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時短ではなく“時産”で人々を支える。ロボット掃除機「ルンバ」を生み出すアイロボットが目指すのは、床掃除が存在しない未来
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時短ではなく“時産”で人々を支える。ロボット掃除機「ルンバ」を生み出すアイロボットが目指すのは、床掃除が存在しない未来

2022-07-09 17:00

    Photographed by Kaoru Mochida(記事内9枚目のみ編集部) 掃除に洗濯、料理といった「家事」。これらは避けて通れないものとして、当たり前に人の手で行われてきました。

    しかし現在では、ロボット掃除機、ドラム式洗濯乾燥機、食器洗い洗浄機が「新・三種の神器」と呼ばれるようになり、すこしずつ家電による「家事の自動化」が進んでいます。

    家事のスタンダードがこれからどう変わっていくのか。ホームメンテナンスの未来が気になったROOMIE編集部が今回伺ったのが、ロボット掃除機の代名詞的な存在であるルンバを展開するアイロボットジャパン合同会社。

    ロボット掃除機ルンバが誕生した経緯や、ブランドが目指す先について。シニアコミュニケーションマネージャーの村田佳代さんにお話を聞きます。

    「人の役に立つロボットを作りたい」ブレない創業理念

    ――創業32年を迎えたアイロボット・コーポレーションは、どのように始まったのでしょうか? また、ロボット掃除機を開発するきっかけについても教えてください。

    マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授と学生2人がアパートの一室で、1990年に創設しました。当初は産業用ロボットの開発をしていて、主なクライアントはNASAやアメリカ国防省でした。

    開発された産業用ロボットは、火星やギザのピラミッドの中など人間の入れない場所で大活躍をしました。また水中で地雷を見つけるなど、危険な作業も安全に行ってきたんです。その精密なナビゲーションの技術をもっと狭いエリアで活かすことができないかと考えた結果、家庭の「掃除」とつながりました。

    掃除は家事のひとつとして数えられますが、3D(Dull=退屈、Dirty=不衛生、Dangerous=危険)だと言われています。これをロボットが代わりにできれば、大きく人間をサポートできると考えたんです。

    画像提供:アイロボットジャパン合同会社

    ――たしかに、掃除はすべての家庭で行われていますよね。培ってきた技術力がそこに結び付けば、もっと多くの人にアピールできるということだったのでしょうか。

    それもあります。ただ、CEOのコリン・アングルは「人の役に立つロボットを作りたい」という目的でアイロボットを創業したんです。この「Empower people to do more」というミッションは創業時から変わっていません。

    「人の役に立つ」というのは、ロボットの役割そのものです。そして「掃除」というのは、手段のひとつ。お客さまだけでなく、社員や自分の家族、周りにいる身近な人も含めて、人々がもっといろいろなことに挑戦できるように後押しをしたいと思っています。

    ――人の役に立つ、人をエンパワーメントすることが当初からの目的で、それを実現するための手段がナビゲーション技術を活かした「掃除」だったんですね。

    「ロボット掃除機」として国内の信頼を築くまで

    ――最初のルンバが誕生したのは2002年でした。日本では「ロボットにきちんと掃除ができるのか」という懐疑的な雰囲気があった記憶があります。

    その通りで、現在もそういった声はあります。ルンバを買ってもらえない理由というのは、実は当時からずっと変わっていないんです。価格が高い、(きれいになるのか)信用ができない、(従来の掃除機などで)自分で掃除をしたい、この3つですね。

    2002年からアメリカと同時に日本でも発売していたのですが、当時はおもちゃ売り場に置かれることもありました。体重計と間違えられたという話もあります。

    ――そのような状態から、どのように認知度を上げていったのでしょうか?

    家電量販店に置いてもらって、地道にデモを見てもらいました。まず売り手の方々に魅力を理解してもらう必要があったんです。そうした活動や大規模なマーケティングを継続して行うことで、2009年頃には認知度が上がってきました。

    ――私は実際にルンバs9+を使っているのですが、一生懸命に掃除をする様子が健気でかわいいんですよね。アプリで、ルンバに名前もつけています。

    日本では、よくそう言っていただきます。でもアメリカのメンバーは「ロボットだから掃除をするのは当たり前」と言うんですよ。日本でのロボットへの考え方は、人型をイメージする人が多いんです。アトムやドラえもんの影響もあって、人間を癒してくれるような存在だと捉えているのかもしれません。

    だからこそ、ロボットが掃除をしている姿を見て「健気」という感想が生まれるのかも。ロボット掃除機と連動するアプリで、名前をつけられるのも愛着が湧く理由かもしれませんね。

    ――そうした愛着を持ってくれる人のいる一方で、自分で掃除をしないと「サボっている」と取られるような雰囲気も日本にはまだ残っているように思います。

    そうですね。でも今は夫婦で共働きの方も多いですし、ひとり暮らしの方は全て自分だけでやらなきゃいけない。みなさん、家事や仕事で忙しくて、時間がないと感じているのではないでしょうか。

    「掃除をしないのはサボっている」というのは、ただの固定観念だと思います。任せられることは、機械やロボットに任せてみてほしい。そうすれば、空いた時間で好きなことができるようになって、人の生活がもっと豊かになるのではないでしょうか。

    掃除がなければ、週平均7時間くらい時間ができるという試算があるんです。だから私たちは、ロボット掃除機を時短家電ではなく、時間を生み出す「時産(じさん)家電」と呼んでいます。ルンバによって産み出された時間を好きなことやクリエイティブなことに使ってもらえれば、暮らしの質はどんどん上がっていくはず、と考えています。

    ――「時産家電」って素敵な言葉ですね! ただ、ひとり暮らしの場合、ワンルームに住んでいる人が多いと思うんです。狭い住環境の場合だと、ルンバを持て余しませんか?

    たしかに部屋が広い方が、掃除には時間がかかります。その分、ロボット掃除機によって産み出される時間も多い。でも、ワンルームに暮らしているからといって、まったく床掃除をしないということはないと思うんですよね。

    ワンルームでも十分にロボット掃除機の便利さ、時間に余裕ができる感覚を得られると思います。

    進化を続けるロボット掃除機。目指す子どもたちとの未来とは

    人気モデルの「ルンバ i3+」。天面のファブリック素材が高級感を演出する。

    ――すでにセンサー機能やマッピング機能など、高い性能を持つルンバやブラーバですが、これから先はどのように進化していくのでしょうか?

    ルンバは、いま世界で4,000万台以上が稼働しています。そして、彼らが蓄えた掃除や家のデータがどんどん集まっている。この膨大なデータ量、そして1,900以上の国際特許を持つ精密なナビゲーション能力がルンバの強みです。

    「家」や「掃除」について蓄積したデータをフィードバックできる。だから、お客さまが新しいロボットを買わなくても、自動的にアップデートされて、ルンバが賢くなっていきます。例えば、一部のルンバには、掃除をするポイントまで静かに移動できる「クワイエット走行」が後から搭載されました。ユーザーのフィードバックを活かしてアップデートをしたんです。

    それと、本体前面にカメラを搭載した「ルンバ j7」は、ペットの排泄物やコード類を避けて掃除をすることができます。最近では、床に置いてある洗濯物も避けられるようになりました。

    ――「ルンバのために床に置いてあるものを片付ける」という行動も、なくなっていくかもしれないんですね。そうなると今後、ロボット掃除機はもっと広まると思います。その広がりに伴って、床掃除というものはどうなっていくと考えられますか?

    「住む人が意識をしないもの」になると考えています。基本的には、人間が仕事などで外出をしている間に掃除をして、帰宅時にはすでにいつもの場所にロボット掃除機が戻っている。人間にとって、床掃除というものの存在がなくなるんじゃないでしょうか。

    ――わたし自身、ルンバとブラーバにとても助けてもらっているので「掃除のない世界」は、すぐ近くまで来ている感覚があります。もし、もっと未来の構想について伺えるなら、教えていただきたいです。

    そうですね。ロボット掃除機には、家電の中で唯一「家の中を動き回る」という特長があります。だから世界中の、家の情報や状態についてのデータが集まるんですね。

    そのデータを元に、健康的で効率的な家を作りたいと考えています。「MESHビジョン」(Maintain=維持、Efficient=効率化、Secure=安全、Healthy=健康的)と呼んでいて、その中心にはルンバがいるんです。

    「スマートホーム」は照明や空調の自動化を進めていますが、MESH(メッシュ)は、住む人をもっと包括的にサポートするイメージです。家に帰ったら掃除が終わっているように、帰ったらすでに明かりや空調が快適な状態になっているような……。ソフトウェアによって、心地よく暮らせる空間を作れるのではないでしょうか。

    アイロボットが未来のエンジニアを育てる意味

    画像提供:アイロボットジャパン合同会社

    ――ルンバが作る暮らしの未来のお話、とてもワクワクしました! では最後に、アイロボットが解決のために取り組んでいる社会課題について伺いたいです。

    STEM(Science=科学、Technology=技術、Engineering=エンジニアリング、Mathmatics=数学の頭文字)という教育プログラムが注目されています。アメリカのアイロボットでは、社員のボランティアによる教育ワークショップを2011年からおこなってきました。エンジニアには年に2回の「STEM休暇」があって、地元の学校などで授業をしています。

    日本の場合は、東京本社で開かれたワークショップが主な活動です。参加してくれた子どもたちには、アイロボットのプログラミングロボットRootを使って、課題にチャレンジをしてもらっています。専用アプリ「iRobot Coding」は無料でダウンロードできるので、ぜひ体験してみてください。

    これらの活動は、SDGsの4番目の目標「質の高い教育をみんなに」にあたると考えています。日本にいると子どもの貧困や教育の不平等というのは直面しづらいかもしれません。でも、教育が行き届かない、未来のエンジニアが育たない、ということも、重要な環境問題です。

    そこを補うのが私たちの大事な役目。この活動を通じて、エンジニアリングやロボットに興味を持った子どもたちがいつか、アイロボットで開発を担うようになってくれたらとても嬉しいですね。

    価格と性能のベストバランスを叶えた新型「ルンバ i2」が発売

    アイロボット「ルンバ i2」39,800円(税込)

    すべての家庭にロボット掃除機を届けることを目指してきたアイロボットジャパン。もっと多くの暮らしを豊かにするために発売されたのが、新型ロボット掃除機「ルンバ i2」です。

    価格への抵抗感、清掃力への不安といった、いわゆる“ルンバ パラドックス”を払拭する最新機種。ルンバiシリーズならではの進化した清掃力を持ちながら、手に取りやすい市場最安価※39,800円(税込)を実現しました。

    同価格帯の「ルンバ e5」から、各種センサーなどの機能面が圧倒的に進化しているのが特長。距離を把握しながら各部屋を移動し、効率的な動きで床を掃除します。さらに、アプリを連動させることで清掃エリアなどの詳細を確認することも可能。

    最初に家庭に迎えるロボット掃除機は、「ルンバ i2」で決まりかも!

    ※カタログ掲載モデルでの市場投入価格として。公式オンラインストア価格39,800円(税込)

    アイロボット公式サイトはこちらから

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