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スノーピークと縄文時代にタイムスリップしたら、逆に贅沢だった
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スノーピークと縄文時代にタイムスリップしたら、逆に贅沢だった

2019-06-14 14:30
    スノーピークの体験事業で、「縄文キャンプ」をしてきました。

    6月1,2日に岩手で開催された、「LOCAL LIFE TOURISM in KITAKAMI」という本イベント。

    ロケーションは樺山遺跡というガチの遺跡で、竪穴式住居や、復元されたストーンサークルが随所に見られます。

    なにより、遺跡でのキャンプイベントは日本初なんだとか。

    代表取締役副社長、山井梨沙さんがほぼ隣のテントにいる距離感の本イベント

    山井さんからいただいた言葉、「文明が発展するほど、野生は失われる」を道標に。

    むしろ逆に「人として豊かなのでは……?」と贅沢に感じた一泊二日の旅となりました。

    食べ物は自分の手で!

    縄文時代の仕事は、狩猟・採集・漁ろうがメイン。

    食べモノは自分で採ってくる、でなけりゃ死ぬハードモードな時代です。

    ということで始まったのが、山菜採りのワークショップ。講師はキノコ・山菜歴14年の菅原徹さん。

    先生によると、(注:毒がなければ)野草って正直なんでも食べられるそうです。

    ただ、日本では食べて美味しいものだけを「山菜」と呼んできたらしい。なるほど。

    さっそく田んぼ沿いの野道を先生と歩くと、さっそく「アザミ」を発見!

    天ぷらにするならアク抜きもいらないほど手軽な山菜らしく、根は「ヤマゴボウ」という名称で売られているそう。

    地面からひょこっと出たこちらは、山菜界のスター、「ワラビ」。

    僕はぜんぜん見つけられないのに、地元・岩手から来た女性は山のように採集。目の作りが違うとしか思えない……。

    変わり種もひとつ。有名なマツは、この先っぽ部分を採集すると、「マツバサイダー」なる飲料になるそうです。

    水に入れて発酵させ、砂糖を入れると、シュワシュワするからだとか。すごく飲んでみたい。

    縄文食をいただこう

    「採れないとご飯ナシ!」

    まったく採集できなかった僕はそう言われるのではと不安で仕方なかったのですが、そこはスノーピーク。

    縄文時代をイメージした「縄文食」がきちんと用意されていました。やさしい……。

    「縄文の谷 kitchen開」のシェフ、鈴木さんによると、野菜は、地元である北上(きたかみ)の朝採れ。

    しかも、山菜はまだ雪が降る高山地帯から採ってきてくださったのだそう!

    他にも、木の実を採集していた縄文時代をイメージした、クルミとセリ科のパンや、クワ茶とクルミのクッキーが。

    おい、縄文キャンプ最高すぎないか!?と心の中で歓喜のツッコミを入れつつ、舌鼓を打つのでした。

    食べるための器も自分で

    縄文土器ってなんだっけ?

    ここで縄文時代を少し振り返っておきたいと思います。

    北上市立博物館の専任研究員、阿部友実さんによれば、

    「諸説ありますが、ここ北上では、土器が作られ始めてから、稲作が始まるまでの1万年を縄文時代と呼んでいます」

    これは白神山地ですが…(©shutterstock

    石器時代を経て、地球が温暖化。森ができ、動物や木の実・山菜が豊かに。

    そうして、移動しながら狩猟をする暮らしから、定住する狩猟・採集・漁ろうの縄文文化がスタートしたのだとか。

    中でも縄文土器は、食べ物を調理、特に煮炊きしてスープのようなものを作ったり、保存したりと、暮らしの必需品。

    自らが食べるための器を作るなんて、今ではなかなか機会がありませんが、縄文人には日常の風景だったんですね。

    縄文土器をつくろう

    ということで、今度は縄文土器マグカップづくりのワークショップが始まります。

    講師の下総さんは御歳75歳。土器の発掘や復元をしていらしたベテランです。

    地元で採れた土も、先生の手にかかれば……

    あっという間に仕上がっていきます。

    最後にきちんと縄で文様をつければ、縄文土器マグカップの出来上がり。参加者も各々のセンスを発揮した一品を作り上げていきます。

    僕もSnow Peak × ROOMIE縄文マグを作ってみた

    あとは数ヶ月後の焼き上がりを待つのみです。

    焚火を囲んで、時に踊って、チームを育む

    ここまで縄文時代の仕事を体験してきたワケですが、さらには他者との心理的な距離がぜんぜん違うことにも気づきます。

    焚火マジックで打ち解ける

    たとえば、おそらく当時も囲んでいたであろう焚火を夜は囲みます。

    20名ほどの参加者は、ペア同士や家族同士以外は顔も知りません。

    それでも、「このワークショップおもしろかったですね」とか、「どこから来たんですか?」「なんのお仕事されてるんですか?」なんて会話がそこかしこから聞こえてきます。

    焚火の前では、どこか心を開いてしまう……。そんな焚火マジックが、縄文時代はほぼ毎日発揮されていたのかもしれません。

    鹿になって踊ると、さらに打ち解ける

    加えて、縄文当時から伝承されているという「鹿踊(ししおどり)」を鑑賞すると、その思いはいよいよ深くなります。

    激しく太鼓を叩きながら、自ら歌い、踊るこの民族伝承。

    諸説あるそうですが、鹿が遊んでる姿を踊り伝えたり、鹿を供養したりといった目的があったそう。

    村の仲間で狩猟や漁、採集をして、器を作って、夜は焚火をしながら一緒にご飯を食べて、時に踊って……。

    そんな時代は人と人、人と自然の距離がすごく近かったんじゃないでしょうか?

    文明が発展するほど、野生は失われる

    答え合わせをするように、スノーピーク代表取締役副社長の山井梨沙さんにもイベントの意図を伺ってみました。

    このイベントの前からずっと、「なぜ人はキャンプをするのか?」を考えてきたという山井さん。

    「キャンプって、自分でご飯を作って、自分で寝床を作るじゃないですか。これって根源的な人の営みなんですよね。

    アウトドアブームって言われてますけど、私は文明が発展するほど、野生は失われると思っていて。

    たとえば私は東京に出てきて以来、情報に流されずに自分の正しさに忠実であることって、すごく難しいと感じてきたんです」

    でも、人の原始的な判断力って実は大切なんじゃないか、山井さんはそう前置きしつつ続けます。

    「AとBって選択肢がある時、90%の人がAを選んでいても、本質的にはBが正しいはずって選べる、そういう力をアウトドアは与えてくれる。

    だから、アウトドアよりもさらに人間の根源に戻る、たとえば縄文に戻れば、そこがもっと鍛えられるんじゃないかと思ったんですよね」

    縄文時代、贅沢なのではないか…?

    他人がどう言おうと、「いや、私はこっちが正しいと思う」 そう判断し、行動できる本能的なカンや嗅覚のようなもの。

    それは確かに、情報が爆発した現代では、養うのが難しくなってきた感覚なのかもしれません。

    なにより、自分の手に届く範囲で、自分の手で生きる感覚。そこには、「自分の信じる生き方を貫ける贅沢」があったのではないでしょうか。

    無論、そのすぐ隣には常に死が肉薄してくる恐怖もあるのでしょうのが、僕にはそう感じられたのです。

    「見たこともない世界にいたとしても進むべき道がわかる。帰るべき場所がわかる。

    そんな野生の感覚を、人間はもともと持っている。」

    体験事業、Snow Peak Experienceのホームページにはそうあります。

    その感覚に、近づいてみたい。そう思われる方には、ぜひオススメしたいイベントなのでした。

    ※編集の関係上、実際のスケジュールとは異なる時系列で記事を構成しております。ご了承ください。

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