ポケットのボタンがないと気がついたのは、仕事現場に着いてコートを脱いでいる時でした。コートのポケットには二つずつボタンが付いています。右側のポケットにはボタンが一つしかなくて、もう一つの場所には糸だけがふぁさりと垂れていました。

「お疲れ様でした」と挨拶してコートを着たら、無意識に右側のポケットに手をいれていました。仕事中は忘れていた“ボタンがない”が頭の中をぐるぐるするのです。もしかしたら無くしたボタンが運良くポケットの中に落ちていたりしてと、たぶんそんな風に思ってごそごそしたのでしょう。もちろんありません。襟に付いているボタンをポケットに移動させて、襟のボタンは家に余っているボタンに付け替えようかとあれこれ考えながら、でも同じボタンがあればベストよねと歩きながらボタンを検索してみたら、近くにボタン屋さんがあるのを発見いたしました。