なんと、息子が日本語で先生にショート・メールで「バカ野郎」と送り付けたため、先生がカンカンに怒っているとのことでした。息子は間違って送ったと言っていたのですが、先生はある理由を挙げて「わざと送った」と言っているらしいのです。
「子供が自ら説明し謝るべきだ」と一瞬考えたのですが、反日デモの雰囲気を考えるとすぐ先生に電話することにしました。
「たけお君が私の携帯にメールを送った。気付かないでいると、彼はわざと私に電話をかけてきた。電話に出られなかったが、着信を見て彼だと気づき、その時、彼は私の顔を見て笑った。後で日本人生徒に聞いて人をバカにする言葉だと知った。」
「たけお君は間違って送ったと言うが、その後わざと電話をかけて見るように催促した。それで挑発と悪意を感じた。」
大人の先生がわざと事実関係を偽ることはないと確信があるので、私はこう言いました。
「この流れを聞けば、確かに息子がわざと送ったと考えざるを得ません。まず親として謝罪します。我々が子供に先生を尊敬するように教えていることを信じてください。息子が酷い悪戯をしたことは過去にもありました。ちゃんと叱って結果を報告します。」
以上の言葉を聞いた先生はすぐ声が柔らかくなりました。「でもお父さん、たけお君を叱っていいですが、殴ってはいけませんよ。」
これで私は落ち着いて息子に経緯を聞きました。しかし、息子はとにかく一生懸命「僕はごめんなさいと言ったよ」と繰り返しました。
「たけお、謝らなくていいから、落ち着いて今日のことを最初から教えて」と言うと、息子が以下のように言いました。
「今日、携帯を変えたの。使い方がよく分からなかった。山田君と喧嘩したからショート・メールで「バカ野郎」と送ろうとしたら、間違って山田君の上にある電話番号を押した。それが先生の番号かもと心配して電話してみたが、先生は電話に気付かなかった。その後先生が電話の着信を確認して僕の顔をみた。僕は怖かったから何も言わないで少し笑った。」
「じゃ、先生に間違ったメールを送ったと分かったね?」
「うん。」
「なぜすぐ『間違えました』と言わないの?」
「僕は怖くて言えなかった。」
・・・
これでやっと事情が分かりました。ポイントは息子が先生と視線を合わせた時、ミスと言えず逃げたことにあります。息子は怖くて黙ったのですが、先生には「早く見ろよ」という挑発に見えたのです。
「たけお、君はミスを確かめるつもりだが、先生はメールを気付かせる催促だと思った。すぐ言わないとどんどん誤解されるよ。」
私の指導の下で息子がメールの経緯、自分がなぜ電話してなぜ黙って笑ったかの説明文を作って先生にメールしました。その20分後、息子が先生に電話してもう少し説明しようとしましたが、先生は明るい声で「よく分かったよ。もう誤解していないから」と。
息子は大変な思いをしましたが、面と向かって言いにくいことが言えないことへの代償を知りました。
我が家の隣の日本大使館にいる丹羽さん、都の尖閣購入について「日中関係の危機になる」と言ったため解任が決まりました。そろそろ帰路に着く彼の気持ちを想像すると泣きたくなりますが、唯一の慰めは彼の勇気が本物だと証明されたことです。
誤解のリスクは常にありますが、早く言う勇気が誤解を解くカギです。
昨日、反日デモがなくなりスクールバスが一週間ぶりに玄関に来てくれました。
その先生がバスに乗ってきて子供達を笑顔で迎え入れてくれました。