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蜜の味
詩作の場「蜜の味」に向けて
まだ年端もいかぬ頃「あの頃は良かった」と昔を慈しみ
どうやったらいまを前向きに生きることができるのかと
考えあぐね、いつのまにかそのはけ口を「創る」ことに
見出した。それを誰に話すこともなく、ここまで自問自答で
やってくると、
さすがに、どこかにその痕跡を少しだけ
残しておいてもバチが当たらないのではないかと
思えてくる。
とあえばその痕跡の味はいかなるものか。
もしや甘くどこか苦味が残る味ではないか。
甘いだけのカステラでは人の舌を満足させることはできない。
かといって、塩味を加えるだけがその全てではない。
自分が感じる「蜜の甘さの幅、深み」とはいかなるところ
からくるものなのか。
人生ジャムは作り置きが効かない。
新しい果肉を目を皿のようにして火にかけなければ
おいしいトーストを味わうことはできない。
秒速で、分速で。あそこで、ここで。
ことばが、音が、そこへたどり着くその前に。
蜜として蜜本来の味を含むそのわずかな合間に。
「蜜の味」は自分でも鍵をかける引き出しの名前である。
さあ、少しずつ、走り書きした紙を集めて、
形にしておこう。
Senri Oe Brooklyn
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