埼玉県の都内へのアクセスもいい沿線の駅から徒歩10分ほど。

近くにはスーパーやホームセンターなどもある利便性のいいエリアに、今回ご紹介するAtsukoさんとfuniさん夫妻の住まいはありました。

お名前(職業):Atsukoさん(グラフィックデザイナー)、funiさん(会社員)
場所:埼玉県
広さ:109.20㎡
建築費:約2,300万円
住宅の形態:築3年9ヶ月 注文住宅
間取り図:

編集部作成

 

それまで縁のなかった埼玉の土地で建てた住まいは、カフェをイメージしたデザインと、無理せず続けられる収納アイデアが兼ね備わった空間。

ご夫婦それぞれが互いのライフスタイルを尊重しながら暮らしやすさを追求するお部屋について、お話を伺ってきました。

■目次
1. お気に入りの場所
導線を意識した“主役”のキッチン
カフェ気分が味わえるダイニング
収納の習慣が変わった玄関
実店舗を参考にしてつくった寝室収納

2. この部屋に決めた理由

3. お気に入りのアイテム
光が揺らめくLE KLINTのキャンドルライト
自作の野草のリース
一目惚れした松野章弘さんの花瓶
使い勝手のいいBODUMの「アッサムティープレス」

4. 暮らしのアイデア
無意識に片付けられる収納づくり
木材の色味を揃える

5. これからの暮らし


お気に入りの場所

導線を意識した“主役”のキッチン

住まいの中心として力を入れたというのがキッチン。料理好きのふたりが日々使う空間であることをはじめ、毎週のインスタライブでも登場する出番の多い空間です。

「使用頻度の多い場所なので導線を意識しました。玄関からも、1階と2階それぞれにある私と主人のワークスペースからも、特に使う機会の多い冷蔵庫までのアクセスがいいように通路設計しています」(Atsukoさん)

カウンター面はカフェ風の明るい色合いに、バックスペースは落ち着いたカラーでまとめられていますが、ここにもこだわりのエピソードが。

「キッチン奥側は厨房をイメージしてひっそりとした空間を演出したく、ポーターズペイントを使って夫婦でグレーの壁に塗装しました。自分たちで塗ったこともあり、より愛着がありますね」(Atsukoさん)

「コーヒー紅茶関連をひとまとまりにしたカフェコーナーもお気に入りです」(Atsukoさん)

毎朝、ご主人はコーヒーを、Atsukoさんは紅茶を入れるのが日課なのだそう。

ご夫婦が毎日使う空間だからこそ、より使いやすく、気分が高まる空間づくりを心がけているのが印象的でした。

カフェ気分が味わえるダイニング

キッチンのカウンター前に位置するダイニングスペースも、お気に入りの1つ。キッチンのバックスペースと対照的な明るい色合いは、海外のカフェを参考にしてつくられたもの。

あえて異なる色を採用することで、カフェとしての存在感がより際立つようになっていました。

「コンパクトな面積ながら、リビングと独立したような隣接したような絶妙な位置関係がお気に入りです。私のワークスペースとも近いため、ちょっとした息抜きもすぐできるのがいいですね」(Atsukoさん)

「こだわったのはカウンターの板材の厚みです。カフェのドリンク受け渡しスペースをイメージして、通常より厚めにしてもらうことでカフェカウンターとしての印象が強くなるようにしています」(Atsukoさん)

明るいカウンターの色合いも相まって、よりカフェらしい空間に。可愛くていいなぁ。

収納の習慣が変わった玄関

居室のシンプルなカラーリングとは一転、明るいブルーグリーンが印象的な玄関は、植物で季節のディスプレイを楽しむとともに、funiさんのこだわりの革靴が並ぶスタイリッシュな空間。今回の住まいを建てたことで、収納の習慣が変わったのだとか。

「その日に履く一足を考えるとき、すべての靴を見た上で決めるのですが、見やすいように前の住まいでは玄関下に横並びに広げてしまっていました。今回、妻からお店のようなディスプレイを考えてもらったことで収納場所が明確になり、玄関を散らかさずに収納する習慣がつきましたね」(funiさん)

また、Atsukoさんの工夫は来客時にも光っていました。

「ブルーグリーンの壁を設けてディスプレイコーナーに目線を集中させたことで、来客の皆さまが後ろ側のシューズクロークに注目しないようになって大成功でした」(Atsukoさん)

確かに私も教えてもらうまで、左手のリビングへのドアと壁のカラーに視線がいって、右手に位置するシューズクロークの存在にまったく気づきませんでした。視線誘導に見事にハマりました……。

実店舗を参考にしてつくった寝室収納

1階はフラットな天井なのに対して、2階の寝室は勾配天井になっています。そうすることで、眠るときの視界を高くし開放的な空間に。また玄関同様にfuniさんのコーディネートを考えるための工夫は、この寝室収納にもありました。

「スーツ収納は仕舞い込むクローゼットではなく、すぐ取り出せるお店のようなオープン収納が理想でした。そのために実際のアパレル店に足を運び、スーツが他の衣類にかからないために必要な高さや他の衣類とのディスプレイ幅などを研究して、楽に取り出せるようにつくっています」(funiさん)

ベッド前のオープン収納とは別に、寝室内には同じく扉のないウォークインクローゼットもありました。こちらはクロスにこだわりがあるそう。

「ウォークインクローゼットは私が一目惚れした海外のクロスを輸入して採用しています。1階はカフェのような空間をイメージしているのに対して、2階はホテルのような空間を意識しているのですが、シンプルなクロスが多い中で、アクセントにもなっていてお気に入りです」(Atsukoさん)

この部屋に決めた理由

こだわりの住まいが建てられる環境

住まいを建てる前は神奈川県の賃貸で暮らしていたAtsukoさんご夫妻。夫婦ともに縁のない埼玉の土地を選んだのは、納得のいく住まいを建てるためでした。

「神奈川からそれぞれの職場にアクセスのいい沿線に住んでいたのですが、戸建てを建てるとなると、どうしても地価が高くて。そんな中、住まいの相談をした担当者の方が『埼玉であれば、条件に合う土地が見つかるかも』とつぶやかれたのをきっかけに、埼玉エリアで職場へのアクセスがいい土地を検討しはじめました」(Atsukoさん)

「全部で6件ほど見て回ったのですが、私が仕事で独立する前提だったこともあり、それぞれの作業スペースを設けられる広さや駐車スペースの有無から現在の土地に決めましたね」(Atsukoさん)

お気に入りのアイテム

光が揺らめくLE KLINTのキャンドルライト

お気に入りのキッチンで使われていたのが、柔らかな光が特徴的なLE KLINTの「キャンドルライト」

「1年半ほど悩んで最近購入したものですが、本物のキャンドルのように揺らめく光に癒されています。充電の持ちもよく、一度の充電で長く楽しめるのもいいですね」(Atsukoさん)

一見分かりづらい電源スイッチもまた、愛着の湧くポイントなのだそう。出っ張りのないフラットなデザインが美しいですね。

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自作の野草のリース

リビングで存在感を放っていたリースは、Atsukoさんによるお手製。毎年、ダイニングテーブルで黙々と制作しているとのことですが、サイズも完成度も高くて驚きます。

「季節によっても変えていますが、中でもお花の教室でつくった野草のみの大きなリースがお気に入りです。お部屋の中でもこうした植物はどこかしらで目に入るように各所に飾っています」(Atsukoさん)

一目惚れした松野章弘さんの花瓶

玄関に飾られていた花瓶は、個展にも足を運んでいるという松野章弘さんの作品。明るいカラーの玄関の雰囲気をグッと引き締めています。普段は花瓶に関心を持たないご主人が、一目惚れしたものなのだそう。

「個展に妻と足を運んだ際に、一目見て思わず『カッコいい』と思った花瓶でした。度々、展示にも伺っている好きな作家さんの1人ですね」(funiさん)

使い勝手のいいBODUMの「アッサムティープレス」

Atsukoさんが自宅での仕事中、美味しいお茶を飲むために重宝していると話していたのがBODUMの「アッサムティープレス」

「プレス式のティーポットで、茶葉の抽出を好きなタイミングで止めることができとても便利です。シルエットも可愛く、お手入れもしやすいのでいつも愛用しています」(Atsukoさん)

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暮らしのアイデア

無意識に片付けられる収納づくり

部屋の随所で光るAtsukoさんの収納術。テーマは「無意識に片付く収納」なのだそう。キッチンスペースでそのコツを教えてもらいましょう。

「まずは固定概念に縛られずに、自分たちが置きっぱなしにしてしまう場所を収納場所にするようにしています」(Atsukoさん)

「また、2人とも結構ズボラで、扉を開けっぱなしにしていたりもするので、そういうところはオープンにして、無理に隠す収納をしないようにしています」(Atsukoさん)

なるほど、それで2階の収納もオープンだったんですね。

どうしてもデザインなどで浮いてしまうものはカバーなどを利用して、空間に馴染むように一工夫。プロテインはグレーのカバーで覆うことで違和感が生まれないようになっていました。

逆に隠す収納などは無理せず、使いやすさを意識。

「すべてに見え方を意識しながら収納を考えるのは大変なので、棚やボックスの収納はざっくりで入れてしまっているところも多いです」(Atsukoさん)

丸ごとお菓子収納にしている棚は、パッケージや賞味期限だけに注意してざっくり収納。無理せずできる、無意識にできるのが長続きの秘訣ですね。

木材の色味を揃える

収納と同様にお部屋づくりで意識していたのが色使い。使うアイテムの木の色味は床と同じオーク材などの中間色で整えられていました。

「1階を中心にシンプルな空間に整えるため、差し色の草花以外の木の色合いは揃えること、空間に馴染ませることを意識しています。夫婦で好きなカラーが似ていたこともあり、大物の家具以外は私の方で考えながらレイアウトしていますね」(Atsukoさん)

メインカラーが整うとアクセントとなる植物の色合いも映えることに繋がり、お部屋の景色の変化も楽しめそうです。

これからの暮らし

ライフスタイルに合わせて楽しい暮らしをつくる

現在の住まいでの暮らしも約4年が経ち、生活に必要なものや環境は安定してきたと話すAtsukoさん。

「住まいづくりで考えた​​夫婦それぞれのワークスペースや、一緒に作業ができる広めのキッチンなど、それぞれのライフスタイルを尊重しながら一緒に楽しく暮らしていけたらと考えています。

また、新しいものを増やすよりは、逆にもう少しモノを減らして、植物で変化をつけながらよりシンプルに生活できたらと模索中です」(Atsukoさん)

ご夫婦それぞれが住まいを、生活を楽しまれているAtsukoさんとfuniさん。ふたりの和やかな会話に同調するように、お部屋も一層魅力的に変化を遂げる予感がします。

Photographed by tsubottlee

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