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小籠包は食べない、お酒もほとんど飲まず。旅行だけではわからない台湾の「飲食文化」
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小籠包は食べない、お酒もほとんど飲まず。旅行だけではわからない台湾の「飲食文化」

2018-03-13 11:00
    台湾のグルメと聞いて頭に浮かんでくるものは、小籠包やスイーツ、ルーローハンなどなど、美味しそうなものばかり。想像するだけで「上海蟹~食べたい」と口ずさんでしまいます。

    前回の「暮らしぶり」に続き、田中佑典さんが見た台湾の「飲食文化」について聞いてみました。

    旅行=グルメツアーになってしまうくらい美味しい物がいっぱいの台湾だけに、現地の飲食事情はかなり気になります!

    田中佑典
    1986年生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業。日本と台湾をつなぐカルチャーマガジン『LIP』を刊行。日台間での企画やプロデュース、執筆、クリエイティブサポートを行う。語学教室「カルチャーゴガク」主宰。著書に『LIP的台湾案内』(リトルモア)。facebookinstagram

    お酒を飲まない

    夜に友人や同僚と食事をしようとなると、日本では「ご飯食べに行かない?」というより「飲みに行かない?」と誘うことが多いですよね。しかし台湾では、あくまでもご飯がメインだとか。

    台湾では基本的に、飲みに行くのではなくご飯を食べに行きます。台湾人は比較的、人と人との(「コミュニケーション」という意味での)距離が近いから、「お酒の力を借りる」ということはしません。

    現地でも泥酔した人はあまり見たことがないので、日本の飲み屋街の風景は、台湾人からしたら結構カルチャーショックかもしれませんね。

    お酒を頼む人もいますが、1回の食事で1杯くらい。日本のように、「最初はビール」「途中で料理やおつまみをちょこちょこ追加」ということはなく、最初に全部注文します。

    お酒を飲むことがメインで、食事というよりつまみを頼むという“飲み会文化”が台湾にはありません。

    台湾の人と友だちになりたい時は、お酒の力は借りられないということ……仲良くなるのに時間がかかりそうです。

    台湾人でお酒を飲まない人が多い理由として、お酒の種類が少ないのも大きな原因です。日本だと女性や若い人などで「ビールが苦手」な人も多いと思うけど、その人たちはサワーや梅酒、ハイボールなど選択肢が多いですよね。

    けれども台湾は、基本はビールと、それ以外は「高粱酒(コーリャンしゅ)」というアルコール58%のテキーラみたいなものしかない(もちろんおしゃれなBARなどにいけばカクテル系もおいてはあるが……) 。

    そのため「ビールが好きじゃない=お酒を飲まない」という流れになってしまうのです。ちなみにサントリーの「ほろよい」がコンビニに売ってますが、それは女の子にも人気です。

    バー自体はいくつもあります。いわゆる「パリピ」の人たちは、バーに行きますね。それでも、ベロベロになるまで飲むということはありません。

    ご飯の後はカフェに

    チェーン系からおしゃれな個人店まで、日本と同様に台湾にもカフェがたくさんあります。日本ではランチやおやつ時に行くイメージですが、台湾では……。

    台湾のカフェは夜遅くまでやっているので、ご飯の後はコーヒーを飲んでスマホをいじったり、気の置けない仲間とずーっとおしゃべりをして過ごしています。

    ちなみに、このように夜更かしする人々は「夜猫族」と呼ばれるそうで、雑誌の特集でもこの言葉が使われていることが多いです。

    台湾人は小籠包を食べない

    台湾旅行に行くなら、絶対にはずせないのが「小籠包」。各店の味を食べ比べるのも楽しみのひとつです。しかしなんと、当の台湾人は食べないという。

    そもそも小籠包は、台湾料理ではありませんから……。

    嫌いなわけではないんですが、別にそればかり食べているというわけではないです。というか、日本からの観光客がこぞって行く“小籠包屋さん”には行かないですね。

    なるほど、有名な小籠包屋さんに行くと、観光っぽい人がほとんどなわけです。

    「定食」が大人気

    世界的にも人気の日本食。台湾も例外ではないようです。

    街には当たり前のように日本食屋さんがあります。行くとわかりますが、日本のチェーン店もかなり進出していますね。台湾人は特に、日本の「定食」が大好き。

    きっとあのカタチがいいんでしょうね。行くといつも満席で、なかなか入れない定食屋さんもあります。

    今台湾では健康志向の人が増えていて、あの「ライザップ」も進出しています。実は、台湾はアジアで有数の肥満体国でもあるんです。

    テレビが100チャンネルくらいあるんですが、子どもが学校から帰宅する夕方以降、お菓子のCMが禁止されたことも……。

    お弁当がブームになったり、料理番組が増えたり、健康的な食事が注目されつつありますが、とはいえ、ちゃんとしたキッチンがない家がほとんど。そこで、外食の中でも見るからに栄養バランスがよさそうな日本の定食に人気が集まっているのだと思います。

    味覚が違う

    台湾料理というと、他のアジア国々と同様にスパイシーで辛いものが多いイメージ。しかし実際はちょっと違うのだとか。

    台湾人もラーメンは好きですが、日本のラーメンはしょっぱすぎて食べられないそうです。

    それに加えて、実は辛いものもNG。日本人が好んで食べるような、あんなに辛い台湾ラーメンはありえないと言います。実は優しいものが好きな台湾人なんです。

    そもそも、「台湾ラーメン」というものは、台湾には存在しませんよ。

    私たちが定番だと思っていた台湾グルメが、現地の人にとっては違っていたり。日本人の好みに合わせてスクラップされた情報が、その国のすべてではないということかもしれませんね。

    日本でも、観光情報に載っているところより、地元の人が集まるお店がいちばん美味しかったりするように。台湾でも、現地の人しか行かないとっておきの地元グルメを食べてみたいですね。

    写真提供:田中佑典
    RSSブログ情報:https://www.roomie.jp/2018/03/415555/
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