初めまして!ニコニコサポーターズSmileSの真野 翔(♪ミュツタカ♪)と申します。普段は歌ってみたの投稿や、ピアノ弾き語りで生放送をしている傍ら、時々コスプレイベントでコスプレをしたり、カメラマンとして撮影をさせていただいております。今回は「池袋ハロウィンコスプレフェス2023」にコスプレで参加し、SmileSコスプレ部の初の対外活動として、事前にインタビュー取材・撮影をお願いしてご快諾くださったコスプレイヤーさん・クリエイターさんへ、取材・撮影をさせていただきました。
コスプレ部には、コスプレをするのが好きな人、コスプレイヤーさんを撮影するのが好きな人、女装が好きな人、装飾が好きな人など、いろんなメンバーが集まっています。今回の池ハロ2023では「ニコニコ×コスプレ」をテーマに、ニコニコでコスプレイヤーとして活躍しているユーザーさんをご紹介・PRしたく、取材・撮影させていただきました。
今回の #4 では、池ハロ2023の企画「コスプレドック」のコーナーで、衣装や装備の修理を担当されていた山葵さんにインタビューをさせていただきました。池ハロに参加してくださるコスプレイヤーさんのことを一番に考え、壊れてしまった物を最大限の努力で修理に臨む姿勢が伺えた他、普段の造形活動について、熱く語っていただきました。実際のメディカルレポートもご紹介させていただきます!ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです。
──コスプレドックとはどんなコーナーですか?
山葵:
コスプレドックは最初の池ハロからずっと続いているブースで、一般のコスプレイヤーさんの衣装の破損、パーツが取れた、ボタンが取れた、ほつれてしまった、といったトラブルに対し、要求処置をするコーナーです。安全ピンを持ってる方は多いのですが、もう少しちゃんと直したいという要望に応える修理コーナーです。
──先ほどボンドガンを使って、壊れてしまった靴を直されてましたね。
山葵:
靴が壊れてしまうケースは多いです。どうしても皆さん安い靴を買ってしまう方が多く、また、厚底靴はあまりいい靴がなく、いいメーカーのものですと2~3万円と高いので、キャラごとに衣装とかブーツを用意するとなると、どうしても安いものを購入してしまうことが多いと思います。結果、耐久性が低いので、壊れやすく、劣化しやすいものが多いです。また、パーツが取れやすいことが多いです。靴に限った話ではありませんが、夏の時期は暑いので特に物が壊れやすいです。原因として、靴を履いているコスプレイヤーさんの熱気で内部が蒸れてしまい、結果剥がれてしまう、といったことが考えられます。なので、剥がれてしまった靴はボンドで貼り直して修理します。
──本日の応急処置でこれは難しかった、修理不可能だと思ったものはありましたか?
山葵:
紙粘土で物を作ってくる人がいらっしゃるのですが、紙粘土は表面が乾燥していても内部が乾燥していない、または硬化していないというケースが結構あります。前日に制作して、当日の朝になって乾燥していたからもう大丈夫と思って持ってくるが、実は内部は乾燥しておらず、ボロボロと取れてしまうことが多いです。ポキッと折れてしまった場合の方が直しやすいのですが、紙粘土の中が乾いていないものを直すのは難しく、表面を整えるといった応急処置しかできないことが多いので「優しく持ってください」とお願いするしか手立てがないです。直せる限度はあるので、残念ながらこれは直せません、とお断りを入れさせていただくこともあります。
若いユーザーさんが多いので、未熟な技術と言いますか「僕の考えた最強の作り方」で作ってきてくださるのですが、最強でもなかった…というケースもあります。経験を重ねて、トライアンドエラーしながら学んでいってもらえるといいと思います。材料に対して相性のいいボンド、相性のいい仕上げ方・塗り方、合皮の貼り方などがあるので、どのように仕上げるかで仕上がりが変わってくると思います。特にボンドと素材の組み合わせは重要です。
──ホームページを拝見させていただいたのですが、ものづくりのお仕事をされているのでしょうか。
山葵:
コスプレの造形から始めて、そのまま特殊造形という仕事をやってます。具体的には、舞台や映画の小道具や、ライダー系の衣装等の制作などをしています。映画館に置いてある等身大のキャラクターや、ゆるキャラの着ぐるみ、戦隊モノのヒーローのスーツ、映画の大道具・小道具など、「特殊造形」は幅広いです。
──「#コンパス【戦闘摂理解析システム】」の「ジャスティス ハンコック」公式コスプレイヤーのゴリアテさんの造形がホームページに紹介されていたと思うのですが、こちらの造形は山葵さんが制作されたのでしょうか。
山葵:
はい、ゴリアテさんの造形は私が制作しました。初期の頃はニコニコ超会議の前日にリハーサルを拝見して、取れてしまったパーツがあれば修理をしていました。制作期間としては2ヶ月ほどかかりました。ハンマーは一緒に作ったので、今思うといい思い出です。
──造形の面白さというものはどんなところにありますか?
山葵:
「妄想が立体(形)になる」というところです。子供の頃からものづくりが好きだったので、パソコンのCADなどの3Dソフトを使っての制作をしていたことがありました。ちょうど3Dソフトで制作し始めた時が映画やアニメなどでも活用され始めた時期でした。パソコンの中であればなんでも出来るし、なんでも作れるのですが、パソコンの中で作ったものは実際には出て来ないので、それはつまらないと思ったときに、ものつくりに戻ってきたという流れです。時を経て運良く今のお仕事になっています。
──池ハロへの参加が今回で10回目と伺ったので、エピソードや思い出などあると思いますが、今回一つのコーナーをプロデュースしてみていかがですか?
山葵:
若い方が圧倒的に多いなと思います。中学生くらいの子から、大人の方まで、ものづくりにおける初心者の方から多くヘルプをいただくので、有識者として直接応えることができるのは素直に嬉しいです。
若い方が徹夜で知恵を絞って作ってきたのに、更衣室で早々に壊れてしまった、といった時に、半泣きになりながらもコスプレドックのコーナーに来てくれるので、それに対して全力で対処してあげると、満面の笑みで「ありがとうございます!」と言って帰っていくので、やってあげてよかったと思えます。池ハロを楽しみにしながら会場まで来てくれたのに、物が壊れてしまうことで凹んでしまうかと思いますが、直してあげることで凹んだ思い出で終わることなく、楽しい思い出にしてあげることができると思うので、そういった点がこのコーナーの存在意義だと思っています。
ステージ出演者が待機中、ステージまであと5分というタイミングで、象徴的な武器が壊れてしまったのでヘルプがかかり、応急処置をした上でステージに出てパフォーマンスに臨んだ、といったこともありました。なので、人を再び笑顔にしてあげられるという点に面白さがあります。ちなみにその時は、応急処置なので今日一日だけしか使えないことと、恒久的な処置として、必要な材料、補修の方法などをアドバイスとしてその出演者に伝えておきました。
最近は作り方や、必要な材料などをインターネットで検索すればすぐに見つかりますが、それでは知識はなかなか身につかないと思います。一方こちらのコーナーでは実演しながら伝えられるので、伝えられる知識量が全然違うと思います。ぜひ「コスプレドック」を有効活用していただけると嬉しいです。
コスプレドックのコーナーでウィッグを補修する山葵さん
撮影:真野 翔
取材中にコスプレドックへ補修のお願いがあったコスプレイヤーさんにご了承いただき、実際に補修する様子を撮影させていただきました。今回の補修のお願いの内容は、ご自身で制作された装備品の繋ぎ目が外れてしまったため、ボンドの圧着をしてほしい、というものです。赤丸をつけたグレーのパーツの両端が元々接着されていましたが、こちらが取れてしまったとのことでした。
コスプレドックへ補修の依頼があった、部分的に外れてしまった装備品
撮影:真野 翔
今回の補修はコスプレドックのコーナー初参加のみおしさんが対応してくださりました。素材に適したボンドを選んで塗り、圧着して補修していました。
外れてしまった部分の圧着のために圧着部の上部分にボンドを塗るみおしさん
撮影:真野 翔
外れてしまった部分の圧着のために圧着部の下部分にボンドを塗るみおしさん
ボンドを塗って、接着部分を数分間圧着させることで、無事装備品の接着が元通りに直りました。
外れてしまったパーツの上下部分を圧着するみおしさん
撮影:真野 翔
外れてしまったパーツが無事圧着され、補修が完了
撮影:真野 翔
実際に補修の依頼があったコスプレイヤーさんとお話しながら、10分程度で圧着の補修が完了しました。どんな修理の依頼が来るかわからないので、素材に合わせて適切なボンドを選べるように、今回のコスプレドックのコーナーには複数種類のボンドを持ち込んでいるとのことでした。
今回補修を担当してくださったみおしさんとまめまよさんにも、インタビューをさせていただいていますので、後日、ブロマガ発行予定です。こちらもぜひチェックしていただけると嬉しいです。
いかがでしたか。コスプレイヤーの制作の影の実力者と言っても過言ではない、制作の裏側を知ることができ、インタビューをさせていただいた私自身が非常に良い勉強をさせていただきました。
普段自作にあまりチャレンジしないコスプレイヤーさんにおいても、衣装や装飾品が外れてしまう、壊れてしまったから直さなければならないという事態に直面することはどうしても発生します。一方で直し方や作り方がわからないとどうしようもないため、ちょっと相談してみたい、といったレベルでもいいと思いますし、ガッツリ知識を得たい!という方も、ぜひ「コスプレドック」へ寄ってみて、お話を聞いてみてはいかがでしょうか。きっとコスプレドックのメンバーのみなさんが力になってくださると思います!(ちなみに私は今回の池ハロで衣装のボタンを1つ落として無くしてしまい、後日数年ぶりにボタン付けにチャレンジしました…!)
今回有意義なお話を聞かせてくださった山葵さんのフォローもよろしくお願いします。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!Cosplayer Interviewの記事はまだまだ続きます。ぜひ次回号もお楽しみに!
2024年3月9日(土) 発行
インタビュアー:毬栗楓、麻婆豆腐、真野 翔(♪ミュツタカ♪)
執筆:麻婆豆腐、真野 翔(♪ミュツタカ♪)
撮影:真野 翔
エディター:真野 翔(♪ミュツタカ♪)
発行:ニコニコサポーターズSmileSコスプレ部