• このエントリーをはてなブックマークに追加

  • 小島延夫氏:マイナ保険証の根本的な問題は何一つ解決されていない

    2024-12-11 20:00会員無料
    マル激!メールマガジン 2024年12月11日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    マル激トーク・オン・ディマンド (第1235回)
    マイナ保険証の根本的な問題は何一つ解決されていない
    ゲスト:小島延夫氏(弁護士)
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
     マイナ保険証の本格運用が始まった。しかし、根本的な問題は何一つ解決されていない。
     12月2日をもって紙の健康保険証の新規発行が停止となり、マイナ保険証に移行することになった。いつの間にか、皆保険制度のベースとなる健康保険証が、任意取得のはずのマイナンバーカードに一本化されようとしている。
     現行の保険証も最大1年間はそのまま使い続けることができるが、これから1年の間に、各人の持つ保険証の有効期限が切れ始める。マイナ保険証の登録をしていない人や高齢者には「資格確認書」という保険証とそっくりなものが、市区町村や各健康保険組合から送られてくることになっているが、既にマイナ保険証を登録した人は、登録を解除しない限り、基本的にマイナ保険証を利用せざるをえなくなる。
     マイナ保険証は、医療機関を受診するたびに窓口でそれを提示して、医療機関が設置したカードリーダーに読み込ませなくてはならない。その際は顔認証を使うか、暗証番号を入力しなければならない。健康でこうしたカードの扱いに慣れている人にとっては何でもないことかもしれないが、障害があったり病気だったりしてカードリーダーをうまく操作ができなければ、さまざまなトラブルが起きる。車いすユーザーは受付台の上に置かれたカードリーダーでの顔認証は難しいし、発熱があり感染症の疑いがある場合はどうするのだろう。
     そもそもマイナンバーという秘密情報が記載されたカードを持ち歩くことは想定されていなかったはずで、それを本人確認用に使うということ自体が大きな矛盾であり問題だと、行政法が専門の小島延夫弁護士は主張する。
     しかも、マイナ保険証の導入や現行保険証の廃止が、十分に議論された上で決まったことなのかどうかも怪しい。
     保険証廃止の方針は岸田政権下の2022年10月に閣議決定された。翌年の4月には、保険診療を行う医療機関にオンラインによる資格確認が義務付けられたが、この決定は国会での審議議論を経た法律の改正という形ではなく、厚労省が内部的に決められる省令によるものだ。その後、マイナンバーカードの紐づけのトラブルなどが多く報道されたことも記憶に新しいはずだ。
     マイナ保険証のメリットとして政府が繰り返し伝えているのは、患者が情報提供の同意をすれば、これまで受けた診療の内容や薬の履歴などがわかるので、結果的に医療の質の向上が期待できるという点だ。しかし、それを実現するためになぜマイナンバーカードと保険証を一体化させる必要があるのか、その議論も十分とは言えないと小島氏はいう。
     逆に、医療情報というセンシティブな情報は保護されるべきものであって、現在のマイナ保険証利用の際の同意取得の方法は極めて不適切であり、日本も認定を受けているEUのGDPR(一般データ保護規則)にも抵触する可能性があると、小島氏は指摘する。
     こうした根本的な問題を解決しないまま、この12月からマイナ保険証の本格運用が始まったわけだが、今後マイナ保険証はどうなっていくのだろうか。
     保険証そっくりの資格確認書は現行の保険証と異なり、各保険者に発行が義務付けられているわけではない。また、マイナンバーカードの電子証明書は5年で更新手続きが必要になる。いざ病気やけがで医療にかからなくてはならなくなったときに、資格確認書を持っていなかったり、マイナンバーカードの期限が切れていたりすれば、結果的に本人確認ができず、保険医療が受けられないというトラブルがいつ起きてもおかしくない。ひとたび医療情報の漏洩が起きれば、取返しのつかない問題となるおそれもある。
     法的には任意であるマイナンバーカードの普及を進めるために、誰もが必要としている保険証とマイナンバーカードを無理矢理結びつける政府の手法に果たして正当性はあるのか。その強権的な手法はどのような問題を孕んでいて、今度どのような問題を生み出す恐れがあるのか。この問題を契機に10数人の弁護士と「地方自治と地域医療を守る会」を立ち上げた小島延夫氏と、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が議論した。

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    今週の論点
    ・なぜマイナンバーカードと保険証の統合という無理筋がまかり通るのか
    ・マイナ保険証が抱える法的な問題点
    ・個人情報の取扱いに関する大きなリスク
    ・ここまで来てしまったマイナ保険証を巻き戻すためには
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

    ■ なぜマイナンバーカードと保険証の統合という無理筋がまかり通るのか
    迫田: 今日のテーマはマイナ保険証です。12月2日から紙の健康保険証の新規発行が停止となり、マイナ保険証に移行することになりました。この先色々な混乱が予想されるということで、今日は弁護士の先生と一緒に法律の観点から考えていきたいと思います。ゲストは弁護士の小島延夫さんです。問題はたくさんあると思いますが、端的にはどこに問題があるのでしょうか。

    小島: 端的に言うと、マイナンバーカードは元々、保険証として使うことを全く考えられずに作られたものだということです。マイナンバーカードの裏面には、個人番号という人に見せてはいけない情報が書いてあります。見せてはいけない番号が書かれているものを持ち歩き、人に示すという使われ方はまったく想定されていないのですが、それを持ち歩き保険証として使うというのは制度設計としてあり得ません。 
  • 5金スペシャル映画特集:不条理だらけの世界を当たり前としない生き方のすすめ

    2024-12-04 20:00会員無料
    マル激!メールマガジン 2024年12月4日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    マル激トーク・オン・ディマンド (第1234回)
    5金スペシャル映画特集
    不条理だらけの世界を当たり前としない生き方のすすめ
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
     月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。今回は映画特集をお送りする。
     今回取り上げた映画やドラマは次の7作品。どれも、多くの人が自明だと信じて疑わない社会の「当たり前」に疑問を投げかける秀作だ。
    ・『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(アレックス・ガーランド監督)
    ・『ザ・ディプロマット』(リザ・ジョンソン、サイモン・セラン・ジョーンズ監督)
    ・『ラストマイル』(塚原あゆ子監督)
    ・『哀れなるものたち』(ヨルゴス・ランティモス監督)
    ・『憐れみの3章』(ヨルゴス・ランティモス監督)
    ・『トナカイは殺されて』(エレ・マリア・エイラ監督)
    ・『ロスト・チルドレン』(オーランド・ボン・アインシーデル監督)
     『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は、内戦状態のアメリカで取材に奔走するジャーナリストたちを描いている。ジャーナリストたちは戦場で命を危険に晒されながらも、前線に近づくにつれむしろ生き生きとし、高揚感に心を震わせる。映画は「そんなに戦争がしたいならすればいいではないか」と唆すようだが、それは、戦争をすれば破滅に向かうだけだが本当にそれでよいのかと問うメッセージの裏返しでもある。今の平和が当たり前ではないという現実を、平和ボケしたわれわれに突きつける。
     ドラマシリーズ『ザ・ディプロマット』は、イギリスの保守派がスコットランドの独立を阻止すべく画策した自作自演の戦艦爆破事件を巡り、米、英、ロシア、イランとの外交と米英両国の国内権力闘争が交錯するさまをスリリングに描く。誰が本当の味方で誰が本当の敵なのか分からなくなる、今日の世界の政治状況が投影される。
     『ラストマイル』はグローバル化された物流サービスとその下で過酷な労働環境で働かされている運送業の労働者、そしてアメリカ本社からの指示を受けてそれを差配する日本人幹部達が抱える葛藤などが描かれている。しかし、荷物を届ける物流の最後の区間であるラストマイルに携わる人々に過大な負担をかけている張本人は物流会社幹部ではなく、即配サービスを当たり前のように利用しているわれわれエンドユーザーであるという現実も浮かび上がる。
     頼んだ翌日に物が届くことが当たり前になった世の中を維持するために、どこに負担のしわ寄せが集まっているかをあらためて考えさせられる。
     『哀れなるものたち』と『憐れみの3章』はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督のギリシャ悲劇を現代風にアレンジした作品。『哀れなるものたち』は、赤ちゃんの脳を移植された女性が成長していく物語。社会の仕組みを何も知らない状態の赤ちゃんが取る奇想天外な行動は、われわれが当たり前と思っていることには実はほとんど何の意味もないことを思い知らされる。
     『憐れみの3章』は、上司のおじいさんに人生の全てを支配される男、自分の妻を偽物ではないかと疑う男、死者を蘇らせる力を持った女性を探す女という3つの物語からなる。服従や自己犠牲、妄信という欲望に翻弄される人々が描かれており、人間の本質とは何かを問う作品だ。
     狩猟民族の少女が主人公の『トナカイは殺されて』には、差別する定住民と差別される非定住民の対立が描かれている。日々狩猟採集を行い、移動しながら生き生きと生活する非定住民を見れば、定住民の生活がいかにつまらないものかがよく分かる。
     『ロスト・チルドレン』は飛行機事故によりアマゾン密林で行方不明になった子どもを捜索するドキュメンタリー。GPSを使っても見つからなかった機体を先住民の子どもは見つけることができた。多くの日本人が信じる近代的な合理性より、先住民の合理性の方が正しいことを示している。
     複雑化した社会でわれわれが当たり前だと思っていることがいかにでたらめなのか。7つの映画作品についてジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
     なお、番組の冒頭では、政治資金収支報告書のデータベース化の現状について議論した。
     石破首相は29日、臨時国会で所信表明演説を行い、政治資金収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築の議論を進めると述べた。しかし党内には政治資金の収支がすべてガラス張りにされることに対する抵抗が早くも始まっている。その切り札が「個人のプライバシー」を言い訳に、データベース化される情報の範囲をできるだけ狭くしようという動きになって現れている。
     26日に行われた政治改革に関する与野党7党の協議の場で、自民党の・政治改革本部長を務める渡海紀三朗衆院議員はデータベース化される対象を政党本部と国会議員関係団体に限定する意向を表明している。
     そもそも政治資金収支報告書は今もPDFでウェブ公開され、そこには個人寄付者の名前もすべて公表されている。しかし、それがデータ化されていないために検索やソート(並び替え)などが容易にできず、それが結果的に膨大なページ数にのぼる政治資金収支報告書を詳細にチェックすることを事実上不可能にしている。
     単に、これまでPDFで公開されてきた情報をデータ化し、データベースを構築することで検索が可能な状態にすることが、石破首相が28日の所信表明演説で明言した「誰でも確認ができる」政治資金収支報告書のデータベース化の要諦であることを忘れてはならないだろう。
     それをなし崩し的に無力化しようとする抵抗勢力の巻き返しには、今後も目を光らせていく必要がある。

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    今週の論点
    ・政治資金収支報告書のデータベース化はどこまで進むのか
    ・現実味を帯びるアメリカの「シビル・ウォー」
    ・止まらない便利なサービスへの欲求と労働者の搾取
    ・哀れなるものとは他でもない「あなた」のことである
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

    ■ 政治資金収支報告書のデータベース化はどこまで進むのか
    神保: 今日は5金スペシャルということで映画を扱いたいと思いますが、冒頭で話したいことがあります。今日から臨時国会が始まり、石破首相が所信表明演説をしました。今回われわれがこだわった一方でマスメディアがなぜかあまり注目していない点として、政治資金収支報告書のデータベース化の問題があります。石破首相は所信で言及しているのですが、さっそく巻き返しとも潰しとも思われる動きが出てきているので、皆さんへの注意喚起も含めて取り上げたいと思います。
    石破さんはデータベース化については前回の記者会見でも話しており、事実上総理が約束しているということで、行政や党に対する一種の命令ということで動き出してはいます。 
  • 徳田靖之氏:違憲のハンセン病療養所「特別法廷」判決が揺るがす死刑制度の正当性

    2024-11-27 20:00
    550pt
    マル激!メールマガジン 2024年11月27日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    マル激トーク・オン・ディマンド (第1233回)
    違憲のハンセン病療養所「特別法廷」判決が揺るがす死刑制度の正当性
    ゲスト:徳田靖之氏(弁護士、菊池事件弁護団共同代表)
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
     日本の死刑制度の是非が問われる事態が相次いでいる。
     先月、死刑判決を受けていた袴田巌さんの再審無罪が確定したのに続き、今月13日には「日本の死刑制度について考える懇話会」が現行の死刑制度の問題点を指摘する提言をまとめている。
     学識経験者のほか、林眞琴・元検事総長や金高雅仁・元警察庁長官、与野党の国会議員やメディア関係者などが参加して今年2月から議論を重ねてきた同懇話会は、「現行の日本の死刑制度とその運用の在り方は放置することの許されない数多くの問題を伴っており、現状のままに存続させてはならない」と提言した上で、政府や国会に死刑制度の存廃や改革を議論することを求めている。
     法制審議会の前会長で同懇話会の座長を務める井田良・中央大学大学院教授は記者会見で、「無辜を処刑してしまうということが事後にはっきり明らかになったという時には、おそらくもはや死刑制度というのは維持できないことになると思う」と述べている。
     袴田さんは今年、ようやく再審で無罪が確定したが、刑が確定してから再審決定が下るまでの44年間、いつ死刑が執行されてもおかしくない状態に置かれていた。また、この番組でも取り上げたことがある「飯塚事件」では、冤罪の可能性が指摘される中、死刑の執行が強行され、現在遺族による再審請求が行われている。
     しかし、もう1つ、裁判自体の違憲性が指摘されながら、死刑が執行されてしまった「菊池事件」をご存じだろうか。
     菊池事件とは、政府がハンセン病患者に対して、過酷な隔離政策を推進し、官民一体となって患者をあぶり出す運動を展開していた1952年、ハンセン病患者を通報した村役場の元職員が殺害されたという事件。ハンセン病患者の男性が、通報されたことを逆恨みして殺したことが疑われ、予断と偏見に満ちた裁判の末に死刑判決が下された。本人が無罪を主張し再審を求めたが、1962年に死刑が執行された。
     弁護団共同代表の徳田靖之弁護士は、凶器の点からも、犯人逮捕の決め手となりその後うやむやとなった親族の証言の点からも、この事件は冤罪である可能性が高いと指摘する。そして、さらに問題なのは、この裁判自体が後に憲法違反と判断されているという事実だ。
     この事件の裁判は、被告がハンセン病患者であることを理由に、ハンセン病療養所菊池恵楓園に設けられた「特別法廷」で事実上非公開のなかで行われた。特別法廷は裁判所外で開かれる法廷のことで、大災害などで裁判所で裁判が行えない場合に、裁判所外の特別法廷で裁判を開くことが裁判所法で認められている。ハンセン病患者の裁判では、隔離先の療養所や専用の刑事施設に特別法廷が設けられ、1948年から72年の間に95件の裁判が開かれた。
     しかし、最高裁は2016年、隔離目的でハンセン病療養所内で開かれた「特別法廷」が裁判所法に違反し、差別的な扱いは違憲だったことを認め謝罪している。また、菊池事件については、その後提起された国賠訴訟でも裁判が違憲であったことが確定している。
     また、ハンセン病患者を強制隔離することを目的とした「らい予防法」については、1996年の法律廃止後に国賠訴訟が提起され2001年当時の小泉首相の控訴断念で、憲法違反であったとする熊本地裁判決が確定している。
     こうした事態を受けて、菊池事件では現在、遺族が再審を求めており、地裁と検察、弁護団の三者協議が続いている。後に違憲とされた裁判で死刑が確定し刑が執行されてしまったこの事件で、もし再審が行われ無罪判決が出た場合、まさに「日本の死刑制度について考える懇話会」の井田良座長が指摘する「もはや死刑制度というのは維持できないことになる」事態が起きることになる。
     人が人を裁く裁判では必ず間違いが起きる。しかし、一旦死刑が執行されてしまえば、もはや取り返しがつかない。
     菊池事件、そしてハンセン病療養所内の特別法廷とは何だったのか、その背景にある差別とは、そしてこの事件が突きつける死刑制度の問題とは、などについてハンセン病国賠訴訟の共同代表でもある徳田靖之弁護士と社会学者の宮台真司、ジャーナリストの迫田朋子が議論した。

    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
    今週の論点
    ・冤罪とハンセン病差別としての菊池事件
    ・憲法違反の裁判で死刑が執行された
    ・日本はこのまま死刑制度を続けてよいのか
    ・差別、優勢思想、死刑制度など命に関わる問題に通底するもの
    +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

    ■ 冤罪とハンセン病差別としての菊池事件
    迫田: これまでマル激では、再審制度の不備や人質司法などについては繰り返しお伝えしてきました。今回は、死刑制度に関わる大きな問題である菊池事件を知っていただきたいと思います。

     今日のゲストは弁護士で菊池事件弁護団共同代表の徳田靖之さんです。徳田さんはハンセン病国賠訴訟の弁護団の共同代表でもあり、また旧優生保護法や薬害エイズの裁判などにも関わっておられました。

     袴田事件の報道がされていますが、メディア報道について、ここが足りないのではないのかと思うところはありますか。

    徳田: 袴田さんを犯人にするために検察や警察が証拠を捏造したというところに大きな焦点が当てられていて、無罪になったことが中心的に論じられているのですが、袴田さんの心と体をここまで蝕んだのは死刑という制度です。いつ自分の命が奪われるのかが分からないという状況の中で無実を訴え続けることの非人道性は、人の心を破壊します。マスコミや社会全体がそこにスポットを当てておらず、本当に死刑制度をこのままにしていて良いのかということを捉えようとしていないことに不満があり、危機も感じています。

    迫田: 袴田事件に合わせたということもあるのでしょうが、今月13日、日弁連が事務局をしている「日本の死刑制度について考える懇話会」という検討会が報告をまとめ、記者会見をしました。この懇話会には16人の委員がいて、元警察庁長官や元検事総長などもいます。