うれしそうにおすすめスパイスを取り出してくれた。
「普段作るときは、『カルダモン』『シナモン』『クローブ』を油で炒めて使用しています。……まあ、これらはどこにでも売ってるやつですけどね(笑)」
こちらは、横浜のカレー屋さん「アナンダ」でテイクアウト品を購入する際にもらえるスパイスを、使用せずに貯めているビン。カレー作りに関して、抜かりない姿勢が染み出ている。先日は友人とカレー作り対決もしたのだとか。
「奥渋という場所柄、来やすい場所なのでよく友人を呼んで、カレーを振る舞うんです。この間、僕を含めた腕に自信のある3名で、カレー作り対決をしたんですよ。
あまりカレー好きでない人が審査員だったためか、まさかのビリになってしまいましたが(笑)。本格派なのに、負けてしまいました。なぜかレモンカレーみたいな変わったやつが1位で。まぁ……しょうがないですね」
本当にカレーが大好きな高橋さんは、インスタグラムの「#カレー食べると身も心もよろこぶ」というハッシュタグで食べたカレーを紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてほしい。
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Photographed by Natsuki Kuroda