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第十三回 生産性を伸ばすための自己投資が、もっとも効率的な投資である
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第十三回 生産性を伸ばすための自己投資が、もっとも効率的な投資である

2014-12-28 19:00
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    年の瀬も押し迫り、正月ももうすぐです。皆さん如何お過ごしでしょうか。

    この時期、「今年の文字」や一年の振り返りなど、話題も多いです。一文字のほうは「税」だそうで、選挙も消費税の先送りをするべきかどうか。結果は先送り派が圧勝したわけですが、まぁ、もともと消費税増税を決めて政権崩壊した民主党まで増税堅持を言わなかったわけですから、どの政党が勝っても消費税先送り派の勝利なわけです(笑)。

    そして、年が明けたら初詣。今年の抱負などが話題になります。

    「今年もいい年でありますように」。或いは、「仕事が成功しますように」「ボーナスが増えますよう」になんて、皆さん色々と神様にお願いすることもあるでしょう。隣の誰かがうまくやっているので、同じようなラッキーを自分も欲しいなんて。

    自ら富を生み出すことはできない?

    個々人のレベルでいうと、上手いことをやって自分の稼ぎ以上の結果を得た人もいるかもしれません。国などの交付金などで少し潤った人もいるかもしれません。

    しかし、社会全体でみると普通の人は自分の稼ぎ以上の実入りがあることはありません。誰も、それ以上の支払いをする力がないからです。

    政府にできるのは、富の再配分だけ。税金をとって、それを民主政府からの指示(国会が選出した議員が首相となって運営している内閣の意思)で、配分のルールを作り、それに従って自ら消費したり、或いは国民に再配分するのです。特殊なケースを除いて、自ら富を生み出すことはまずできません。

    政府の消費というと、国防や警察機能から役所や裁判所の運営まで色々あります。投資的な消費としては、インフラの整備と維持や教育システムの維持運営などがあります。富の再配分としては、累進課税で高所得の人から多くとった税金を広く社会一般に平等に消費(前述)したり、生活保護に回したり、国民皆保険制度を維持したりしています。

    昔は多少生産的なことをやっていて、国鉄とか郵便局とか電電公社といった実業的な活動もしていました。しかし、これらは民営化を進めた結果、政府の手を離れました。ですから、今の政府は概ね消費的で、自らが価値創造してその分を国民に再配分するなんて機能はないのです。

    じゃあ、会社? あなたが営業セクションであれば、あなたの作った売り上げは間接部門のサポートによって成り立っている面があります。ですから、あなたの稼ぎが全額あなたの受け取りになる訳でないことはわかりますね。あなたが間接部門なら、業績が好調でまずインセンティブを与えられるのは現業部門です。業績が不調で真っ先に費用を圧縮させられるのも間接部門です。程度の多少はあれども、このことは自営業や経営者、技術者や研究者にも言える事です。

    結局、誰かがあなたのために働いて、あなたに貢いでくれる訳もなく、あなたの所得を増やすのは、あなたの頑張りでしかないということです。

    自分自身への投資

    なぜこうした実も蓋もないことが、投資のキホンかって? それには二つの含意があります。

    まず一つは、「仕事に濡れ手に粟の儲け話なんかない」というのと同じように「投資にだって濡れ手に粟の美味しい話なんてない」ということです。その自覚は、変な詐欺に引っかからないための防波堤になります。

    もう一つは、自分の生産性を伸ばすための自己投資が、もっとも効率的な投資であるということです。投資するということは、将来の所得や資産を向上させるために現在の消費を諦めて元手を積み、なんらかの方法で運用することで、元手以上の成果を得ようとする行為です。同じ率で儲けられるなら、元手は大きい方が儲けの額も大きいです。これは当たり前の話。

    ですから、まずは自分の本業での稼ぎを向上するために、どうすれば良いのかを考えましょう。

    余人をもって替え難い、となれば、仕事を失う危険性は下がります。あいつに任せれば成果が出る、となれば重要な仕事を任され所得の向上も期待できます。要は、ご自分の専門領域でプロになればいいのです。これも当たり前の話。

    では、プロになるにはどうすれば良いのでしょうか。具体的な方法は専門領域によって異なるでしょうけれど、一般には、問題意識を持って勉強することです。これも当たり前の話。

    石の上にも三年。というか、十年くらい仕事をしていると、研鑽を積んだ人とそうでない人には自ずと差が出ます。

    これを「人的資本投資」といいます。ベッカーというアメリカの経済学者がノーベル賞をとった研究が、まさにこの人的資本論です。

    次回ももう少し、その話をしたいと思います。

    RSSブログ情報:http://www.tabroid.jp/news/2014/12/nisa-tanaka013.html
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