どうしたら、整理されていて取り出しやすく、見た目も美しい収納に近づけるのだろうか?……ということで、「基本的な収納の考え方」と「まずやるべきこと」について、無印良品有楽町店でインテリアアドバイザーを務める山口綾子さんにお話をうかがってみた。
無印良品有楽町店のインテリアアドバイザー・山口綾子さん
無印良品のインテリア相談会にいらっしゃるお客様の6割以上が収納にまつわるご相談です。季節の変わり目や、パートナーと暮らす・お子さんが増えるなどライフステージが変わるタイミングで相談にいらっしゃる方が多いですね。
そもそも……「綺麗に見える収納」で一番大切なことって?
一番大切なのは「揃っていること」です。家具でいえば、収納家具や引き出しの高さ、前面の水平ライン、そして収納用具の色やテイストなど、何かを揃えましょう。
例えば、夫婦で持ち寄ったバラバラの収納棚を使いたいなら、中に納めるバスケットや収納箱は同じものにしたり。
中身でいえば、掛ける服の長さや色をグラデーションになるようにしたり、たたみ方を統一することですね。
そのためにまずするべきこととして、相談会にいらっしゃるお客様に提案するのは「アイテムを整理すること」。いま持っているものの要・不要を分けることです。
自分がどれくらいのものを持っているか把握することは実はすごく大切で、“こんな服あったっけ”という無駄や、似たアイテムを買ってしまう無駄を減らせます。実際にクローゼットの中を全部把握できている方は少なく、やってみて「あれっ、私こんなに服を持ってたんだ」と驚かれる方も多いんですよ。
収納は自分にとっての適量を知ることからはじまります。「シャツは4本」などハンガーの数を決めるのもおすすめです。
つまりは断捨離。しようしようと思ってなかなかできないコレこそ、収納成功の秘訣のようだ。
衣替えはするべき? タイミングはいつ?
季節の変わり目に行う衣替え。収納スペースが限られる家がほとんどだからこそ、収納のことを考えればやる必要があるのだろうか?
必ずしなければならないわけではありません。する・しないの判断は、収納スペースや持っている服に関係しますが、クローゼットに入りきらなければ、やはりする必要が出てきます。
冬にセーターやアウターをプラスする程度で、一年中活躍している服が多い人もいらっしゃいますよね。私自身もそのタイプで、衣替えは基本的にしていません。夏服と冬服で引き出しを分けて、季節が来たら取り出しやすい位置に引き出し自体を入れ替えるという方法を取っています。
衣替えにおすすめの時期は、基本的には学校の制服と一緒。冬服から夏服、夏服から冬服に変わる5月・10月にするとよいのではないでしょうか。また衣替えは、選別をする絶好の機会でもあります。「今年はコレ着たかな」と判断しやすいので、迷いやすい人は季節の終わりがおすすめですし、季節の始まりに選別しておくと、中古販売サイトなどで処理がしやすくなります。
無印良品のおすすめ収納グッズ:ポリプロピレンスタンドファイルボックス
商品名は「ポリプロピレンスタンドファイルボックス」ですが、用途は実にさまざま。バッグ類を入れてクローゼットの上に並べたり、横置きにしてクリーニングから返ってきたYシャツを入れたり… ムジラーさんたちのSNSを見て、「こんな使い方があったんだ」と逆に教えてもらうこともあります。
服を綺麗に収納する、基本の3STEP
1:「持ち方」を考える持っている服をタンスから全部出してみて、視覚的にどのアイテムがどれだけあるかを把握し、そこから要・不要を選別するのがおすすめです。広げるスペースがない場合は、トップスだけ・ボトムスだけとアイテムごとに行なうと、同じような物を持っていることに気がつきやすいですよ。
手放すものを決めるときは、「友だちと会う時に着て行けるか」「その服にワクワクするか」を基準にするとよいと思います。いくらお気に入りでも生地が傷んでいたり毛玉だらけで人前には着ていけないもの、意外と眠っていたりしませんか?
2:「収納のかたち」を考える次に「配置」「汎用性」「揃える」を元に、収納スペースを考えていきます。どの場所に、どのような家具を使って収納するかということですね。今持っている家具を活かして足りないものだけを種類を「揃えて」買い足すのか、「配置」「汎用性」を考えて全部買い足すのか、ということを検討していきます。
3:「収め方」を考えるそれぞれのライフスタイルによるので、コレが正解という方法はないんです。仕事や子育てで忙しい人はなるべくハンガーに掛けるスタイルが簡単でよいでしょうし、高価な服を多くお持ちでものの量が多い方は引出し収納がおすすめ。生活リズムや性格、部屋の導線などを踏まえて、自分に合った収納を見極めることが大事ですね。それが合わないと、綺麗な状態をキープすることができません。
同時に、「どこに何を置くと生活しやすいか」というレイアウトも考えていきます。アイテムごとか、人ごとか、ON・OFFなど目的ごとに分けるのか。服を選ぶ時の目線や身支度の時の導線を考えると上手くいきます。子どもの年齢によっては、誰が服を選ぶのかも変わりますしね。
2018年1月15日(月)まで、無印良品のインテリアアドバイザーにアドバイスがもらえる『インテリア大相談会』を対象店舗にて実施中。この機会に、収納やインテリアのプロに相談してみてもいいかも。
Photographed by Kenya Chiba