2016年に話題を集めた映画『君の名は。』で背景スタッフを務めた、ポーランド出身で東京在住のクリエイターMateusz Urbanowiczさん。

彼が描く「Tokyo Storefront Illustration Series東京店頭シリーズ」は、東京の古い店舗の外観を、イラストにしたもの。どの作品も味わい深く、見入ってしまう。

オフィスタワーに挟まれても生き生きしている建物


少しお話を伺ってみた。

―――古い建物のお店のどういった点に惹かれて描き始めようと思われたのですか?

神戸から東京へ引っ越しした時に、現役として営業している古いお店が沢山あることにびっくりしました。新しいグレーのオフィスタワーの間に挟まれても生き生きして、かわいく、愛されている建物に対して懐かしさのような気持ちを強く感じたことがきっかけです。この雰囲気を、なんとか自分のアートへ活かすことができないかな~と思って描いたシリーズです。

―――Mateusz Urbanowiczさんの母国ポーランドの古い建物と東京の店とを比較すると?

僕の育った所は本当に歴史が短い街だったので、ほぼコンクリートの建物だけでした。日本の隅々までに生きている街がおもしくて、インスピレーションになりました。日本人ではないからこそ、日常的な風景に興味を持って深く観察しているのかもしれません。

「イラスト」で描かれると見方が変わる

―――このシリーズの今後の予定は?

現在は水彩と鉛筆でオリジナルの漫画を描いていますが、終わったらまた建物のシリーズも描くつもりです。どちらも楽しみにしてください。

そういえば歴史的にポーランドは戦争などで街は破壊と再生を繰り返してきたんだ、という事を踏まえると、なんとも複雑な気持ちになる。しかし東京も実は災害や戦争で破壊されては再生してきた街ではある。そんな新陳代謝を繰り返す街で、何世代か前の建築物はもはやちょっと浮いている存在なのかもしれない。

「Tokyo Storefront Illustration Series東京店頭シリーズ」で描かれている店は、その“ちょっと浮いている存在”であるのに、普段暮らしている私たちはつい新しい店や建物の情報ばかり気になってしまう。でもこうして美しいイラストで見ると「住居件店舗なのだろうか」「店主は高齢なのだろうか」「二階には誰か住んでいるのだろうか」など、想像が膨らんでくるし、古い建物、看板が味わい深いものに見えてくるから不思議だ。

アニメーション作品の背景スタッフとしても活躍しているMateusz Urbanowiczさん。詳しい説明や作業の一部始終を動画に収めているので、ぜひ覗いてみてほしい。

その技術も必見だ。

Tokyo Storefront Illustration Series [Mateusz Urbanowicz]
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