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レトロマンションは「引き算リノベ」がポイント(南青山)|リノベストーリー
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レトロマンションは「引き算リノベ」がポイント(南青山)|リノベストーリー

2017-06-07 06:00
    都内屈指の人気エリア・南青山。誰もがうらやむこの立地に暮らすのが、アートディレクターの大山よしたかさんご一家だ。プロダクトデザインなどを手がける大山さんと、プロ級の料理の腕前を持つ奥様が選んだのは、築36年のレトロマンション。バブル時代に建てられたマンションを、「引き算」をキーワードにリノベーションしたという、その理由は?

    30代で手にした理想の家には、どこにいても家族が感じられる“温度”と、おもちゃ箱のような遊び心溢れる空間が広がっていた。

    このエリアの、この家を選んだ理由は?

    子どもの幼稚園が近くにあって、小学校に上がるときに環境を変えたくなかったというのが一番の理由です。もともとはこのエリアが特別いいと思っていたわけではないんですけど、住めば都で、今では気に入っています。それと、会社を辞めるタイミングだったので、辞める前に購入する方がローンが組みやすくていいのもありました(笑)。

    新築のタワーマンションもいくつか検討したのですが、とてもじゃないけど予算に見合わない(笑)。また、既に完成しているものにあまり魅力を感じなかったというのも正直なところです。

    それで中古マンションのリノベに舵を切り、家探しの段階で、リノベーション会社・リビタに進行管理を、友人のwacstyleさんに設計をお願いしました。

    中古なら住みたいエリアに住むことができるし、リノベーションをすることで理想の空間を作ることができる。ハード面の価格を抑えられる分、プラスアルファで内装を遊ぶこともできて、とても満足しています。

    「引き算」リノベーションってどういうことですか?


    この家はバブル期に建てられたマンションで、いい意味でも悪い意味でも、いろいろな所にお金をかけていて、建具ひとつとっても重厚感がありました。普通リノベーションをする時って、建具や設備など最新のものを足していくことが多いと思うんですが、このマンションは前のオーナーさんがかなりお金をかけてリノベーションしていたこともあり、逆に引き算することで、自分たちらしい空間にデザインしたんです。

    目に見えるところはもちろんですが、見えないところにもお金をかけているのがこの時期に建てられたマンションのいいところ。耐震性はもちろん、配管などもしっかりしていたので、その点では安心できましたね。

    どういうところを「引き算」したんですか?


    全体的にダークで重厚な色調の木が使われていたので、まずはそれを引き算することを考えました。例えば、テーブルの天板や扉を黒く塗装したり、キッチンカウンターをモルタルに作り変えて、モダンな印象にしました。既存のものは生かしつつ、異素材を組み合わることで、自分たちにとって心地よい空間に仕上がったと思います。

    リノベーションをする上でなんとなくイメージしていたのは、ロサンゼルスに行った時に泊まったAce Hotel。“個性豊かな人々が集う”というコンセプトや、コンクリート打ち放しだでズシリとした安定感があるのが、気に入りましたね。それで、壁や天井のクロスをはがして、躯体をあえて出すことに。コンクリートがむき出しになることで、内装の重厚感をほどよく差し引くことができました。

    時間、お金、労力……リノベーションにどのくらいかかりましたか?

    設計を友人に頼んだのは、信頼できることと、予算をクリアにしたかったことが理由。僕の好みを分かってくれているし、設計部分は口を出さないつもりでしたが、友人からは「今までの仕事で一番うるさかった」と言われました(笑)。

    設計には半年、工事に3ヶ月くらいかかっています。せっかくお金をかけて自分の家を持つのだから、自分でもいろんな事例をネットなどで見て勉強しました。すべてを業者さんに任せるのでは、せっかくリノベをする価値がないと思ったんです。もし、失敗しても自分が関わっていれば後悔もしないかと。

    中古マンションのリノベーションがうまくいくコツってなんだと思いますか?


    まずは、予算を明確にすることですかね。

    僕は、新築より中古リノベーションが絶対にいいわけではないと思っていて、新築でも予算が合って、自分好みの空間であれば全然アリだと、家探し中も思ってました。わが家の場合、まず予算ありきで、新築との差額でリノベーションをして遊ぶことを選びました。気に入った中古物件が見つかったら、設計図を見て、例えばどこの壁を取り払えるかなど、事前にチェックしておくといいと思いますよ。

    あとは、築年数が経っているからといって、検討材料から排除しないこと。建物そのものは古くても、構造がしっかりしていたり、その間に前のオーナーさんがリフォームしていることもあるので、そのあたりをチェックするといいのではないでしょうか?

    最後に、リノベーションのよさってなんですか?

    新しいものには、“新しい”というだけで勝てない部分もあります。でも新築にはない、古いもののよさを生かすこともできるのが、リノベーションだと思いますね。

    手が届かないと思っていたエリアでも、中古物件なら住める可能性も。リノベーションをすれば、より自分たちらしい暮らしをデザインすることができますよね。今の満足いく家と暮らしがあるのも、リノベーションにとことんこだわった結果だと思います。

    編集部ノート

    30代で憧れのエリアに住まいを購入した大山さん。バブル期に建てられたマンションは見た目は少し古さいが、エントランスやエレベーター部分は手入れが行き届いており、住人たちの意識の高さが感じられた。重厚な木の質感を、あえて引き算をすることで、開放感あふれる空間と、自分たり暮らし方を実現した大山さんのリノベストーリー。リノベなら、憧れの暮らしが叶うことを教えてくれた。

    Photographed by Kenya Chiba

    RSSブログ情報:https://www.roomie.jp/2017/06/384275/
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