それでも、というか、それだけに。青春時代から酸いも甘いもともにしてきた相棒ゆえ、思い入れはひとしお。
けっして乗り心地がいいとは言えない中学生向きのちいさな車体に、いまなお、またがって。仕事にも、遊びにも、風を切って、さっそうと!
名前(職業):ガクさん(経営者)年齢:23歳
愛車:GIANT「ESCAPE」
価格:約5万円
自転車歴:8年4ヶ月
青春時代、自転車が世界をひろげてくれた
ガクさんと愛車との出合いは、彼がまだ、地元仙台で中学2年生だった頃のこと。
「当時はサッカー部に所属していました。あるとき、部のみんなが一斉にチャリを買いはじめて。僕もそれに感化されて自分の自転車が欲しくなり、そのときに出合ったのが、この1台なんです」
それまでは電車通学をしていたものの、家が遠かったため、片道1時間もかかっていたとか。乗り換えなどがないぶん、かえって自転車のほうが時間短縮に。凍える冬のあいだ以外は、毎日自転車で通学していたそうです。
また、当時から、知らない街を散策するのが好きだったというガクさん。
「学校帰りにあえて遠回りしてみたり、自転車でしか行くことのできない場所を訪れたり、そんな風に自転車のある生活を満喫していました! なにより、体いっぱいに風を感じながら走るのが、とても気持ちよかったんです」
どうしても家の近所や学校の周辺といったように、行動範囲が限られてしまう中学時代。自転車という移動手段を手に入れただけでも、世界は、うんと広がるもの。
目を輝かせながらさっそうと風を切るガク少年の姿が、脳裏に浮かぶな〜!
傷は男の勲章?
中学2年生から乗っている自転車だけに、フレームやタイヤは、大人用に比べるとややちいさめ。不便かといううとそうでもないらしく、小回りの利くコンパクトないでたちは、むしろ街乗りにはちょうどいいような気もする!
「もともとは、オールブラックのカラーリングのものを探していたんです。でも、なかなか見つからなくて。一番イメージに近かったのが、この1台。サドルとグリップだけ緑色だったのですが、グリップは劣化してしまったため、ブラックのものに交換してあります」
そりゃ、かれこれ8年以上も乗っているわけですから、それだけ年季が入っていて当然。ところどころ塗装が剥げてしまっていたり、サドルだって、擦れたり破れたりしています。
「さすがに古臭くなってきたので、それをごまかそうと、最近はステッカーを貼るようにしています。中学生の頃によく通っていた古着屋のものや、僕が代表を務めるライフスタイルブランドThe Youthのオリジナルステッカーなど。古いフレームが見えなくなるまで、もっと数を増やしていきたいですね(笑)」
とは言うけれど、「傷は男の勲章」なんて言葉もあるくらいだし。むしろ、傷や汚れもひっくるめてかっこいいけどな〜!
新車に乗り換えたとしても
仙台での思い出が詰まった青春時代の相棒を、ところかわって、いまでは東京でも。はるばる持ってきたことには、のっぴきならぬ愛情を感じないわけにいきません。
大学生の頃には、夜中に新宿から高尾山まで自転車を漕ぎ、そのまま登山して帰って来る、なんて荒行もともにしたとか。
卒業して社会人になってからも、オン・オフ問わず、いつでも一緒。
「さすがに、もうそろそろ新しい自転車に替えようか、とも考えているんです」
苦楽をともにしてきた愛車だけに、さよならするのは、なんだか寂しい……。と、うっかりこちらが感情移入してしまいそうになるよ!
とはいえ、これだけ大切に愛車と付き合い続けるガクさんだから、次の1台も、きっとまた。
傷つけたり、汚したり。変わらず人生をともにしていくに、違いありません。
Photographed by Masahiro Kosaka
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