9月28日まで開催されている「札幌国際芸術祭」に行ってきました。
札幌初の国際芸術祭で「都市と自然の新しい関係」をテーマにしている通り、市の様々な場所で展示されている作品は北海道らしい自然と文化の融合を感じられました。
気になった作品などを前編、後編でご紹介します。
札幌国際芸術祭では、札幌駅~大通駅周辺の地下の歩行空間を生かした展示、北海道庁の展示など、無料展示が多く、多くの人が気軽に街中にあるアートを楽しめる形になっています。
中でも、私は札幌大通地下ギャラリー500m美術館に多くの時間を費やしました。
ここは国際芸術祭以外でも、普段から色々な展示をしていてお気に入りの空間です。
展示は、道内の作家さんが多く、とても興味深い作品ばかり。夢と現実を曖昧にするかのような印象を与える、ノスタルジックな作風の坂東史樹さんの『真昼の星々』。夢のひとときを目にしているようで、長く見入ってしまう魅力があります。
彼が夢で見た風景を精密な模型で復元し、そこに日常生活で経験する事物などを加えてピンホールカメラで撮影。平面作品として展開されています。
続いて、山田良さんの『横たわる樹木/光競争の跡』。
北海道の象徴でもある、白樺を大胆に横たわらせた作品です。天然の樹木を、加工物になった木の箱に収めた作品となっており、建築的なアプローチに「自然と都市」を感じます。
そして、最後に空間に圧倒的な存在感でたたずんでいた、楢原武正さんの『大地開墾』。
彼のインスタレーションはこの20年余り、常に『大地開墾』という題がつけられています。鉄、トタン、空き缶、車の部品などの廃品を使い、叩き潰し、錆びさせ、変形させた後、全てを黒色に塗ったピースを、作品に昇華させています。現代が生んだ社会廃棄物で作られる作品に、様々な想いが交錯しています。
続いて北海道庁、赤れんが特別展示「伊福部昭・掛川源一郎」展へ。道庁は、北海道の重要な歴史的・文化的建築物の1つですね。
北海道に縁の深い二人の重要な先人の、文化的功績に再び光を当てる展覧会です。二人の共通項は「アイヌ」。北海道を語る上で欠かせないアイヌ文化を感じることができます。道外にはあまりなじみのないテーマなので、強い関心を抱きました。
室蘭市に生まれた写真家の掛川源一郎(1913-2007)さん。アイヌ民族の暮らし、風俗、自然との関わり、そして北海道の近代風景を捉えた写真作品を生み出しました。
そして、釧路市が輩出した日本の現代音楽を代表する作曲家の一人の伊福部昭(1914-2006)さん。ゴジラの映画音楽で知られています。伊福部さんは、子どものころにアイヌの人々と接するなかで彼らの生活・文化に共感し、それが以後の楽曲に大きな影響を与えていたようです。
美術館で開催される現代アート展とは、また違ったアプローチでアートを感じられました。
後編は北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館をご紹介します。
札幌国際芸術祭2014は9月28日まで開催されています。詳細は、こちらから。
[札幌国際芸術祭2014]