人気連載「みんなの部屋」vol.61。部屋づくりのアイデア、お気に入りの家具やアイテムなどの紹介を通して、リアルでさまざまな「暮らしの在り方」にフォーカスする。

都内で住みたい場所上位に、必ずランクインするエリア・中目黒。目黒川沿いには個性的なショップや飲食店が立ち並び、渋谷、六本木、横浜などに乗り換えなしで行くことができるのも大きな理由だ。そんな目黒川沿いにある築42年のマンションで最近暮らし始めたのが、広瀬さん・中田さんカップル。賃貸でありながら、好み通りにリノベーションをした部屋は、生活を自分たちの視点で“クリエイト”する、ふたりのこだわりが感じられた。

名前:広瀬さん 中田さん
職業:CM音楽制作会社勤務(広瀬さん) 不動産会社・HAPTIC勤務(中田さん)
場所:東京都目黒区中目黒
面積:1DK 40㎡弱
家賃:16万5千円
築年数:42年(2016年に改装済み)

お気に入りの場所

カリモク60のKチェアを置いたリビング


カリモク60のラインナップにおいて最も愛される、永遠の定番モデル「Kチェア」。同ブランドの真骨頂ともいえる名作に惚れ込んだ広瀬さんが、大学1年生のときに思い切って購入したのだそう。それ以来一緒に暮らしてきたKチェアだが、以前住んでいた5畳1ルームの部屋ではインテリアにこだわる余裕もなく、Kチェアだけがどこか浮いた存在だったという。

「やっとこのソファが似合う場所ができました。リノベーションをする際、壁や床の色は、Kチェアなどインテリアが映えるようにシンプルにすることを考えました。ここでコーヒーを飲んだり、ギターを弾いたりするときが至福のひとときですね。Kチェアも広々した場所に引っ越せて、喜んでくれてると思います(笑)」(広瀬さん)

リノベでキッチンの向きを90度変えたダイニングキッチン


実はこの部屋、「自分好みにリノベできるカスタマイズ賃貸って?」で紹介した、HAPTICによるリノベブランド・TOMOSの物件。工事前に見つけた物件のため、元々の間取りからシステムキッチンの位置を変えることができた。料理好きの広瀬さんも、使い勝手の良さに大満足の様子。

「レンジフードや吊り棚、調理道具やマグをかけるラックも付いているので、キッチンに統一感が生まれました。工事前の物件だったので、もともと持っていた家電や、新調予定の家具をイメージしながらリノベーションできたのはとても楽しかったですね」(広瀬さん)

「キッチンをこの向きにできて、本当によかったです。ひとり暮らしのときはあまりダイニングにこだわっていなかったのですが、お互いにごはんを作って、快適な空間で向き合って食べられるのは楽しいですね」(中田さん)

広瀬さんのワークスペース


CM音楽の制作・プロデューサーである広瀬さん。以前は自宅で曲作りをすることはなかったが、この部屋に移り住んでからは、その居心地の良さから自然とキーボードやギターを手にするようになったそうだ。

「以前の部屋は寝るためだけと割り切っていたところがあり、暮らしやすさよりも交通の便や立地を重視して選びました。今は、ここで暮らしていることで地に足がついている感じ。インスピレーションが湧く、とまでは言い過ぎかもしれませんが、スタジオにこもっているより良い曲が浮かぶこともありますね」(広瀬さん)

この部屋に決めた理由

ふたりで暮らすにあたり、お互いの会社までのアクセスを重視したそう。築年数や間取りは二の次と思っていたが、カスタマイズサービス・conomyで、工事前の物件が運良く見つかった。

conomyを使ったので、オーナーさん負担のリノベーションにもかかわらず、わたしたちの意見を取り入れることができました。例えば、和室はすべて無垢材フローリングにしたり、押し入れをクローゼットに変えたり、もともと襖で仕切られていたダイニングと和室の襖を取り払って広いリビング空間をつくったり。

とても嬉しかったのは、完成した部屋をオーナーさんがとても喜んでくれたことですね」(中田さん)

「実は僕は『このエリアはうるさすぎるのでは?』と考えていたのですが、実際に暮らすととても静かなエリアだし、アクセスも便利で気に入っています」(広瀬さん)

残念なところ

「普通に暮らしている中ではあまり気にならないのですが、リビングのドアと洗面所のドアがどちらも開き戸なので、どちらか引き戸にしたらよかったです。朝などバタバタしている時に互いが鉢合わせして、ちょっと歩きにくさが……。リノベする際に、そこまで考えられたらよかったですね」(中田さん)

お気に入りのアイテム

「マンチェスター・シティ」カラーに塗装した食器棚

造り付け家具のように部屋に馴染むナチュラルブルーの食器棚は、冷蔵庫や電子レンジのシルバーともマッチしている。無類のサッカー好きな広瀬さんが、お気に入りのクラブチーム・マンチェスター・シティのチームカラーである水色を意識したカラーだという。

「組み立て式の食器棚を購入して、組み立て前に自分でペンキを塗ったものです。組み立てているうちに塗装がはげたり、キズついたりしたのが、ヴィンテージのようないい味になりました」(中田さん)

ギターコレクション


広瀬さんの仕事道具ともいえるギターコレクション。もちろんすべて現役だが、インテリアとしても良いアクセントになっている。

DIYしたダイニングテーブル

TEKOLABOの鉄脚と、古材を組み合わせて作ったダイニングテーブル。鉄の錆びた風合いと、ナチュラルな素朴感の古材を組み合わせたテーブルは、部屋にアンティーク感をもたらす逸品だ。

「鉄脚も天板も好きなサイズをオーダーして、自分たちで組み立てました。ぐらつきもなく、安定感もバッチリです」(中田さん)

もともと備え付けだったシルバーのエアコン

「エアコンは備え付けですが、白いエアコンが多い中シルバーというのが珍しくて、気に入っています。この色を見て、部屋のテーマはウッディ&アイアンになりました(笑)。ダイニングテーブルの脚も、それでアイアンを選んだんです」(中田さん)

マッドでポップな寝室をつくる照明

「リビングやダイニングが落ち着いた雰囲気なのに対し、完全なプライベート空間である寝室は、マッドでポップなインテリアにしたいんです(笑)。このライトはIKEAで購入。引っ越してまだ間もないので未完成ですが、ゆくゆくは遊び心あふれる空間にしたいですね」(広瀬さん)

暮らしのアイデア

生活感のあるものは隠す

「生活感が出るものは蓋つきボックスなどに隠して収納することで、部屋のインテリアを損ねないようにしています」(中田さん)

ものを増やさず、どうしても欲しいものだけを買う

「とにかく部屋を広く使いたいので、基本的にものはもう増やさないことを心がけて、どうしても必要なものは相談してから買うようにしています。例えば、カプセルコーヒーのサーバーは、僕が彼女にプレゼンをして購入を決めましたが、なぜ必要なのか、それがあることでどんなメリットがあるかをプレゼンしました(笑)」(広瀬さん)

これからの暮らし

この部屋に移り住んでから、外食が減り、部屋で過ごすことが多くなったという広瀬さん・中田さん。

「別々に暮らしていたときは会うために出かけていたけれど、今はここがデートスポットのようなものですかね(笑)。基本的には休日が合わないので、休みの方が夕ご飯をつくるようにしていますが、なんといっても自分が帰ってきた時にごはんができているのは嬉しいですね。一緒に暮らすのは、補い合いだなーと思います」(中田さん)

「以前に比べて、休日に1日中外出することは少なくなりました。僕は料理好きなので、作ったものを食べてくれる人がいるのは楽しいですね。中目黒は魅力的なお店がたくさんあるけれど、全然開拓できていないです(苦笑)。この家がこれだけ気に入る空間になったのは、賃貸だけど自分たちの意見を取り入れられたからだと思います」(広瀬さん)

約800本のソメイヨシノが目黒川をピンク色に染めるまで、もう間もなく。ベランダから眺める桜の木々もまた、心地良さを演出してくれそうだ。

「みんなの部屋」バックナンバー

料理家と建築デザイナーが選んだ、昭和レトロな一軒家(三鷹)
レトロ一軒家を好きにリノベする、建築男子のシェアハウス(三軒茶屋)
新築マンションをヴィンテージ感あふれる部屋にアレンジ(吉祥寺)


Photograghed by Kenya Chiba
RSS情報:https://www.roomie.jp/2017/03/375785/