この夏、パリ旅行にいったひともいるのではないでしょうか。「芸術の都」、「ファッションの都」として世界中から愛されている街の一つ、パリ。

いいですよね、パリって。ルーブル美術館や、オルセー美術館などをまわって、カフェで一息つきながら、通りすがるパリジェンヌ、パリジャンたちに目をやったり、夜はおいしいレストランでワインと料理をいただく。街にとけ込んでいる歴史ある建物を眺めたり、ただ単にお散歩するだけでも楽しい。

けれど、実際にパリで暮らしてみると、違った目で見るようになります。

その「目」の代わりとなって、パリの街の写真を撮影しているMarie Hamelの「ALIMENTATION GENERALE」シリーズでは、夜のパリでひっそりと営業しているグロッサリーストア(日本で言うところの青果食品も扱う「コンビニ」のこと)の姿を垣間みることができます。




パリのどのエリアにも1つや2つはあります。大抵の場合は、移民出身のひとたちが営業をしていて、販売しているのは、主に日用品です。

例えば、牛乳やジュース、ビールなどの飲料類、食パンや袋詰めにされたパン・オ・ショコラ、パスタ、ポテトチップスなどの食料品、ほかにもトイレットペーパーや洗剤、ノートやペンなど、ほどんど日本のコンビニと変わらないくらいの品揃え(ただし、タバコ、雑誌、薬などは販売していません)。

加えて、必ずといっていいほど店の入口にはりんごやバナナなどの青果物が陳列されています。



そして、最大の魅力は深夜2時〜4時まで営業していること。

「日本のコンビニなら24時間営業でしょ?」と思いますが、フランスのスーパーは夜の8時、遅くても10時で閉店。日本のコンビニみたいに、24時間体制でお客を待っているようなお店は皆無。よって、どうしても小腹がすいているときに駆け込むのが、このお店だったりします。



夜にもなれば騒がしかったパリの街にも静けさがやってきますが、グロッサリーストアには明かりが灯る。その昔、筆者も夜遅くまで飲んだ帰り道、お世話になっていました。

初めはお店に入るのが少し怖かった覚えがありますが、店員さんはフランクなひとが多く、お互いの名前を知るようになり、買い物の度に世間話に花が咲くように。

スーパーでは、レジで「ボンジュール」と挨拶して、「メルシー」と御礼を言うだけ。ところがグロッサリーストアでは、まるで友達に話しているかのように、その日あった出来事などをペラペラと話す。スーパーでは味わえないコミュニケーションを、味わえることが楽しかったですね。



しかし、これら多くのグロッサリーストアは大手スーパーマーケットチェーン店の存在によって、消滅していってるそう。

パリを中心に活動しているフォトグラファーMarie Hamelは、グロッサリーストアは母国フランスにとって重要な存在の一つだと考えて、お店が姿を消してしまう前に、どうしても写真におさめておきたいと思ったそうです。

華やかなパリの街でひっそりと営業しているグロッサリーストア。観光に訪れたパリで何かが必要になったときは、お店に入ってみてください。きっと、まるでパリジャンになったような気分になるかもしれません。ただし、所狭しと商品を陳列している場合が多いので足元にご注意を!

2010年からはじめたこのシリーズをもっとご覧になりたい方は、彼女のサイト「Marie Hamel」を訪ねてみてください。

Poignant Nighttime Photographs Of Paris’ Vanishing Grocery Stores

[DesignTaxi]

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