ぴの心に人がどう映っているのか?
いつもそれが興味深い。
ブルックリンでも彼女がよしとする人たちは、僕のそれとはちょっと違っている。晴れ渡った空は披露宴日和で残暑どころか秋の涼しげな気配があちこちを漂っていて、週末のポートランドの街は静かに目覚めようとしている最中だった。
「ねえ、ダディ。あの人いい人だよ。ご挨拶しようよ」
グイグイリーシュを引っ張っていく先には白人の若者が朝からぐうぐう路上で寝ていた。外で眠るには薄すぎるジャケットを何枚かぐるぐる巻きにして、ラジオからマーロン5をかけている。ぴは彼のテリトリーへ境界線を飛び越えて鼻っ面をペロリとやってしまった。
「なんだよお前は。ホットドッグ犬か! かわいいな」
「あたち、ピースって言うんです」
おそらくそんな会話が始まったらしい。やれやれ。
ポートランドには白人の若いホームレスが多い。穏やかな町並みの中で、グランジファッシ