勉強を頑張っている人に「頑張れ!」と言ってはいけない。
今にも自殺してしまいそうな人に「死ぬな!」と言ってはいけない。
昔から様々な場所、様々な形でよく言われてきたことだ。
その人のためを思って、良かれと思って言った言葉が無意味になってしまうどころか、
凶器となって「最後の一撃」を与えてしまう可能性すらある。
そこには誰の悪意も存在しないのに、なぜか悲劇が起きてしまう。
そういうことって、本当によくある。
逆上がりができるようになりたいと奮起して練習を始めた人がいる。
ところが1週間練習しても、2週間練習しても、まだできない。
先にできた人のアドバイスを聞いてやってみても、どうしてもうまくいかない。
1か月かかって、やっとできた。
「ああ! これ上がる瞬間に足を出すんじゃなくて腕を引くのがコツなんだね!」
それを聞いた、先にアドバイスしていた友人が言う。
「いや、俺最初からそう言うてたやん。
大事なのは腕やって。タイミングを合わせろって。
ほんまお前はいつも人の話を聞いとらんな~」
断言しよう。
逆上がりを成功させたいと頑張っていた人は決して友人の話を聞いてなかったわけではない。
彼の聴覚は確かに友人の言葉を知覚していた。
自分のために何かアドバイスをしてくれているという好意的な認識もしていた。
それでも結果的に、友人のアドバイスは彼にとってほとんど意味をなさないものとなっていた。
できるようになった後でアドバイスの意味がようやくわかってくる。
でもそれじゃあアドバイスの意味があまりない。
それどころか「あいつは話を聞かないヤツだ」とせっかくの人間関係にヒビが入ってしまう。
そういうことって、本当によくある。
スプラトゥーンプレイヤーとしての再起をかけて、
私が昨年12月の4on4敗北直後、年初から取り組んでいるプロジェクトがある。
そこで感じていることが、言葉の大切さだ。
人にはそれぞれ「刺さる言葉」と「刺さらない言葉」がある。
これは人生の局面(年齢や環境など)によって自分の中でも移り変わってきたような感覚もあるが、
最近の私が感じるのは――
言葉をかける相手の思考傾向や行動癖などをよ~く知り、
その人が考えそうな脳内の文章、その人が言いそうな言葉をそのままぶつける。
賞賛するならばその文章や言葉をそのまま褒め、
反論するならばその文章や言葉をベースにして相違を提示する。
――これが大事なのではないかということだ。
私自身、この1か月の中でできるようになってきたことについて、
そういえば同じこと・似たようなことを以前あの人からもこの人からも言われたなと
今になって思い返すということが3回くらいあった。
でも、当時その言葉を聞いた時には
その真意を汲み取って、自分の行動を改善させるには至らなかった。
目の前の人に何度アドバイスしてもできるようにならないのは、
その人がバカだからではない。真剣さが足りないからでもない。
あなたがその人に寄り添いきれていないからだ。
自分の成功体験を押し付けることや、勝手な想像で通り一遍の言葉を投げかけることは、
かえって逆効果になりうる。
何とかしたいと思う目の前の人を動かす魔法、それは
その人の一人称視点で考えて、一人称の言葉を語ること。
世の教育者・アドバイザーたちは
この部分について考える機会をもっと持ってもよいのではないか。
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コメント
コメントを書くなんかすごく考えさせられた。若くないからこそそういうことをわざわざ教えてくれる人はいないから、セピアさんの文を読んで気を付けないとなって改めて思いました。