テレビゲームというと、1~2人程度で遊ぶものがほとんどですよね。多人数で遊べるものもありますが、多くても5人以上で遊べるものはあまりありません。
しかし、最近では、その常識がだんだんと変わってきつつあります。「配信」を通じ、プレイしている姿を「実況」する文化ができつつあるのです。
ゲームの実況とは、一体どのようなものなのでしょうか。少し、詳しくお話しいたしましょう。
ゲーム実況とは
「ゲーム実況」とは前述の通り、ゲームをプレイしているところをインターネットを通じて配信することをいいます。配信に使われているサイトは多数ありますが、今のところ日本で最も盛んなのは「ニコニコ動画」にある「ニコニコ生放送」でしょう。
「ニコニコ生放送」は動画ではなく、カメラやパソコンの画面を生放送で配信することができます。ここでテレビゲームをプレイし、パソコンにつないだマイクで実況するのです。
この時、カメラに写した自分の姿を写す人もいますが、メインはゲームの画面です。
「プレイステーション」などのゲーム機も、接続するパーツがあればパソコンに出力できるようになっています。この画面を、配信に載せるのです。
視聴者(リスナーと言われることが多いです)はその配信を見ながら、思い思いにコメントを書くというのが、一般的な「ゲーム実況」の姿と言えましょう。
配信の面白みとは
ゲーム実況に関する疑問で多いものが、「配信で人がゲームをプレイしている姿を見て面白いのか?」というものです。これに関してわかりやすい返答に、「友達の家に行って、友達がゲームしている姿を見ている状態に近い」というものがあります。
友達がゲームでの出来事に、オーバーなリアクションを取ったり本気で悔しがったりする姿を見て、ゲラゲラ笑っていた。割りとこういった体験に心当たりのある方は、多いのではないでしょうか。
また、そんなに口が達者じゃなくても、ものすごくゲームがうまい友達のプレイを見て感心したなんてケースもあるかと思います。
ゲーム実況も同じで、しゃべりの面白い配信者や、腕の立つ配信者ほど注目されやすい傾向にあります。中には、どちらにも当てはまらないにもかかわらず人気のある、不思議な魅力のある方もいたりしますが。
人気のある人の場合、数百人というリスナーに見守られながらプレイしている人もいます。もともとは一人で遊ぶものであったテレビゲームが、インターネットによってこんなにも多数の人が関われるものに変わったのです。
また、自分が配信者になるのも、そんなに難しいことではありません。ちょっと知識があれば、自分がゲーム実況をする「配信者」になることができます。
もしかすると、あなたの知り合いにも、隠れ「配信者」がいるかもしれませんよ。
法的な問題
さて、こういった生放送においては、著作権がよく問題になります。映画やドラマ、アニメといった映像作品は完全に禁止されていますが、ゲーム実況ではどうなのでしょうか
結論から言えば、ゲーム画面の配信も違法行為に当たります。
しかし、ゲーム実況で訴えられたというケースは、ほぼありません。というのも、日本での著作権は「親告罪」であり、訴えを起こすかどうかは権利者の判断によるところが大きいからです。
ゲームは映像作品と違って、自分でプレイしないと意味のないものが大多数です。そのゲームの実況が盛り上がるほど販売促進となる面もあるため、多くのメーカーは実況の存在を知りつつも黙認している...というのが現状となっています。
実況文化が生まれたばかりの頃は、ストーリー重視のゲームなどは明確に「禁止」とするものもありました。また、「プレイステーション3」では接続方法によってはパソコンに画面が出力できないように、プロテクトが掛けられたりと、否定的な方向に進んでいた時期があるのは間違いありません。
しかし、「プレイステーション4」では配信をサポートする機能が搭載されたり(詳しくはこちら)と、だんだん許容する方向に進んできつつあります。「ゲーム実況」は、もはや半公式のような扱いというのが現状です。
「実況で見て面白そうだったのでゲームを買った」というのは、今や若い人の間ではそう珍しいことではありません。
世界に広がる実況文化
ゲーム実況が流行っているのは、日本だけではありません。海外では「Twitch」(ツイッチ)というゲーム実況サイトが人気となっており、通販サイトのアマゾンが9億7,000万ドル(約1,000億円)で買収しました。
アマゾンの買収額も相当ですが、Googleも買収を目指していたという辺り、いかに海外でもゲーム実況文化が流行しているかお分かりいただけるかと思います。
今やテレビゲームは、1人で黙々と遊ぶだけのものではなくなってきつつあります。ゲーム実況文化が、若い人たちの間で新しい楽しみ方を提供しているのです。
おそらくですが、これからもゲーム実況文化はますます盛んになっていくことでしょう。いずれ、実況あってこそのゲーム、なんてことになっているかもしれませんね。
(コンタケ)