「まち」はじっと黙っているようで、実はおしゃべりなのかもしれない。
「一度訪れたことのある’まち’って次戻った時に、前に訪れた時は何をそこでしたのか、誰といたのか、どんな風に感じていたかっていう記憶を呼び起こしてくれるものだよね。」
そんなアイディアを源に生まれたプロジェクト、Hello Lamp Post(やあ!街灯さん)。イギリスのブリストルという街で、2013年夏に2ヶ月間実施されました。
Hello Lamp Postは、携帯のテキストメッセージの機能を使い、道ばたにあるお馴染みのものをメディアにして、街行く人の会話を引き出そうという遊び心に満ちあふれた、実験的なSMSのプラットフォームです。
人々のメッセージを繋ぐメディアとなるのはインフラの設備。街灯、電柱、ポスト、駐車料金計、橋、ボートからゴミ箱まで…。
普段あまり目を留めることはないけれど普通に存在するインフラを使うことによって、ありふれた日常の風景のなかで、改めてまちの魅力を再発見し、その魅力をシェアし、そして、他の人が感じていることを知るキッカケを作ろうというプロジェクトなのです。
使い方はこんな感じ。
【STEP1】 街にあるお気に入りのものを選ぼう!
街の中にあって管理用のIDがついたものなら、電柱でもポストでもゴミ箱でも何でもOK。
【STEP2】 メッセージをよろしくね
対象とするものに話しかけるためにハッシュタグをつけたテキストメッセージをHello Lamp Post宛に送ろう!
【STEP3】 会話してみよう
すぐに返事がもらえるよ。返ってきた質問に答えよう。そして、どんな風に答えているか聞いてみよう。
仕組みを見ると意外と単純で、ストリートファニチャー自体に特別な仕掛けはないのですが、人と人とを繋ぐ「メディア」として、まちのインフラを使うアイディアが素敵ですよね。
例えば、こんな会話が繰り広げられたそうですよ。
「私は89年間ここに住んでいるのだけど、君は何年間ブリストルに住んでいるのかい?」
「私は25年ですよ。」
オリジナルサイトでは、実際交わされた様々な会話内容の一部を見ることができます。質問も答えもなかなか面白い。
2ヶ月間という短い期間にも関わらず、住民から観光客までたくさんの人が参加し、25,000通以上のメッセージが送られてきたそうです。
いつもの静かなまちに実はこんなにたくさんの会話が生まれていたと思うと面白いですね。
残念ながらこのプロジェクトは現在休止中なのですが、こんな遊びがあれば、慌ただしい日常から少しスローダウンして、いつものまちを新鮮な視点で眺めてみることができそうですよね。
日本だったら、街のどんなものからメッセージがもらえるのかな。
[Hello Lamp Post][DESIGN MUSEUM]
[Dailymail online]