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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第10回-
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ダンジョンズ&ドラゴンズ 『ネヴァーウィンターの失われし王冠』リプレイ -第10回-

2014-03-05 14:42

    戦禍の気配
     北方の至宝と称えられた頃、この街には三つの橋があった。
     "眠れるドラゴン橋"、"翼を持ったワイヴァーン橋"、"イルカ橋"がそれである。
     それぞれに名前通りの姿をした橋であったが、今なお残るのはただ一つ"翼を持ったワイヴァーン橋"のみ。そして今、翼竜の橋こそはネヴァーウィンターの分断の象徴であり、ゆえに戦いの場となっていたのである。
     現政権であるネヴァレンバー卿と雌雄を決しなければならない、その点においてレジスタンスの長、アーロン・ブレイドシェイパーとネヴァーウィンター仮面の意見は一致していた。しかし、ネヴァーウィンター仮面の行動は早かった。いや、拙速に過ぎたとさえ言える。彼は自身の血統を武器に民衆を扇動し血戦に向かった。
    「それは、早すぎるのだ」とアーロンは言った。「このままでは無辜の民が傷つくだけだ」と。
     あなたたちは地上に急いだ。ネヴァーウィンター仮面、そして民衆の暴走を止めるために。

    サブマス/ジェイド:ええと、前回から引き続きこの場にいるのはジェイド、エイロヌイ、今回参加組はエリオンとミシュナ。へプタはまだ到着しておらずセイヴはお休みですね。
    DM:まずは街の雰囲気から。緊張したようすで、レジスタンスが暴徒を率いて橋に向かっています。そちらからはシュプレヒコールが聞こえ、それ以外の人々は扉を閉めて閉じこもっています。
    ミシュナ:ミシュナは下水に流されたときにはぐれて、偶然ヘプタの家の近所に流れ着いて助けられた。「ちょっとあんた、何があったの! ひどいかっこうね!」と隣のアシュマダイ(九層地獄の支配者アスモデウスを信仰するカルト教団)のおばちゃんが……。
    サブマス/ジェイド:いやいやいや。
    DM:でも、表向きは一般市民ですし>アシュマダイ。つまり下町人情に溢れるカルト教団。
    エイロヌイ/おばちゃん:「だめだよゥ、若い子がそんな体冷やす格好しちゃァ!」と毛糸のパンツとか貸してくれる。
    DM:そしてさらに言うワケです。「ああ、男連中はみんなあの仮面のうさんくさいヤツについて橋にいっちまった……」と。
    ミシュナ:ならばと、橋に赴いたところでみんなと合流するのはいかがでしょう。
    サブマス/ジェイド:「どうしたんだ、こんなときにどてらなんか着て」(笑)
    DM:女子力がダダ下がりだ(笑)情報屋のジャーヴィたちもあなたたちを捜し出してやってきます。「ジェイドさん達は下水にいたけど、たぶんこのあたりに流されてでてくるんだよ!」と。耳が早い。で、そこには実はジェイドを心配している街の人達がいるんですね。例えば、城門で「あたしゃ、あっちの味方に決めたよ!」と言ってくれたおばちゃんや、ジェイドに腐ったトマトを投げつけ、角材で膝を強打した少年とか。
    サブマス/ジェイド:危うくNPCになるところでしたよ。「昔は冒険者だったんだが、膝に角材を受けてしまってな……」

     下水道をぬけ、川に面した排水口から地上に戻ったあなたたちを待っていたのは、この街で知り合った、名も知らぬ市場の人達だった。
    「ジャーヴィから聞いたよ、あんた達ひどい目にあったんだって? 大丈夫だったかい」
    「まずはこのミートパイを食べて、腹ごしらえしてくれ!」

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     ジャーヴィ達が差し入れてくれた温かな食事と心遣いに、あなたは胸の奥にほっと暖かなものが宿るのを感じる。
     そうだ、あなたを詰った者もいた。貶した者もいた。
     しかし、あなたと言葉を交わした者達は、ネヴァーウィンターの民はあなたを待ってくれていた。そして、仲間も。

    エリオン:「みんな、遅いぞ」とエリオンは橋の欄干に立って見下ろしてます。裏切り者のアデミオスをフェイワイルドにある本拠地、ニュー・シャランダーに預けてきて戻ったところ。
    DM:と、そこにヘプタ達の家の隣に住んでいたゼンタリム(有名な犯罪結社)の連中がやってきます。「おい、アイツはヘプタはどうなったんだよ!」
    エリオン:みんな目を背けています(笑)
    サブマス/ジェイド:まぁ、まだプレイヤーの堀内さんが到着してないからなんだけど(笑)
    エリオン:そういえば、前回ゼンタリムの人が下駄の鼻緒切ってたり、いろいろ死亡フラグ立ててたなー。
    DM:「頼むよ! 生きてるって言ってくれ!」

     全員沈黙。

    エリオン:「もしや死鼠団にやられたのか!」
    サブマス/ジェイド:考えて見ればセイヴだって来ていないしな……(本日体調不良により欠席だそうです)。
    エイロヌイ:では、ゼンタリムの人に「人には寿命というものがあります、運命というものもあります。ヘプタにもいずれその日がくるでしょう、しかしそれがいつかは誰にわからないのです。……きっと生きてますよ」(誠実そうに)
    エリオン:「コアロンの御心のままに」(やはり誠実そうに)
    ヘプタ:「あのーすいません、皆さんのなんの話してるんですか」(爆笑)

     ここで、堀内さんが到着。本日のメンバーが全員揃うのであった。

    DM/ゼンタリム:「へプタのバカヤロウ、こんなことになっちまって」
    サブ/アシュマダイ:「アイツはそそっかしいヤツだったからなぁ」
    ヘプタ:「生きてますよ~」
    DM/ゼンタリム:「俺の胸の中でもまだやつの声が聞こえるんだ」
    ヘプタ:「生きてますってば!」
    DM/ゼンタリム:「心配かけやがって」、「大変なことになってンだ」
    ヘプタ:「いやーみんなにこんなに心配し貰えるとは」(照)

    「逃げようぜ。ヘプタ。もうこんな街いられねえよ。戦いに巻き込まれるのがオチだ」
    「俺たちだけでも助かろうぜ」
     荒くれ、ごろつきどもがチンピラ――ヘプタに語りかける。だが、彼はこう答えた。「助かりたいッすね。でも、」

    ヘプタ:「でも見届けなきゃイケないんじゃないかって気がするンすよ。ネヴァーウィンターの運命がここで決まるような……」
    DM/ゼンタリム:「お前、そんなにこの街のことを」
    ヘプタ:「生まれ育った街ッすからね」
    DM/ゼンタリム:「泣かせること言うじゃねえか」
    ヘプタ:「……協力してくれるっすか?」
    DM/ゼンタリム:「お前の家の留守は、俺たちが守ってやるよ!」「安心していってきな!」
    ヘプタ:……ま、まあ、そうッすね。
    DM:そしてさらに、ジェイドの元にあの膝を角材で強打した少年がやってきます。「 ゴメンよ、兄ちゃん」と。
    サブマス/ジェイド:お?

    「俺の兄ちゃんと父ちゃんを助けてくれよ。ネヴァーウィンター仮面と一緒に行っちゃったんだよ、武器も持たないで」少年はしゃくり上げながら、語った。あの肉屋の女将と同じだった。苦しい生活に不満を抱いていたブラックレイク地区の男達は不満を希望へとかえられてネヴァーウィンター仮面へとついて行ってしまったのだ。
    「君と、父さん達の名前を聞かせてくれ」あなたは問うた。
    「ジャン、俺の名前はジャン。父ちゃんはクロードで、兄ちゃんはヴァンタム」

    DM:その名前だと負けそうにないんだけど。
    全員:『だねえ』
    DM:それはさておき、ジャンは続ける。「冒険者の人はお金渡せば、仕事受けてくれるって聞いたんだ。これで父ちゃんを助けてくれよ!」と豚の貯金箱が差し出されます。「あの時、膝を殴っちゃってゴメンよ。兄ちゃんは俺たちのブラックレイクを守ってくれてたのに」
    サブマス/ジェイド:中身は?
    エリオン:振ってみよう。
    DM:銅貨が20枚くらいですかねえ。

     あなたはその銅貨の中から、一枚を取り出す。そしてタイモーラへの祈りと共に宙へ弾く。銅貨はくるくると回って、ネヴァー川へと落ちた。
    「吉凶織りなすは神の御業」十分だった。「ジャン、お前の金は幸運の神への献金に使わせて貰った。今はこれで十分さ。待っていてくれ」そういってあなたは立ち上がる。
     望む先は戦端となる大橋。
     背中には人々の応援の声。
     街の英雄と袂は分かった。それは事実だ。思いを裏切ったことも事実だ。
     だが港でドラゴンと戦い、ネヴァーデスの墓地で死人どもを封じたのもまた事実なのだ。
     その事実を覚えてくれている人がいる。
     それで十分なのだ。


    決戦、ワイヴァーン橋

     橋の向こうでは既に小競り合いが始まっていた。
     海賊じみた装備のミンターン傭兵団に対して、服だけは揃いの紋章を付けた"アラゴンダーの息子たち"。
     その中央には、ネヴァーウィンター仮面とセイバイン将軍。周囲には悲鳴が巻き起こり、蒼い炎に燃え上がった犠牲者が橋の下へと飛び込んでいる。

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     その蒼い炎は呪文荒廃の炎。あの時助けたセイバイン将軍麾下の兵士達がまとう炎である。
     彼らは呪文荒廃の力にさらされながらも生き延び、荒廃クリーチャーとなったのである。
     感情の高ぶりに伴って燃え盛る炎は、彼ら自身をも焼き焦がしていた。
     "アラゴンダーの息子たち"はまさかこのような者達がいるとは知らず、皆浮き足立っている。
     落ち着いているのは先頭に立つネヴァーウィンター仮面のみだった。

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    DM/アーロン:「頼む、ネヴァーウィンター仮面を止めてくれ! とはいえ、セイバイン将軍も様子がおかしいが!?」
    ヘプタ:「どうやって戦うか、方策はあるんですか?」
    サブマス/ジェイド:真ん中に分け入って、双方を押しとどめる、かなあ?
    DM:なにができるか、優勢なのはどちらか、などは行ってみないとわからないです。つまり、まずはその場までたどり着けるかどうかですね。
    ヘプタ:ならまず、ジェイドをそこまで連れて行くッす。
    DM/アーロン:「だが、そう簡単には近づかせてくれないようだぞ」と言うことでモンスターが登場します。橋の中央にたどり着いたら、次回[遭遇毎]パワーは回復しますから、そのつもりで戦ってください!

     橋のたもとにあった小屋、その窓からそいつは飛び出してきた。
     呪文荒廃の力を受けて肥大、大型化した野犬のようだった。大きさは子馬ほど、かろうじて犬と伺えたのはその牙と鼻面によってのみ。ねじくれた四肢、身にまとう炎。
     それはまさしく化け物であった。2頭。
     ミシュナが叫ぶ、「おそらくは"荒廃"の犬! 火に気をつけて! 」

     火蓋を切ったのはミシュナである。両翼から迫る"荒廃の犬"、自分に近い方の犬を選んで放つ呪文は"エンパワーリング・ライトニング/霊力付与の雷光"。ぶち当てればたじろぎ後ずさらずにはいられぬ重い打撃。しかし、荒廃の犬は軽やかに避ける。反射神経も強化されているのだ。
     ならば、とエイロヌイが同じ犬に挑戦(ディヴァイン・チャレンジ)を叩きつけ、 "ダズリング・フレア/目眩む閃光"でその目を灼いた。
     しかし荒廃の犬は視力に頼ることなく、匂いと気配とでミシュナに噛みつく。[火]ダメージ5点。しかし、

    ミシュナ:使い魔のブック・インプの能力で[火]への抵抗5がありますから、全部消えます!
    サブマス/ジェイド:なるほど、呪文書が燃えないようにか! 実はミシュナは荒廃クリーチャーに対して強いかも。
    エイロヌイ:それはそれとして、「私を無視してミシュナを殴ったのね!」8点ダメージ。
    DM:受けました。もう一方はヘプタに突撃です。ヒットして7点。
    ヘプタ:うわおわおあ。
    エリオン:今は攻撃を集中させる。「聞け、我が魔剣の鎮魂歌(ブレードソング)!」AC19……いや21!
    DM:ブレードソングであたった!
    エリオン:AC21、堅いな! ダメージは12+4点、剣術呪文"アンシーン・ハンド/無形妖手"で犬を引きずってミシュナから引き剥がします。
    ヘプタ:目の前の犬から間合い切って、ミシュナを襲った犬に"アライド・アキュラシィ/友よ正確たれ"、クロスボウを撃つッす。外れたけれど、「俺の矢はフェイントッす!」ジェイドは次にこの犬に対する命中判定、再ロールできるっす。
    サブマス/ジェイド:感謝! ディフェンダー・オーラ起動、構えは"ポイズド・アソールト/堅実な攻撃"で準備してたので、このまま突撃してヒット。パワーストライク入れて11点ダメージ。アクション・ポイント使用して"グラウアリング・スレット/威圧的な眼光"。ジェイド以外を攻撃するなら命中判定-5!
    DM:両方とも効果範囲に入ったか! しかし、第二ラウンドになると更に状況が悪化します。
    全員:なんだってー!?

     周囲から冒険者たちに向かってきたのは、体から蒼い炎を発し、よろめき歩く人間のなれの果て(雑魚)である。
     港の時と同じように下水の中から現れた者も、橋の上の戦いからこちらに矛先を変えた者達もいた。その数は8体。橋の上から、そこへ向かう冒険者たちの左右から取り囲んだ。
     第二ラウンド、ミシュナは焦らず進み出て左翼の二人を"ビガイリング・ストランズ/惑わしの網"で狙う。一人が精神を幻惑の網で囚われてその場に倒れる。

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     エイロヌイは樹皮の姿を取って(ハマドライアド・アスペクツ)ダメージ減少を得てから、重傷に陥った荒廃の犬に"ライチャス・スマイト/正義の一撃"。クリーンヒットさせて犬を屠る。それを目にした仲間達の意気は盛ん。一時的hp8点を獲得する。
     生き残りの犬がジェイドに噛みつくが一時的hpが削れたのみ、続くエリオンは右翼の雑魚を"バーニング・ハンズ/火炎双手"で攻撃。
     しかし数でまさる雑魚は冒険者の攻めを抜けて、エリオン、タラン、ミシュナに突撃を敢行、エリオンとミシュナにヒットする。しかし……。

    DM:あ、この雑魚のダメージは[火]4点!?
    ミシュナ:全部[火]への抵抗で止まります!

     ヘプタは攻撃こそ外したものの、ジェイドに"ナック・フォー・サクセス/成功の秘訣"を授け、命中にボーナスを与える。順調に男同士で支援フラグを築きつつあるのをなんとかしたいところだが、この+2が効いてジェイドは荒廃の犬に初ダメージ15点を叩き込む。
     この流れなら、楽勝。
     そう思ったときだった。


    暗黒ネヴァー会議
     そこは何処とも知れぬ暗黒の空間。
     闇の中、魔法が映し出す戦いの光景を3人の人影と1つの異形が眺めていた。
    「始まったようですね」とは女予言者。

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    「コポ……コポ(まもなく呪文荒廃に街は晒される)」脳髄がテレパシーを全員に送る。

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     ドラウの伊達男は羽根飾りのついた帽子を脱いで、剃り上げた頭を撫で上げた。「だが、まだ邪魔者が生きているようだ」

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    「て、手は既にうってあります! 」答えたのは隻眼のネズミ男、ルソルクである。その声には憔悴の色が濃い。

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    「で、あるならば」一際冷たく、乾いた声がした。ミイラとも見まごうばかりのエラドリン、女性であった。「お前はそこで何をしているのだ?」

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     問いかけの形を取った命令である。「ゆけ、行って差し違えてこい」との。
     ルソルクの気配がただちに消える。ここにいても殺されるだけと悟ったのだ。
     ドラウの伊達男が笑いをかみ殺す。女予言者はやはり当然とした表情で橋の上の戦いを眺めている。そして女エラドリン、サーイの赤きウィザードはもう一人の配下に告げた。
    「お前もゆくのだ、さぞや恨みを晴らしたかろう」そして、影の中から何かが動いた。

    ミシュナ:目の前の雑魚にゼロ距離マジック・ミサイルです。機会攻撃は誘発しない!
    エイロヌイ:2回移動して橋を抑えに行きます。タランは犬に攻撃「へへへ、久しぶりの攻撃ッス、タランストライク!」、ヒットして9ダメ。
    DM:これまでのタランと違うね!
    エイロヌイ/タラン:「ニュー・ネオ・ノイエ・タランッス!」

     荒廃の犬はそのままジェイドに噛みつき、そこそこのダメージ。しかし、これこそが防衛役の勤め、意気ますます盛ん。
     そしてエリオン。
    「なるほど、そういう技か」とミシュナのゼロ距離マジック・ミサイルを模倣する。すなわち、手に持つ剣を投げ上げて、敵の目がそれを追う隙にマジック・ミサイルを撃つのである。さすがの魔法剣士はそのまま荒廃の犬を挟撃する。
     橋のこちらにいる雑魚は一人のみ。それを見て怒り狂うなれの果てが押し寄せるも、橋の中央に立つ聖騎士がそれを阻む。荒廃の犬にも順調に損害を与え、もはや戦闘の決着は時間の問題。
     そう感じたときだった。 


    増援、あるいは立ちはだかる因縁

     橋の上にネズミが二匹、ちょろちょろと走り出て、見る間に人型に変わった。片目のワーラット、ルソルクとその手下である。
     さらに、欄干から火膨れた死体が這い上がってくる。ずりずりと身をよじるたび、体から灰が舞い散った。
     その影から湧き出したのは、死人の如きやせ細った体に赤の衣装。

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    エイロヌイ:「あら、柔らかめのルソルクさんと、教え子に負けた先生じゃない」
    DM/ルソルク:「糞、なンで俺がこんなことに。水に流してやったはずなのになンで生きてやがるんだ!」
    ヘプタ:「俺たちの中は簡単に水には流せないッすよ!」
    DM:トリヴァストは完全にアンデッドになっています。

     元、教師はミシュナを見つけて言った。「久しぶりだね、ミシュナ君」と。
    「せ、せんせい、どうして?」
    「死はもう一度の誕生だと授業では教えたはずですよ? あなたも同じです、死ねばこの体を貰えます。ヴァリンドラ校長からね。レッド・ウィザードである君ならば、どちらにつくべきがわかっているはず。そうですね?」
    「なんで校長先生まで!」
    「あのお方がここに来ているんです。この戦いを見守ってくれているのです。そしてミシュナ、あなたには特に目をかけてくださっている」
     逃げ出したレッド・ウィザードは白くなるくらいに杖を握りしめ、そして恐怖に身を震わせている。
     トリヴァストは猫なで声で続けた。
    「誇り高きローブの色も、今はどうも中途半端な色になっていますね。また真っ赤な色に染めてあげましょう」

    ミシュナ:「イヤです! 私はもうあの赤いローブは着たくない!」
    DM/トリヴァスト:「なるほど、頑固な教え子を持つと先生は大変だ。ならばその精神をねじまげてでも連れてこよう」

     もう一度マジック・ミサイル。今度はエイロヌイの前にいる3人の雑魚に向かって。そしてミシュナはついに気持ちを固めた。

    ミシュナ:移動アクション、勇気を振り絞って一歩前に出ます!

     エイロヌイはしばし思案し、ディヴァイン・チャレンジをトリヴァストにかけるため、敢えて雑魚からの機会攻撃2回を受けて移動、そしてトリヴァストに突撃する。防衛役のACを雑魚は二人とも貫くことはできなかった。トリヴァストに初ダメージである。
     しかしこれで敵の頭は押えた。
     エイロヌイのいる場所が最前線となったのである。
     ルソルクが、雑魚が、灰を吹くゾンビがエイロヌイに群がる。しかし、エイロヌイはその攻撃は外し、そらし、耐え抜く!

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     エイロヌイが敵の増援を一手に引受ける間、橋のたもとではヘプタ、エリオン、ジェイドが荒廃の犬を攻めたて、仕留める。

    ヘプタ:(ミシュナに)「よくぞその一歩を踏み出したっす!」
    サブマス/ジェイド:犬をクリティカルで沈めたので、ミシュナにぐっと親指を立ててから橋の上に移動!

     トリヴァストは範囲攻撃、"グラスピング・フロム・ビロウ/地表把爪群"により無数の死者の手を呼びだし、迫り来るジェイドとヘプタの足を止めようとする。

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     が、エイロヌイの牽制が効果を発揮して、クリーンヒットは一人も出ず、代わりに制裁の[光輝]ダメージを受ける。そして、勇気をもらった少女が答えた。

    ミシュナ:ヘプタとジェイドに「ありがとう! 私は戦えるわ!」と強がって言います。
    ヘプタ&ジェイド:いいね!
    ミシュナ:そして、グラスピング・フロム・ビロウの範囲ギリギリまで行ってからマジック・ミサイル。エイロヌイを取り囲む雑魚を確実に一つ落します。
    エイロヌイ:ありがとう! 

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    DM:エイロヌイはターン開始時にトリヴァストのオーラ"ネクロティック・ヘイズ/死霊の煙霧"で[死霊]ダメージ5点です!
    エイロヌイ:一時hpが飛んだわね。トリヴァストと交戦維持。エンフィーブリング・ストライクで7点。マークとは別に更に命中判定-2。
    サブマス/ジェイド:トリヴァストには累計28ダメージ!
    DM:ルソルクがエイロヌイを討ちます、挟撃して"レンディング・バイト/引き裂く噛みつき"。命中したのでまず11点、さらに継続ダメージ5+減速と汚辱熱。
    サブマス/ジェイド:すると、エイロヌイは次のターン頭、オーラで5点、継続で5点の10ダメージか!

     エイロヌイに前線を任せていられる時間は短い。
     つきまとう雑魚をやはりマジック・ミサイルで仕留め、足下の死人の手を切り払いながらエリオンが橋へ急ぐ。
     ヘプタはジェイドの手をつかみ、ステップ・トゥギャザーで離脱。そして、アッシュ・ゾンビにクロスボウを放つ。妖精の光を帯びたボルトは乾坤一擲のタイミングでゾンビの眉間をつらぬき、[光輝]のエネルギーが脊髄を短絡し、四肢五体が爆裂四散した。詰まるところ、クリティカル・ヒットが出たら即座にhp0となるという特徴、"ゾンビ・ウィークネス/ゾンビの脆弱性"もちのアッシュ・ゾンビにクリティカルしたのである。

    エイロヌイ:さすがクレリックだ
    ヘプタ:4th長年遊んできましたが、自分でやったのは初めてです(笑)
    全員:『ですよねー』
    サブマス/ジェイド:では、その空いたスペースに飛び込んでトリヴァストに突撃、11点ダメージ。さっき構えを"ハンマー・ハンズ/鎚手撃"に変えていたので、1マス押しやります。
    DM:そのダメージで重傷に行きました!

     配下のワーラットがミシュナに突撃するが、"シールド/盾"で弾かれる。トリヴァストは自身に迫る聖騎士に骨のダガーと死霊の鞭での連撃を見舞うが、すべて弾かれる。ミシュナは心術でワーラット橋の外、川の流れに飛び込ませようとするが、ギリギリ欄干で阻まれる。
     サブマスが計算したとおりに自ターン頭に10点のダメージを受けたエイロヌイは、とっておきの"レイ・オン・ハンズ/癒しの手"を自分に使い戦線を持続。牽制の相手をルソルクに振り返る。ルソルクはそのエイロヌイと切り結ぶ。毒の滴るモーニングスターはしかし、神技めいたシールドワークにすべて弾かれる。
     そしてエリオン。

    エリオン:「あの師匠と決着を付けるときが来たようだ、お前ならやれる!」フェイステップでグラスピング・フロム・ビロウのエリアを瞬間移動、イリアンブルエン・ガーディアンのテーマ特徴も使ってミシュナも連れて行く。そして、ルソルクに突撃!
    「お前は、死鼠団の首領だな! イリアンブルーエンの先遣隊の死体を売り払ったこと、汚いネズミ風情が気高きサンエルフに手をかけたこと、これら許し難い罪はその血と苦しみと死をもって償うがよい!」ヒットして8点、そして返す剣先でダズリング・サンレイを雑魚に放ちます!
    DM:雑魚が全滅した!

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     残るはルソルク、その手下のワーラット、そしてトリヴァスト。
     ジェイドは死霊に生命力を奪われつつもトリヴァストに的確に攻撃をヒットさせ、盾で押しやり追い詰めて行く。エイロヌイの体がトリヴァストのオーラから逃れ出た。
     だがトリヴァストも黙ってはいない。鞭で打ち据え絡め取って、近づいたところをダガーでえぐる。"ネクロマンティック・フラリー/死霊術の連撃"を受けてジェイドは残りhp8点まで追い込まれる。


    決断、決着
     己の過去が目の前にあった。
     逃げて、逃げて、逃げて。
     大陸を東から西へ横切ってなお、逃げ切ることができなかった過去である。
     ただ忌まわしき過去であるならば切捨てられただろう、しかしたとえ偽りの上にあったのだとしても、サーイの生には安らぎも、誇りも、そして夢もあった。
     己の生がそこにはあったのだ。
     だが、

    ミシュナ:「先生、私は帰りません! この街の温かい人達に恩返しをしたいから!」
    全員:『おお!』
    ミシュナ:「けれども、先生には感謝もある。せめて!」というわけで"スリープ/睡眠"。意志16(DM:きいているんだな、これが)なら減速(セ/終)です!

     ほぼ状況は決した。
     ヘプタがミシュナの傷を癒しつつ、コアロンへの祈り高くクロスボウを打ちこみ、トリヴァストの体がぐらぐらと揺れる。死霊に身を千々に切裂かれつつもジェイドはトリヴァストに最後の一撃を食い込ませた。

    DM:「ヴァリンドラさま、もう一度、もう一度蘇る力を!」
    サブマス/ジェイド:一応、ミシュナのことがあるので峰打ちにしておきます。
    DM:では、ルソルクはここでネズミ形態になって橋のうらがわに逃げて行きます。手傷も再生で回復していますし、機会攻撃では死なないので脱出は止められません。
    エリオン:しぶとい敵役になったなぁ(笑)
    ヘプタ:次にあうときは逃がさないッす。
    DM:戦闘はこれで一旦終了、皆さんは橋の中央にたどり着きます!

     橋の上は既に前哨戦となっていた。
     対峙するのはセイバイン将軍とネヴァーウィンター仮面である。
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    「私は"ニュー・ネヴァーウィンター"として街の治安を託されたミンターン傭兵団団長セイバイン。この街の秩序を乱すものを私は倒す」
     蒼い炎まとう剣を握り、セイバイン将軍は立つ。
    「"ニュー・ネヴァーウィンター"だと、甘ったれるな!」
     蒼い炎と冷気をまとい、仮面の騎士が立ちはだかる。
    「お前達などネヴァーウィンターの民とは認めん。余こそはナシャー・アラゴンダーの正当なる血を引く者"ネヴァーウィンター仮面"。このネヴァーウィンターの王冠に誓って簒奪者どもを一人残らず消し去ってくれよう!」

     たどり着いた最前線、両陣営を前にしてあなたはどのように振舞うのか?



    このシーンのうらがわ
     今回の選択は次回の遭遇、そしてこれからの展開を大きく左右する選択となる。

    ネヴァーウィンター仮面とセイバイン将軍が戦っている!!
    1)戦いのゆくえを見守る……
    2)ネヴァーウィンター仮面を倒す!
    3)セイバイン将軍を倒す!
    4)両方を倒す!

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     セイバイン将軍は呪文荒廃の力を撒き散らしながら戦っており、力に飲み込まれる寸前だ。そして剣の腕はネヴァーウィンター仮面以上。
     ネヴァーウィンター仮面は呪文荒廃の力をコントロールできている。しかし、彼の狙いは守護卿区に攻め込み一気にネヴァレンバー卿をこの街から追い出すこと。それはすなわち内戦を意味する。
     混乱を治めるために、ジェイドはどうするのか?
     その回答は。

     戦いのゆくえを見守る……            17.8%
     ネヴァーウィンター仮面を倒す!    13.9    
     セイバイン将軍を倒す!            46%
     この場は両者ともに倒す!            63.5%



    DM:これは予想外だったなぁ。まさかそっちを選ぶとは。
    エイロヌイ:圧倒的だぞー(笑)
    サブマス/ジェイド:プレイするの俺たちだからってさー(笑)
    ヘプタ:(視聴者に)厳しいところ行きますね(笑)
    DM:……かなり、全滅の危険性があります。
    エリオン:ひょえー
    エイロヌイ:なんでこれまで優柔不断だったのにこんなときに限ってはっきり言うのよ!
    ヘプタ:ジェイドがそういうなら…
    エリオン:全滅もやむなし、とジェイドは言うのか。
    ミシュナ:なるほどね。

     どちらにつくのか。
     どうするのか。
     仲間の問いかけにあなたは答えない。
     ただ、大股に戦いのただ中に歩いて行く。
     阻む兵士を、遮る暴徒を、剣の柄で打ち倒し、盾で押しやり、あなたは道を開く。
    「ジェイドは、両方とも止めるつもりよ」ミシュナは杖を構え直し、戦士の後を追った。
    「ここはジェイド一人に任せて……ってわけにはいかないッすよね」べそをかきながらへプタも続く。
    「助けてあげましょう、一人では無理よ」
     背中が助けてくれと言っている、とはエイロヌイは明かさなかった。

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