近年、若者によるショップの出店などが相次ぎ、改めて注目を集めている東東京エリア。お隣に千葉県を見据える江戸川区北小岩で暮らす、デザイナーの山田哲也さんは、築50年の木造一軒家をセルフリノベーションした家に住んでいます。
ほんの1週間前にリノベーションが落ち着いたという、できたてホヤホヤのお部屋にお邪魔すると、「アクセントに」と吊るされたキツネの掛け物と、卒業制作で作ったというドクロの椅子が出迎えてくれました。
名前:山田哲也さん職業:デザイナー
場所:東京都江戸川区
面積:42㎡(1、2階合わせて)
間取り:1LDK
家賃:7万8,000円
築年数:50年
お気に入りの場所
天井を眺めながら過ごすリビング築50年の一軒家をセルフリノベーションされたという山田さん。ご自身で抜いたという天井は、1階2階ともに非常に開放感があり、歴史を感じさせる木材は眺めているだけで楽しい気持ちが湧いてきます。
「この椅子は、ハンス J. ウェグナーがデザインしたスリーレッグドシェルチェアのリプロダクト。ヤフオクで購入したんですけど、出品者が中国の業者だったために関税とかも支払わされて、思ったよりも高くつきました(笑)。ただ、この椅子は背もたれが深いから、寄りかかると自然と天井を眺めることができてお気に入りなんです。休日は、昼間からここでビール片手にぼんやりデザインのことを考えるのが定番の過ごし方ですね」
統一感と機能性を併せ持ったキッチンリビングからシームレスに繋がっているキッチン。石膏ボードを貼ったまま放置されていたというスペースに山田さん自身の手でタイルを貼り、キャスター付きのラックを設置。調理器具をかけられるIKEAのラックなどもうまく活用し、清潔感のあるスッキリとした佇まいに仕上がってます。
「飲食店でアルバイトしていたこともあって、もともと料理すること自体は好きなんですけど、前の部屋はキッチンが小さくてあんまり料理をしなくなっていたんです。でも、今回はラックにキャスターをつけたりと、機能性にこだわったキッチンにできたので、これからは料理を再開していきたいと思います」
お気に入りのアイテム
山田さんがデザインした試作品の什器リビングを見渡すと、ひときわ目を引くハンガーラックが。アパレルショップに置かれていても全く遜色ないこちらは?
「会社の仕事で、僕がデザインしたものです。これから仕様を検証して、工場に発注するんですけど、一足先に試作品を使ってみています。前の部屋だと自分がデザインしたものでも、部屋が狭くて実際に使用するのが難しかったのですが、その点今の部屋は住みながら試していけるので良いですね」
脚立を再利用したラック「このラックは、実際に天井を抜くときや塗装のときに使った脚立を利用して作りました。ヤフオクで購入したもので、もともと使用感はあったのですが、ところどころに付いている白の塗料は、僕が壁を塗装するときに付いちゃったもの(笑)。でも、結果的に良いアクセントになっていて、気に入っています」
ユニクロのモックネックTシャツ脚立を再利用したラックに置かれているのが、同じタイプの何枚もの白Tシャツ。ここにも、こだわりがあるのでしょうか?
「僕の勤めている会社は、以前までスーツにネクタイ着用が義務付けられていたのですが、それに対して、僕を含めたデザイナー陣が猛反発しまして(笑)。その結果、ネクタイに準じた服装ならOKということになり、行き着いたのがユニクロのモックネック。平日は、前の晩にこれを着て寝て、起きたらジャケットを羽織ってそのまま出社します」
Apple製品毎日統一した服装と言えば、真っ先に思いつくのがAppleの創業者スティーブ・ジョブズ。
「影響を受けているかもしれないです。iPhoneケースはApple純正のものを使っていますし、このリュックはApple公認ブランドのcote&cielのもの。会社のPCも、他の人はWindowsなんですけど、お願いして僕だけMacを使わせてもらっています」
運命的な出会いを果たした帽子今はなくなってしまったブランド・Gutswrenchのハット。以前、展示会に足を運んだ際に購入する機会を逃してしまったというこちらのハットは、なんと山梨に旅行に行った際にフラッと立ち寄った古着屋で発見。運命を感じて、購入したそう。
本棚に多数並ぶ「骨」についての本1階にある本棚を覗いてみると、そこには動物の頭蓋骨のみを集めた図鑑など、他ではあまり見たことのない本が多数見受けられます。
「仕事でマネキンのデザインをしているので、職業病なのか、動物の造形や骨格に興味があるんです」
残念なところ
木造建築独特の“すきま風”築50年の木造建築なので、どうしてもすきま風が入ってきやすく、冬は寒さが気になることもあるとか。また、江戸川駅周辺は、閑静な住宅街が広がっています。「静かな環境は好きなんですが」と前置きした上で、「近所の迷惑になるかもしれないので、友達を呼んで大騒ぎするのは難しいかもしれないです」とのこと。
暮らしのアイディア
コード類はまとめて紙製のボックスに収納真っ白の壁に囲まれたリビングは、撮影スタジオと言われても違和感がないほど。生活感を抑えるために、どのような工夫を行っているのでしょうか?
「雑然としがちなコンピューターのコードやルーター類は、ショップのボックスの中にまとめて収納しています。なんでなのか、コード類ってとんでもない色が使われていたりするじゃないですか(笑)。紙製のボックスだと、電波が遮断されることもないから、利用するぶんにも快適なんですよね」
部屋全体と調和したインターホン「インターホンがむき出しになっていると、どうしてもそこだけ浮いちゃうじゃないですか。なので、自分でカバーを作り、部屋全体のバランスを保つようにしました」
これからの暮らし
山田さんがこの家に引っ越したきっかけは、自身がデザインを手がけるインテリアブランドに活かすため。一旦はリノベーションも落ち着き、これからはいよいよインテリアデザインに集中していくそう。
「最終的には、この部屋に置いてある家具を揃えればブランドになるという状況にするのが理想です。実際に自分がデザインしたインテリアを使用するなど、今後はこの部屋をベースに、素敵なインテリアをデザインしていければいいなと思います」
自身の部屋をある種の“実験場”にしながら、インテリアデザインを手がけていく山田さん。次に伺ったときは、どんなお部屋に変わっているのか。今から楽しみです。
山田さんの部屋は、ご自身のInstagramとRoomClipでも公開されているので、気になる人は、ぜひ覗いてみてください!
Photographed by Yutaro Yamaguchi