週刊文春デジタル
春日太一の木曜邦画劇場 第614回「深作イズムと菅原文太の暴力性。これは『仁義なき戦い』以上だ!」『人斬り与太 狂犬三兄弟』
二〇二四年十一月で菅原文太は没後十年を迎えた。
菅原といえば深作欣二監督とのコンビで名を馳せ、特に「仁義なき戦い」シリーズはその象徴として扱われる。ただ、このコンビならではの菅原のギラギラした野性味が炸裂するのは一作目前半の一時間弱でしかない。その後は、やくざ社会の勢力争いや親分の理不尽にひたすら振り回される、困惑と忍耐の芝居が続く。
両者が存分に暴れたのは、『仁義なき戦い』の直前に撮られた二作品だ。一つは『現代やくざ 人斬り与太』、もう一つが今回取り上げる『人斬り与太 狂犬三兄弟』。題名だけだとシリーズに思えるかもしれないが連続性はない。
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