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シンプルなインテリアに差し色で個性をプラス。光が注ぐアトリエのある、三角屋根の家(群馬県みどり市)|みんなの部屋
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シンプルなインテリアに差し色で個性をプラス。光が注ぐアトリエのある、三角屋根の家(群馬県みどり市)|みんなの部屋

2021-05-26 14:00
    群馬県は東部。都内にも特急一本でアクセスできる好立地で、その名の通り自然豊かな「みどり市」に、今回お伺いする樋口さんご夫妻のお住まいはありました。

    お名前(職業):樋口さん(パートタイム勤務)、ご主人
    場所:群馬県みどり市
    広さ:2LDK / 101.681㎡ 
    建築費:2,600万円
    築年数:2年半
    住宅の形態:一戸建て

    編集部作成

     

    ご主人の地元で建てられた住まいは、シンプルな空間設計の中に、多種多様なご縁から生まれた要素が詰め込まれた空間。

    ご夫婦それぞれが持っていたというインテリアへのこだわりと、たくさんの作り手に包まれた住まいについてお話を伺いました。





    お気に入りの場所

    シンプルさにこだわったキッチン

    住まいに入ってすぐの場所にあるキッチンは、ステンレスの天板から成るシンプルな見た目が印象的。収納のためのスペースがほとんど見つからないことも、スッキリした見た目の一因になっているようです。

    「キッチンの天板は身長に合わせて、少し高めの90cmでつくってもらいました。合わせてお願いしたのが、収納庫をなくしてもらうことです。これによってよりシンプルな空間になっています」(樋口さん)

    食器類は、対面にあるキッチンカウンターに収納。使用頻度の高い器類は内側に並べられていました。

    「使ったら元あった場所に戻すという収納習慣があり、食器はそれぞれ片付ける場所が決まっています。使用頻度の低い器やたこ焼き機などは、キッチンの外側の収納スペースを利用していますね」(樋口さん)

    収納のキーになるパントリー

    キッチンは驚くほどにシンプル。冷蔵庫はもちろん、電子レンジなどの家電製品、お鍋などの大型の食器も一切見当たりません。それらの収納スペースとして重要な役割を果たしていたのが、キッチンに併設されたパントリーでした。

    「家の中にほとんど収納がないので、パントリーがすごく重要な場所になっています。キッチン周りで使うものの8割ぐらいは、この3畳ほどのパントリーに収納しているんです。急な来客の時などにサッと隠せるので本当に便利ですよ」(樋口さん)

    パントリーは家を建てる際に絶対に欲しいスペースとして挙げられていたこともあり、収納の“見せると隠す”のメリハリをつける大切な役割を果たしていました。

    四季折々の景色がそばにあるアトリエ

    一方のご主人がつくりたいスペースだったのが、家に入ってそのままアクセスできるアトリエスペースでした。

    「木材などを外から持ち帰った時に、家を汚すことなく作業空間に持ち込めるようにと土間空間につくってもらいました。合わせて水道も付けてもらっているので、ここだけで創作活動に集中して取り組めるようになっています」(ご主人)

    真っ白な空間に一際目立つのが、採光のよさそうな大きなFIX窓。

    「設計士さんが、景色がいいからと提案してくれました。住まいに高さがある分外からは室内が見えないようになっており、カーテンなども付けていません」(樋口さん)

    「休日にこのアトリエで作業をしていると日光が心地よくて、気付いたら眠っているなんてこともよくありますね」(ご主人)


    この真っ白なアトリエだけでも幸福度が高そうなのに、加えてアトリエから梯子を登った場所にあるのがDJブーススペース。レコードや本もたくさん収納されていました。

    これだけ充実していたら、休日はこのアトリエスペースだけで満足してしまいそうです。いいなぁ……。

    この部屋に決めた理由

    タイミングと家族の縁

    ご主人の地元であるみどり市の賃貸で過ごしていた中で、長い目で考えた時にランニングコストとしての賃料がもったいないと思い、戸建ての購入を意識されたそう。

    「主人の友人の先輩が建築事務所で働いており、一度話を聞いてみようと伺ったのがきっかけでした」(樋口さん)

    「それぞれが家に欲しいと思う空間が、戸建てだと実現できたのはよかったと思います。

    住まいにはこうした主人の縁が多くあって、家のシンボルのひとつである薪ストーブも同じく友人がスタートした薪ストーブの会社でオーダーしたものなんです」(樋口さん)

    実は当初、薪ストーブにはあまり関心がなかったと話す樋口さん。それが今では、暮らしの中でなくてはならない存在のひとつに。

    薪も知人から提供してもらっているとのことで、おふたりの“縁”が住まいの大事な構成要素になっていました。

    他にも2階には、設計事務所を紹介してくれた古着屋さんの照明も。

    「私が絵を描く中で、自然と周りにも創作意欲のある方が集まるようになっている気がします。自分自身もせっかくお金を使うなら、顔の見える関係性の中でお金を回していきたいと思っています」(ご主人)

    残念なところ

    アトリエに欲しかった収納スペース

    樋口さんが想定外だったと話すのが、アトリエにあるモノの多さ。作品づくりの材料はもちろん、作った作品の置き場も必要になってきたのだそう。

    「作品をつくる際、材料はもちろん、試作品もつくるので、どうしても物数が多くなってしまうんですよね」(ご主人)

    「でき上がった作品の一部は、2階スペースも活用して保管していますが、将来的に家族が増えることも考えると収納スペースは考えないといけないなと思います」(樋口さん)

    2階から響く足音

    1階に重点を置いて設計した分、コストと相談しながら調整したという2階スペース。将来的には子ども部屋としての活用を検討されている空間だからこその悩みがありました。

    「フリースペースの床を、コストカットのためにラワンベニアにしたのですが、ちょっとした動きでも、一階の寝室に足音が響いてしまうのが気になっています。

    今は寝る際に誰もいないのでいいですが、将来的に子ども部屋にした際には、カーペットなど、防音対策が必要になりそうです」(樋口さん)

    お気に入りのアイテム

    この家のために大切に眠らせていたデイベッド

    リビングスペースの真ん中にあったのが、ブルーのカラーが印象的なウェグナーのデイベッド。ここに住みはじめる前から使いたいと購入していた、大切なインテリアのひとつなのだとか。

    「雑誌で見かけて、大好きな北欧家具とミナペルホネンの組み合わせに一目惚れしました。お店に見に行った際にちょうど状態のいいものがあって購入したのですが、当時はまだ家を建てる前だったので、しばらくお店で預かってもらっていたんです」(樋口さん)

    テレビや雑誌を見ながらくつろぐことはもちろん、家にいる時は横になって仮眠をとることも多いのだそう。大きな窓と薪ストーブの間で、1年中居心地のよさそうな空間でした。

    住まいの顔になったラウンドテーブル

    樋口さんのSNSでもよく見かける、ダイニングのラウンドテーブル。この住まいを設計した事務所でつくられた家具は、今や住まいの顔のような存在に。

    「家を設計してくださった設計事務所のSNARKさんが、家具もつくるということで見に行った際に見つけたのが、このラウンドテーブルでした。このテーブルに出会うまではなかなかいいものが見つからず、以前はアトリエで使っている無印良品のテーブルを使っていました」(樋口さん)

    「絵になるデザインはもちろん、椅子の脚にアクセントカラーとして黄色をいれたテーブルは、わが家の顔でもあります」(樋口さん)

    キッチンスペースのアクセントになっているイラスト

    同じくキッチンスペースで印象的だったのが、壁面に飾られたイラスト。こちらはご主人の同級生であり、イラストレーターとして活躍されているフカツクミコさんの作品です。

    「主人に紹介されて知ったのですが、最初に見た時から、柔らかく優しいイラストがとても気に入っています。

    色も私の好きな黄色が使われていて、キッチンスペースのいいアクセントカラーになっていますね」(樋口さん)

    お気に入りを見つけては買い足している器類

    「数年前に益子陶器市に行ったことをきっかけに器の魅力にはまり、それ以来、いろいろな作家さんの器を集めています」(樋口さん)

    器好きの奥さんに影響されて、ご主人も関心を持ちはじめたそう。特に、趣味だと話すサボテンを入れる花瓶にそのこだわりが現れていました。

    器好きが転じて、照明にもこだわりが。味わい深い色合いが印象的ですね。

    暮らしのアイデア

    アクセントカラーで自分らしさを足す

    住まいはシンプルで落ち着いた色合いのものが多い印象。その中で樋口さんが自分らしさを出すために使っていると話すのが、アクセントカラーです。

    「全体的にはまとめつつもアクセントになる色も入れて、自分たちらしい空間づくりをしています。自分が黄色好きということもあるのですが、先ほどのラウンドテーブルやイラストにも黄色が含まれているんです」(樋口さん)

    お話を聞いて改めてお部屋を見渡すと、照明にもワンポイントで黄色を差し色に。先ほどのデイベットにはブルー。シンボルツリーのグリーンなど。

    部屋全体の統一感は保ちつつ各インテリアが存在感を放っているのも、こうした色の使い方が背景にあるのだと感じました。

    モノを持ちすぎない生活

    樋口さんは、この家を建てる数年前に整理収納アドバイザーの資格を取得。それをきっかけに、必要なものだけで生活したいという思いが強くなり、今の住まいでも収納はパントリーと寝室のクローゼットの2箇所のみにされたそう。

    とはいえそんなに収納スペースが少なくて足りるものなのでしょうか?

    「モノを持ちすぎないことでスッキリ感を保ち、モノの量を把握して暮らしがスムーズに回るように心がけています」(樋口さん)

    物数を減らすために、樋口さんにはマイルールがあるそう。

    「消耗品もストックは家に置かないようにしています。ひとつ使い切ったら次を買うというサイクルにすることで、買い物の頻度は上がるのですが、家にモノが溜め込まれないようにはできていると思います」(樋口さん)

    「正直自分は、整理するのがあまり得意ではないのですが、片付けるスペースをグループ分けしたり、1年使わなかったものは手放したりすることで、少しでも住まいの中にモノが増えないように取り組んでいますね」(ご主人)

    これからの暮らし

    自分たちの手を動かしながら住まいを楽しみたい

    シンプルにつくった住まいだからこそ、生活に合わせて使いやすさをアレンジ。例えば樋口さんの作業スペースには、ご主人がDIYでデスクを作成。

    今後も自分たちで手を動かしながら、よりよい住まいにしていきたいそう。

    「その時々のライフスタイルに合わせて、自分たちでDIYしながら変化を楽しみたいです。

    キッチンスペースも、今後家族が増えれば収納スペースが追加で必要になるので、主人に協力してもらいながらつくり足していきたいですね」(樋口さん)

    生活に合わせて、よりよい住まいに変化をさせる一方で、変わらず大切にしていきたい思いもありました。

    「利便性に頼りすぎず、生活そのものが楽しめたらいいなと思っています。例えば器が好きなので食洗機は導入していなかったり、ヒーターではなく薪ストーブを活用したり、手間がかかることも楽しめる暮らしにしたいですね」(樋口さん)

    自然溢れる環境の中で、アトリエからの光や薪ストーブの暖かさを仕切りのない空間で受け止めている住まい。

    住まいも暮らしもシンプルさを大切にされているからこそ、おふたりのご縁で出会ったインテリアが際立つ空間になっていました。

    暮らしの変化の中で、新たに加わっていくアクセントのひとつひとつに、これからも目が離せませんね。

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