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“古いモノ”に光を当てて暮らす。レトロアパートを生まれ変わらせる美容師のひとり暮らし(世田谷区)|みんなの部屋
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“古いモノ”に光を当てて暮らす。レトロアパートを生まれ変わらせる美容師のひとり暮らし(世田谷区)|みんなの部屋

2020-09-14 22:00
    京王線のとある駅から歩いて10分ほど。

    静かな住宅街に現れるのは、美容師の高山さんが住んでいるレトロなアパート。

    名前(職業):高山紗季(美容師)
    場所:東京都世田谷区
    部屋の広さ:2K 39㎡
    家賃:6.5万円
    築年数:44年
    住宅の形態:アパート

    昨年の12月に引っ越してきたばかりだという部屋は、すでに重ねてきた44年の歴史の上に、住人の高山さんによる新たな魅力が重なった場所。

    雑貨のひとつひとつもこの部屋の一部だと思えるほどに馴染み、流れる音楽も降り注ぐ光も、まるでひとつの舞台演出のよう。

    そこには、モノ選びから空間を形づくる、高山さんならではの景色の見方がありました。

    この部屋に決めた理由

    光が綺麗に入ってくる

    キッチンに窓がついているのもお気に入りポイント

    部屋を選ぶ上で大きな決め手になったのが、リビングダイニングに配置された2面採光の窓。

    南向きと東向きにひとつずつついていて、朝にはキラキラとキッチンが輝き、夕方には部屋一面がオレンジ色に染まるんだそう。

    「窓を開けた感じも好きなんです。最近すだれをかけたんですけど、夏を感じられていいですよ」

    大きな窓を開けると、セミの鳴き声と風鈴の音がダイレクトに聞こえてきます。

    目の前は桜並木になっていて、春にはまた違った表情が楽しめるんだそう。

    いつもの行動圏にアクセスがいい

    もともと下北沢や代々木上原エリアに遊びにくることが多かったという高山さん。勤務先が明治神宮前ということもあって、いつもの行動範囲内にアクセスのいい物件を探したところ、レトロな外観のこのアパートを見つけたそう。

    「自転車でどこにでも遊びに行けるし、職場へもまっすぐ20分くらいで着くので、ほんとうに電車を使わないです」

    ブルペンで購入したというお風呂マットと脱衣用のバスケット

    ちなみに、美容室がお休みの火曜日には、毎週幡ヶ谷へ自転車で遊びに行っているんだそう。

    PADDLERS COFFEE(パドラーズコーヒー)」と、雑貨屋の「BULLPEN(ブルペン)」に顔を出すのがいつものルート。週に1日しかないおやすみなのに、なんともアクティブ!

    お気に入りの場所

    ダイニングテーブルのあるスペース

    月に1回ほど開くホームパーティでは、5人くらいでダイニングテーブルを囲み、タコスを作るのが定番

    高山さんの定位置は、ダイニングテーブルのキッチン側の椅子。

    実はこのテーブルを置きたいがために2部屋以上の物件で探していたというほど、彼女にとって欠かせない場所。

    「すぐにお茶を出せるのが便利です」と高山さん

    「真ん中にダイニングテーブルを置きたくて、そのためには2部屋必要だな、と。だから1Rとか1Kは外してました。

    たいていここにいて、向こう側を眺めています。光も当たるし、ここから見える景色が好きなんです」

    そんなダイニングテーブルに座っていると見えるのが、曇りガラスのパーテーション。もともとこの物件に備わっていたもので、今ではお気に入りの雑貨をディスプレイするスペースに。

    築年数の古い“キレイすぎない”部屋であることも物件選びの際の条件で、味のある天井や、木材の建具、経年変化を感じる床も気に入っているんだそう。

    お気に入りをディスプレイする寝室

    身支度を整える6畳の寝室には、お気に入りの洋服をディスプレイ。大事な服がシワにならない上に見た目にもかわいい、一石二鳥なアイデア。

    古い家ならではの建具の溝を利用して、ハンガーをかけられるようにしているのも、ナイスなポイントです。

    「服と音楽と古いものがテーマ」と話す高山さん。外出自粛期間からウクレレを練習中とのことで、少しだけ聞かせてもらうことに。

    やさしい音色とやわらかな歌声にうっとり…

    「アコースティックギターはすごい音が出るんですけど、ウクレレならあんまりうるさくなくていいんですよ」

    お気に入りのアイテム

    少しづつ集めた一点ものの古道具たち

    古道具のシルクスクリーンの台にバンダナを貼ってディスプレイ。
    レイアウトも気分で変えているそう。

    ダイニングチェアは下北沢のレトロ雑貨のお店で購入した「秋田木工」の椅子。
    「下北から一つずつ担いで持って帰りました」(高山さん)

    棚の右上には、以前「みんなの部屋」に出演してもらったハマダユウヤさんが描いた似顔絵が。

    古道具や一点ものの家具を多く置いている高山さんのお部屋。お気に入りを聞いてみると「全部お気に入りだな……」とぽつり。

    家具は毎週通っているという「BULLPEN」や、駒沢大学駅近くの「TOKYO DANCE.」で買うことが多いそう。

    特に「TOKYO DANCE.」は、高山さんの部屋づくりにも通じるものがあるようで……。

    「BULLPEN」で買ったオブジェと「TOKYO DANCE.」で買った8角形の木の台

    「『TOKYO DANCE.』っていう古道具屋さんでよく買い物をするんです。廃墟になっちゃう建物とか古民家から仕入れてきた商品を店主さんのセンスでうまくディスプレイして、魅力あるものにするお店で。

    例えばこの8角形の台の上に綺麗な石がちょこんと乗っていたら、アートな感じに見えませんか?

    単体で置いていたらもしかしたら何てことのないモノかもしれないけど、その人のセンスで、すごく魅力のあるモノになる。そういうのすごいなって思って。私に自由な発想をくれる場所です」

    インテリアに溶け込むレコード

    Varsityの「THE BASEMENT TAKES」

    取材中も静かに回っていたレコードは、下北沢や吉祥寺に買いに行くことが多いそう。

    お気に入りはVarsityの「THE BASEMENT TAKES」。赤のカラーヴァイナルに、ティーパックの茶葉が透けたデザインのジャケットが小粋な一枚。

    肩肘張らない高山さんのお部屋の空気に溶けていくように、優しくリラックスした音楽です。

    レコードプレイヤーを置いている棚は、行きつけの「PADDLERS COFFEE」の店員さんから譲り受けたもの。

    コスメ類を置いているのも同じ棚で、縦置きと横置きで使い分けています。

    暮らしのアイデア

    畳の上に板を敷いてフローリング風に

    寝室はもともと畳の和室だった場所。板を敷いて、フローリングのように活用しています。

    正方形の板を畳に直で載せているので、設置もしやすく、部分的にはがせて掃除もしやすいんだそう。

    収納もインテリアの一部になるものをチョイス

    家具を選ぶときは白っぽいものではなく、この家にフィットするような渋い色のものをチョイス。

    プラスチック製のものばかりになってしまいがちな収納ケースも、かごを活用してインテリアの一部に。

    「ものが少なく見えるために、小物とかはバラバラ出さないでまとめるようにしています」

    インテリアに合わない最新家電は置かない

    レトロな家の雰囲気に合うように、家電も機能性以上に景観を壊さないことを優先して選んでいるという高山さん。

    冷蔵庫は無印良品の廃盤になっている型を、オークションで入手。

    だけど唯一エアコンだけは、最新のものにせざるを得なかったそうで……。

    「引っ越したときはボロボロのいい感じだったのに、電源をつけたときに火花が散って。それですぐだめになって、新しくなっちゃいました(笑)」

    残念なところ

    近隣住民が気になる床と壁の薄さ

    築年数の古さはむしろ気に入っている点だといいますが、壁と床が薄いのが少し心配。まだクレームが来たことはないものの、ウクレレの音はおそらくお隣さんに聞こえているはず。

    「壁がめっちゃ薄いので、きっとみんな聞こえてると思って。だからそのために上手くなろうと思って、練習してます(笑)」

    これからの暮らしについて

    「いろいろと改装しながら暮らしてみたい」と話す高山さん。2部屋ある間取りも、今後は仕切りを取り払って大きな1部屋にしたいと考えているそう。

    「今度の計画は、ふすまを外して、カウンター兼DJブースみたいな感じにしようかなって。ずっと開いてる広い部屋みたいにしたいです」

    キッチンの収納スペースをDIYするアイデアも、ただいま計画中とのこと。

    「壁に木をつけて、キッチンツールをぶら下げたりしたい。あとはこっちに16マスとかの四角い収納をつけて、スパイスとかを置く、見せる収納ができたらいいなと思ってます」

    理想の部屋とは?

    美容師という職業柄、ほぼ毎日遅くまで出勤している高山さんにとっての部屋は、“機能的”であること以上に“癒される”空間であることが重要なよう。

    「ずっと住む気がする」と話す今の部屋は、高山さんにとっての理想をかなり叶えられた場所。

    「私はすごいアウトドア派だと思うんですけど、この部屋に引っ越してこの部屋の感じにしてから、1日中家にいても飽きなくて、いい気分でいられるようになりました。

    いつもは、ずっと家にこもっちゃうと罪悪感の塊になっちゃうんですけど……。でも、今は趣味がちゃんとできて、目も癒されています。

    理想の部屋は、1日中いたくなるような部屋。お友達を呼びたくなるような、友達が来たくなるような部屋です」

    これからの暮らしについて尋ねると、「いつかは東京を離れて、自然溢れる地方へ移住してみたいなぁなんて考えることもあります」と高山さん。

    高山さんならどこに住んでも、その地にすでにある価値に光をあて、きっと素敵に住み変えてしまうのだろうなと思ったのでした。

    Photographed by Kaoru Mochida

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