若い世代のコミュニケーションツールとしてすっかり浸透したLINE。しかし一方では「LINEいじめ」や、ネットならではのトラブルに子どもたちが巻き込まれてしまうケースも増えているようです。
そうした背景を受けて、LINE株式会社では小中学生を対象とし、静岡大学と共同開発した教材をもとにワークショップ(体験型授業)を実施しています。
日本各地の小中学校を巡りながら開催されているというこの授業の様子を、東京都の葛飾区立清和小学校で取材させてもらいました。
子ども自身がコミュニケーションを考える授業
この日授業に参加した6年2組の児童のうち、LINEを使っている人数は15人。使っていないと答えたのは11人でした。ネットやゲームと接する時間については「つい夜更かしをしてしまう」「親とルールを決めて使っている」など家庭によってさまざまなようです。
ワークショップには、時にはカードなどの教材を使いながらのグループディスカッションや意見発表が多く取り入れられています。スライドや配布されたカードに描かれたおなじみのLINEキャラクターの親しみやすさもあってか、児童たちも積極的に参加していました。
授業内容は、文字でのコミュニケーションにおける注意点、気持ちを伝えるためのスタンプの効果的な使い方などを織り交ぜつつも、コミュニケーションにつきものな「誤解」や「言われて嫌なこと」といった人間関係全般にあてはまる内容が多い印象。ネットやLINEにとどまらず、広いテーマで子どもたちに考えさせる内容となっています。
学校や先生それぞれがアレンジ、活用してほしい
授業の終了後、ワークショップの講師を担当したLINE株式会社の高橋誠さんにお話をうかがったところ、一昨年あたりから教育機関や各方面から「LINEについて話をしてほしい」という要望が多く寄せられるようになり、これまでに200回以上の講演を行ったのだそう。
そして教育者対象の講演を繰り返しつつ、「もっと子どもに理解してもらい、考え続けてもらうために」との思いから静岡大学と共同で教材を開発。今年は小中学生対象のワークショップ、高校生や大人向けの講演とあわせて全国で300回以上の回数と、目標としているそうです。
また、「今後はこの教材を先生方それぞれがアレンジして、活用していっていただきたい」として、教材一式を教育機関に無償で提供しています。
教育の現場からの声は
「中学校では、LINE等を中心としたコミュニケーションツールでのトラブルがかなり問題になっています」と話すのは、葛飾区立清和小学校の朴木一史(ほおのき かずし)校長。
同氏は「こうした問題に対応するための教育は、中学校では遅いのではないか。『LINE等を通じて嫌な思いをした』という子どもがまだ少ない小学高学年のうちに、きちんと教育をしていくことが必要と考えて、LINEさんにワークショップを依頼しました」と小学校でのLINE教育の意義について、教育の現場から声を聞かせてくれました。
技術の進歩が早いコミュニケーションツールの分野では、子どものほうが大人より技術に習熟しがち。大人の目の届かないところでトラブルに巻き込まれるケースもあります。こうした子ども向け教育と同時に、保護者や教育者である大人たちも、適切なリテラシーを身につけることが求められているように思えます。
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