週刊文春デジタル
すっかり夜の帳が降りた三重県四日市市の住宅街。その一角に佇むカフェに一組の男女の姿があった。黒いジャケット姿の女性とツーブロックに刈り上げた男性は合流すると、しばらくの間、食事を楽しむのだった。
三十分後、男性が店を出て行く。向かった先は妻子が待つ自宅ではない。カフェと隣接するマンションへと歩を進めると慣れた様子でエレベーターに乗り、そのうちの一室へと姿を消した。そして女性も――。
彼女の前任者が“切腹”して六十五日後のことだ。