初めて即席ラーメンを食べたのは、中2あるいは中3だったか。
学校帰りに立ち寄った荒物屋の店先。おばちゃんが丼に乾いた麺を置き、上から熱湯を注いで蓋を閉める。丼をじ〜っと見つめたまま3分間。フタが開いて立ち上る湯気と香りを吸い込んでホッと一息。日清の即席ラーメンである。中華屋で食べるラーメンとは味も姿も少しちがっていたけれど、初めて知る味わいだった。
その後、多種多様なインスタント麺が出回るようになって、私もいろんな種類のラーメンをたくさん食べ、うまいの、まずいの、言ってきた。だけど、あのチキンラーメンだけは別枠。唯一無二の忘れ難きラーメンなのである。
60年経ってもやっぱり好き
あの即席ラーメンを初めて食べた時から60年あまりが経ち、私はすっかりおばあさんになった。一時は「ラーメンのこぐれさん」として名を馳せた私だが(嘘です)、年老いたゆえか(多分そう)、ラーメンとの縁が希薄になっていた1年前、浜田陽子さんの陶芸展でこの土鍋に出会ってしまったのである。
「これ、丼に移さなくてもチキンラーメンが食べられる土鍋」。彼女の説明を聞いて、即座に浮かんだのが、日清チキンラーメンのパッケージ。頭の中を ♪すぐオイシイ♪、♪すごくオイシイ♪ 80年代に流れたCMソング(出演:南伸坊さん)が流れ始めた。食べたい! あのラーメン、この土鍋で食べたい!
Illustration by Hideko Kogure
土鍋がわが家に納品されたのはそれから半年後。フタを開けると「NISSIN/元祖鶏ガラ/チキンラーメン」が入っていた。お湯かけ3分、お鍋で1分。NEW FACEの土鍋にお湯を沸かし、くぼみに卵を割り入れて待つこと1分(あっという間だ)。小口切りネギを散らしていざ食べ始めた。
おいしい!やっぱり美味しい!
味も研究されておいしさは膨大に増しているのだろうが、舌に響くのは昔懐かしい、唯一無二のあの味。アッチッチ! ふ〜、オイシイ。この土鍋、買ってよかった〜。大満足。
以来、月曜の昼はNISSINのチキンラーメンを食べる習慣になり、「なんだかうちのSOUL FOODみたいだねえ」なんてことを話している。えっ、なぜ月曜日なのかって? それはね、週一で通っているPOOLの教室が13時から始まるので、早めに軽くチキンラーメンを食べて出かけるから。
私をチキンラーメンに呼び戻してくれたのは浜田さん作のこの土鍋と昔の味わいを大事に残していてくれたNISSINの力。シンプルに卵とネギでいただくのが好き。唯一無二のあの味を私ごときが崩しちゃいけない。そう考えているのです。
こぐれひでこさん近影
チキンラーメンが登場するこぐれさんの日記を読むたびに自分も食べたくなります。
朝起きられない人はこちらを使ってみて!
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