今、科学の世界から飛び出して、アートの世界でもバイオ:biology{生物学}が最も旬なキーワードだって知っていますか?
DIYバイオキットなるものも最近登場してきて、少しだけ身近なものになっているとはいえ、いきなりバイオって言われてもなかなか敷居が高いですよね・・・
まずはこの作品から、バイオアートの面白さに触れてみるのはいかがでしょうか?
これは、Lia giraudの藻:algaeを使った作品です。その名も「藻グラフ」:Algae-graphs。
Lia Giraudはパリを拠点に活動するアーティストで、研究者でもあります。
これらの作品は、2011年にl’école nationale supérieure des arts décoratifs(現在も本大学に在籍中)の卒業製作として発表された作品‘cultures’の一部。
‘cultures’は、ミクロサイズの藻類を使って「生きた」ポートレイトや、詳細まで精密に描かれたランドスケープを表現しようとするプロジェクトです。
どこかフィルム写真のような雰囲気を感じませんか?(色が白黒ではなく白緑だけど・・・)
実は、クラシックカメラの現像と同様の手法を使ってこの‘Algae-graphs’:「藻グラフ」は作られているのです!
「藻グラフ」は、光をとらえて記憶することのできる特性を持つ、感度の高い微生物を用いて作製されます。
フィルム現像では伝統的に銀が用いられてきましたが、その代わりに感光性を持ったミクロサイズの藻という生物を用いることに成功したのです。
現像プロセスは、藻をある化学物質と一緒にペトリ皿の中に入れて、写真の露光を始めるとすぐに始まります。
藻の細胞が光に反応することで、皿の中には一様に様々な濃度を持った像が形作られ、4日間露光を続けると完全に像が生成されて定着するそうです。
その仕組みはまさにフィルム写真の現像手法と同じ。
つまり、自然の力を用いて写真を「現像」しているんですね。
うーん。なるほど・・・
「生きたポートレイト」なのだから、映像でその生成過程を知りたいですよね。
こちらからぜひご覧下さい!
もう3年も前に、この作品が完成していたというのがまた驚きですよね。
日進月歩で発展するバイオの世界。私たち一般人には未知の領域。
だけど、もう「知らない」は通じない世界がすぐそこにはあるのかもしれません。
生物のこと、自分の身体のこと、遺伝のこと、倫理的なこと・・・
そんな問題をバイオアートを鑑賞しながら考えてみてはいかがでしょうか?
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